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  作者: 鵜狩三善
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鼓送り

 今のご時世で、「狸は人を化かす」などと語れば、ただ失笑を買うばかりだろう。

 だが俺は、あいつらがそんな力を持っていることを信じてやまない。


 たとえば、庄野の爺様だ。

 この爺さんはちょっと姿勢と歩き方を変えるだけで、まるで別人にしか見えなくなる変装術の達人だった。若い時分、狸に恩を施して化けの皮を譲られたのだと言う向きまである。

 噂の真偽はここではおく。が、爺さんの通夜で不思議があったのだけは本当だ。


 夜も更けた頃、どこからともなく鼓の音が起きたのである。

 ぽんぽんと、最初はひとつで鳴り始めたそれは、やがて幾十もの合奏となって響き渡った。

 陽気な中にどこか悲哀の漂う調子は、追悼の楽曲としか思えないものだった。


 鼓の()は野辺送りの折にも起こり、三回忌までは必ず聞こえた。

 七回忌より後は鳴らなかったとは、先日の里帰りで耳にしたことである。

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― 新着の感想 ―
[良い点] その音は本当に狸が太鼓をぽんぽこ叩いているのか…それとも物理的な腹太鼓なのか… 気になって夜しか眠れそうにありません。
[良い点] 私、狸には詳しいんです。 犯人は狸に間違いないですね。
[良い点] 爺様の若い頃に何があったのか、色々想像しちゃいますね。 恩を施したという噂は本当か、いえもしかして爺様は実は狸だったのでは……? いやいや、そもそも「変装術の達人」という噂は、なにがどうな…
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