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  作者: 鵜狩三善


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お先にお越し

 図書館を出ようとしたら、いつの間にか雨が降ってきていた。

 弱い雨だが生憎(あいにく)傘の用意がない。借りた本を濡らしてしまうのはいい気持ちがしなかった。


 戻って雑誌でも眺めながら、雨止みを待とうか。

 思案していると、床を鳴らしてこつこつと靴音が聞こえた。

 出入り口の自動ドア前に立ち塞がった格好だったから、私は慌てて脇に退いた。そして、あれ、と首を傾げた。

 確かに足音がしたと思ったのに、そこには誰も居なかった。

 随分はっきりした空耳だと苦笑しかけたその時、靴音が私のすぐ隣から再開した。そのまま私の横を過ぎて出口へ向かう。


 姿の見えない何かを感知して、自動ドアが開いた。

 足音はそのまま、雨の中へと出て行った。

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