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  作者: 鵜狩三善


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抱擁

 夜食を買いに行ったコンビニからの帰り道、電柱に抱きついている男を見た。

 酔っ払いかと思ったが、どうも様子が違う。

 堅物めいた背広のサラリーマンが固く固く電柱を抱擁していた。真摯な顔で目を閉じて額を押し当て、まるで愛しい恋人にでもするかのように。

 その男の頭上に、靴があった。

 靴だけではない。足があって腰があって胴があって腕と頭もある。事務職風の女性だった。スカートだというのに人間一人分の高さまで登って両手両足をがっちり回し、やはり電柱に寄り添って動かない。

 女の姿を追って持ち上げた目線の先に、まだいた。その上にも。更に上にも。

 全員が電柱と熱く固く抱擁を交わして身じろぎもしない。電柱のどこにも空きはなかった。厳粛な宗教儀式の只中めいて、息遣いのひとつも聞こえない。


 俺は足早にそこを離れた。

 その電柱を抱き締めたいという衝動を、俺自身も抑えきれなくなりそうだったからだ。

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