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  作者: 鵜狩三善


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つつかれる

 早朝、公園を散歩していると、池の鯉の一匹が目に止まった。

 それなりの図体であるのに随分な浅瀬までやって来ていて、背びれが水面から突き出している。体を揺らしてこそいるものだが、いっかなその場を動く気配がない。

 何をしているのかと、こっそりと近付いてみた。

 落とす影に気を払いつつ覗き込むと、泥中の餌を探っているのだと判った。


 それにしても鈍い。俺がここまで寄ってもまるで気づかない。

 悪戯心が湧いた。ちょっと脅かしてやろうと、その背びれをスニーカーのつま先でつついてやる。仰天した鯉は大慌てで身を(ひるがえ)し、池の深い方まで逃げていった。


 その夜。

 ぐっすりと寝入っていると、何者かにわき腹をつつかれた。ちょんちょんと一回一回に込められた力は小さいが、尖って硬いものが肋骨を繰り返しごりごりとするものだからやたらに痛い。

 コノヤロウと思って目が覚めて飛び起きた。

 が、部屋には誰もいない。

 上半身だけ起こした格好でわき腹を撫でる。そこにはつつかれた感触が、確かに残っている。


「……なんだってんだよ、おい」


 呟いたら、どこかでぱちゃんと、魚が立てるような水音がした。

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