8日目 焚き火
この村に来てから
8日が経った
だいぶ村の雰囲気に慣れてきている
慣れたくはないが
……この前送られてきた
呪いの道具は、どうなったんだ
あれから、誠大は何も言ってこない
俺から離せば弱まるとは言っていたが
誠大に聞いてみればわかるかも
「誠大、あの呪いの道具のことなんだけど」
「あ、そうそう弱まってきたよ」
「ほんとか!」
「ほんとほんと」
「良かった」
「ごめんごめん、言い忘れてたよ」
「でも、少し安心したよ」
「それなら、良かった」
そういうと
誠大は、鼻歌を歌いながら作業を再開した
何をしているのか俺には分からなかった
鼻歌は、昭和の曲だろうか
テンポがゆっくりな曲だった
だけど、なんだか落ち着くリズムだ
まるで子守唄を聞いてるみたい
今日は、静かだ
何も起こらない
何も無い
村人も八尺様も来ない
ようやくゆっくりできそうだ
昨日は、寝れたからか
調子がいい
とはいえ、この村で
何かをする気にはならないが
てか、こんなところで
ゆっくりできてる俺やばくね?
なんで、ゆったりできてるんだ?俺
「あれ?湊どうしたの?」
「へ?」
「顔が怖い」
「あ、いや、なんで俺
こんな怖いところでゆったり
できてるんだろうって」
「……確かに、なんで?」
「それを、今俺が知りたいんだよ」
自分でもよく分からないが
慣れという訳ではなさそうだ
一体なんだ?
そういえば、過去にもあったような
ゆったりはできなかったが
謎に安心感が……
「あ、誠大だ」
「え?俺?」
「うん、誠大が近くにいると
安心するのか空気がほわーんってする」
「なにそれ〜?」
「俺も分からないが
なんか、そんな感じがする」
「え〜、俺にそんな力があったんだな」
力……力じゃない気がする
多分、誠大の性格と雰囲気だと思う
きっと、誠大は年下に懐かれるタイプだろうな
大学生になったら
自然と人が集まるタイプ
そう考えていると
どこからか
ガサガサガサガサという音が聞こえた
最初は、誠大が何かを
しているのかと思ったが
違うみたいだ
この音は、外からしている
まさか、村人が来たのか
呪いの道具を送ってきた
じぃさんか?
「誠大」
「大丈夫、今のところ
なにかしてくる気配はないから」
そう言いながら
誠大は、俺の前に立った
守ろうとしてくれてるんだ
一体外で何をしているのか
俺は全く分からなかった
しばらくして、焦げるような
匂いが出てきた
何かを焼いているのか?
そうだとしたら
なぜ、ここで?
自分の家でやるんじゃ
ここは、誠大の家だ
隙間から見えないかと
俺は、体を横に倒した
ちらっと隙間から見えたのは
老人が焚き火をしていた
俺は、訳が分からなかった
なぜ、今焚き火をしているのか
なぜ、ここでやっているのか
「何をやっているんだろう」
誠大もわかっていないようだった
「焚き火をしているみたいだ」
「焚き火? 」
「隙間から見えただけだが」
「焚き火になんの意味が」
意味があるのかどうかも分からない
ただ、ひとつ煙が入ってきている
単なる嫌がせなのか
そうなら、今すぐに辞めて欲しい……
ん、いや、これは何かおかしい
うっ……なん、だか
き、気持ちが悪い
う、ん……なんだ、これは
頭がクラクラしてくる
体がだるい
重い
「ゔっ」
「湊!?」
「ご、ごめん、なんか気持ちが……悪い」
「大丈夫?」
「む、り 」
「何が原因……あの、焚き火か
煙がの部屋に充満している」
「ぐっ、かはっ」
「湊!」
「ひゅっ……く、かひゅ」
「息ができないのか?」
「あ、あたまが……く、らくら」
「ここにいたらまずい」
な、なんだこれ
吐き気がするのに出ない
息が出来ない
「湊、逃げよう!」
「はぁはぁはぁ」
「湊!」
「む、り」
「無理じゃない!早く逃げないと
死んじゃう!」
「せ、いたもこの……村の人」
「でも、助けたい!
お願い、聞いて」
「ひゃひゃひゃひゃひゃひゃ」
「……笑ってる湊が苦しむのを見て
笑ってる」
「ひゃひゃひゃひゃひゃ」
「ダメだ、ごめん湊無理やり連れていくよ」
「……」
「俺よりも一回り大きい体って
こんなに重いんだ
でも、見てるだけで強そうに見えるのに
すぐにやられちゃう人間って弱いんだ
俺たちとは、やっぱり違う」
「うっ」
「今は、そんなこと考えてる場合じゃない
あともう少しでドアだ
ドアがすぐ近くにあるのに手が届かない
届け!もっと伸ばせ湊が死んじゃう!
やだ!嫌だ!」
カチャ
「やった!届いた!えい!」
……あ、れ?
煙が無くなった
それに、体が呼吸が楽に
「湊、調子はどう?」
「さっきよりいい感じ」
「良かった」
「誠大が連れ出してくれたのか
俺、めっちゃ無理って言って迷惑かけた」
「気にしてないよ」
「なんで、あんな必死に助けてくれたんだ?」
「俺は、この村の人だし
信じて貰えないかもだけど
俺は、湊を巻き込んだ俺のせいで
こうなってるからその罪償いをしたい」
「誠大……」
「それに、湊がいるから俺楽しいんだ
こんなに話を聞いてくれる人いなかったから
だから、そのお礼もある
信じてもらえないならそれでもいい
俺が助けたいだけだから」
この時、俺は
誠大はほかの村人とは
違うんだと本気で感じた
そうか、誠大は
まだ、間に合うかもしれない
「俺は、信じるよ」
「ほんと!」
「だから、絶対に飲まれないでくれよ」
「え?」
「この村の空気に飲まれないでくれよ」
「わかった」
この時、誠大が
俺の言葉を理解していたのかは
知らない
でも、俺は大丈夫
誠大なら理解してくれるそう思った




