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  作者: 鵜狩三善


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浴効

 山羊肉を出す店があるからと、強引に友人に連れ出された。

 正直、山羊は好みではなかった。昔食した事があるが、その独特の匂いばかりが記憶に残っている。今回も辟易するのではと案じていたのだが、杞憂だった。

 出されたのは子山羊の肉だそうで、驚くほど臭みがなかった。ミルクラムと同じような塩梅なのだろう。

 お陰で箸が進んで、二人で結構な量を食べてしまった。

 そこまではよかったのだが、帰りの車で気づいた。

 体がどうも山羊臭い。そういえば以前は、手洗いに行くたびに山羊の匂いがしたなと思い出す。

 これはいかんと顔をしかめたところで、銭湯の看板が目に入った。


 ちょうどいいタイミングだったのか、どの湯船にも人はない。いわば貸切状態だ。

 おまけに湯も程良く熱くて実に好みだった。

 芯まで温まりきって、夢心地のため息が出る。うんと手足を伸ばして「ああ、生き返る」と呟いたら、ぼこりと湯に大きな泡が生じた。

 水面に昇った泡は弾けて、中から子山羊が顔を出す。

 熱い湯に狼狽したのか、山羊はじたばたともがきながら湯船を抜け出し、ぶるぶると身震いをして水を切った。


 ただただ呆気にとられていると、また、ぼこり。

 湯の中に子山羊の泡が湧く。

 ぞろりぞろりと這い出して銭湯に溢れ返る山羊どもを眺めながら、一体今日食べた皿には、何頭分の肉が混ざっていたのだろうと考えた。



 以上はカラスウリ様よりの原案

「銭湯の湯船から、山羊がぞろりぞろりと溢れでる」

 を元に創作したものです。

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