表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  作者: 鵜狩三善
19/1000

無賃乗車

 バスに乗り込むと、随分と混んでた。

 まだ帰宅ラッシュには早い夕刻ではあるけれど、何せお盆のこの時期だ。郷里に戻るひとは多い。こうした光景も帰省ラッシュの一形態になりつつあるのだろう。

 乗客の数が数だけに、バスは各停留所で停まっていった。

 そうこうするうちに私の降りる先も近くなった。

 手を伸ばしてボタンを押す。

 軽やかな音でランプが灯った。


 ──次、停まります。



 そのバスの運転手はため息をついた。

 停留所には誰もいない。

 車内にも誰もいない。

 けれど降車を希望するランプは次々と灯る。


「お盆だからなぁ……」


 ひとりごちて頭を掻いた。

 ミラーで夕暮れに染まる車内を眺める。やはり乗客の姿はも見えない。

 茄子の牛、胡瓜の馬に跨るよりも、そりゃバスの方が早くて楽なのだろう。

 だが。


 ──次、停まります。


 ポン、とまた音がして軽やかにアナウンスが告げる。

 だがこれはしかし、無賃乗車ではないのだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ