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  作者: 鵜狩三善
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竜退治

 遠州のある湖に、竜が出たとの噂が起きた。

 湖面から蛇のように首をもたげて泳ぐさまを、多くの旅客が見たそうである。

 これを恐れて水運が滞ったため、侍たちが舟を出し、竜退治へ乗り出した。


 彼らが滅法に手槍で湖水を突いて回ると、やがて手応えがあった。

 身もだえしながら大きな影が浮かび出て、しかし全身をくねらせて激しく暴れた。幾人もがその尾に打たれ、或いは骨を砕かれ、或いは水へ落とされた。

 ようように討ち殺してみれば、それは竜ではなく巨大な鰻であったのだという。


 死骸は豪胆な鰻屋が買い取ったと聞く。

 しかし身を裂けば胃の腑から数十を越える人の頭蓋骨が出たため、食する者はひとりもなかった。

 仕方なく炭を積んで焼き払ったが、それは火葬の臭気を発して大層難儀したとのことだ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] これがほんとの竜頭荼毘……ではないのですが。 苦労の分の甲斐というものを考えると、なんとはなくもの悲しくなりますねぇ。
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