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予感
ひとり部屋でくつろいでいると、ぴしりと鋭く音がした。氷が軋んで割れるような音だった。
何の音だろう。
部屋を見回すと、写真立ての写真に異常があった。
私と私の肩を抱く恋人。ふたりの笑顔を切り取った、その一葉に穴が開いている。
写真立てのガラス部分には少しも傷がない。なのに写真の彼の両の瞳の部分だけが、ぽっかりと抉り取られていた。それはまるでパンチで打ち抜いたかのように綺麗な穴だった。
不安を覚えて電話をした。特に何事もないようだった。
その後も彼の身には何も起きていない。
とりあえず、今のところは、まだ。