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  作者: 鵜狩三善
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窓越し

 大分遅くなってしまったと足を早めた。

 俺の安アパートは家賃相応に駅から遠い。平素はいい運動だと思えなくもないが、今夜のように飲んだ後は、その距離は気だるくもある。

 帰ったら風呂を浴びて寝るか。それとも即寝て朝風呂にするか。

 他愛もない思案をしながら歩いていると、視線を感じた。

 何気なく頭を巡らし、俺はぎょっと一歩退いた。


 道に面した一戸建ての一階、物干しに出れるようになっているテラスの大窓に、べったりと人間が張り付いていた。

 部屋の明かりが逆光になって、表情は見えない。

 だがその黒い影が俺を凝視しているのは判った。

 俺の反応を見て、影は更に強くガラス戸に身を押し付けた。今にも押し破らんばかりだった。


 驚愕による思考の硬直から立ち直るや、俺は逃げた。

 酔いどれの足ながらも全力で駆けて、途中で真っ直ぐ我が家に向かうのはマズいと気がついて、最寄りのコンビニに飛び込んで小一時間ほど立ち読みを装った。

 そうして追跡がないのを確認してから、やっと家に帰った。酔いなどとうに醒め切っていた。

 以来、その道は通っていない。

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