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虹を見る人
すれ違った男の背中に、虹がひっかかっている。
そういうふうに、俺には見える。
虹は多分、夢だとか希望だとか理想だとか恋だとか愛だとか、世間で尊く謳われるものの表出だと、経験から知ってもいる。
虹の輝きが眩しくて強いほど、そういう良い気持ちも強い。弱かったり暗かったりは、残念ながらその逆だ。
小指の先ほどを辛うじてひっかけてる人もいれば、天を衝かんばかりにどーんと光ってる人もいる。
虹を無くして俯いて歩く中学生もいれば、綺麗に二人の虹が繋がりあった恋人たちもいる。
いい年でくたびれたようなおっさんが、それでも燦然と胸に煌めかせてるのを見かけると、世の中捨てたもんじゃないって気分になる。
さんざ語っといてなんだけど、この視力で何ができるわけじゃない。
精々がとこ俺がまっすぐ、前見て歩けるってくらいなもんだ。
以上はカラスウリ様よりの原案
「すれ違った男の背中に、虹がひっかかっている」
を元に創作したものです。




