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  作者: 鵜狩三善
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不本意ながら

 テレビにおかしなものが映るようになった。


 普通に見てる時には映らない。

 お父さんやお母さんと居る時も映らない。

 でも僕がひとりでゲームをしていると、それはこれ見よがしに現れて、大きな口の両端を吊り上げて、にたりにたりと笑う。

 ゲーム画面の暗転、ローディング中の暗闇。そこでテレビに写る僕の、その隣に現れて笑うのだ。


 最初は鏡のように画面に写り込んでいるのだと、それが隣にいるのだと思って怯えたけれど、どうやら違うようだった。

 そいつはテレビの中にしかいない。

 大きさは僕の頭と同じくらい。出来損ないのてるてる坊主のような風体で、レインコートのようなものを羽織っている。

 目深にしたフードで顔は見えないが、そのやけに大きくて赤い口は、いつも僕を嘲って笑っている。ニタニタと笑い続けている。


 そしてそれ以上、何をしてくるわけでもない。

 実害がないのが知れて当初の恐れが薄れてくると、後はもうたたただ腹立たしくいばかりだ。でもどうしようもない。どう対処したらいいのかも分からない。

 だんだんと僕がゲームをする時間は減った。

 非常に不本意ながら、成績は随分と上がった。

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