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八尺村  作者: 榊みつば
5/17

5日目 食事会

……あの、誠大の目

生気のない真っ黒な目

頭からずっと離れない

鮮明に出てくる

はぁ……やっぱりここにいる村人

俺以外は、全員死んでるのか

俺は、なんて所に

だけど、誠大が助けてくれるなら

脱出するのを手伝ってくれるなら

いいのか?

まぁ、その誠大も怖いんですけど

だって、日に日に誠大の異常さが

出てくる

あいつ、心許した人には

徐々に本性が出てくるタイプか?

いや、今はそんな分析をしてる場合じゃない


何故か、俺はまた1人にされている

この部屋に1人ほんとに嫌だ!

なぁにが楽しくて

こんなところにひとりで

いなきゃいけないんだよ

ほんとに最悪だ!

もう、いつになったら戻ってくるんだ

誠大に対しての

恐怖心はあるが

ひとりでいるよりかは

一緒にいた方が

まだ、安心はする

少しだけど


ガタガタガタガタ


な、なんだ

今、影が外を……嘘だろ

こんな時に、八尺様が

どど、どうすれば

そ、そうだ、見ちゃいけない

下を向こう


「く、く、」


なんだ?何を言っているんだ


「く、く、し、あ、ぬ」


意味がわからない

何を言っているのか


「ここには、いないと言っただろ!」

「く、あ」


き、消えた?

気配が消えた

今の、声は


「大丈夫か?湊」

「あ、ああ、ありがとう」

「八尺様は何故こうも」

「誠大、八尺様が何かを言っていたんだ」

「何か?」

「くとかあとかしとか

もしかしたら、何か伝えたいんじゃ」

「そんなことない、ただ誘に出そうと

しているだけだ」


本当に、そうなのだろうか

何か、引っかかるような


「そうだ、湊」

「ん?」

「これから、食事会だから」

「食事会?」

「そう、湊を改めて歓迎したいんだって」


改めて歓迎?

1回集まったあの時

あんな、異常な光景を見たら

素直に喜べない

ここに来て、5日経った

5日間いるとはいえ

ほとんど話したことない人達と

食事をするのはなんだか気が乗らない


もう、食事会のことは一旦

考えないようにしよう

どうにかなるっしょ多分

それよりも、

この期間で、わかったことを整理しよう

まず、この村がやばいこと

掟が狂気じみててやばいこと

村人の頭が手遅れなこと

誠大も、時々生気が無くなることもある

ただ、その条件は分からない

何かキーワードがあるのかもしれないが

こんなところか

……この村がヤバいってことしか

わかっていない

ほんとに、ここから出ることができるのか?


いや、待てよ

一つだけ憶測ではあるが

八尺様について今日気づいたことがある

八尺様が出てくる時は、窓が揺れる

強い風が吹いてるようにガタガタとなる

そして、もしかしたら八尺様は

儀式以外の時は、影でしか出て来れない?

それか、元々その状態なのか

はぁ……まだまだ知らないことばかりだ

出るのに役立ちそうな情報はない

まだ、時間はある

ゆっくり探っていこう

そう考えている俺を

誠大が軽く叩いた


「着いたよ」

「お、おう

な、なぁ一つ聞いてもいいか?」

「どうしたの?」

「飯は、上手いのか?」

「……美味しいよ」

「ん?まぁ、なら良かったわ」


とうとう、着いてしまった

内心着いて欲しくないと

思っていた自分がいたが

まぁ、そんな願いは叶うはずもなく


「行こう、あまり待たせると怖いから」

「おう」


「おぉ、来たか」

「やっぱり可愛い子だねぇ」

「ほんと、美青年だよぉ」


相変わらず怖ぇな!

なんて、言えるはずもなく

俺は、苦笑いをするしか無かった

普通の見た目なら

褒めてくれるじぃちゃんとばぁちゃんなのに

この見た目は、慣れそうにないな


「湊、こっち」

「おう」


誠大について行くと

空いている椅子があった

ここに座れってこと?

あ、マジで?

左右、怖いじぃちゃん、ばぁちゃんなんだけど


「誠大は?」

「俺は、あっち」


嘘だろ

俺、ひとり?

ここ?ひとりで?

嫌だ!嫌すぎる

何も笑えない


「おやおや、ご飯が来たねぇ」

「さぁさぁ、食べましょうか」

「あ、あのこれはなんですか?」

「おかゆさんだよ」

「あと、つけもんと魚じゃな」


老人の食いもんか!

いや、老人ばかりだから仕方ないか

てか、よりにもよってお粥かよ

俺、お粥好きじゃねぇんだよな

びちゃびちゃご飯とか無理

でも、残したら大変なことになりそうだし

食うか


「どうじゃ?上手いじゃろ

ここで、取れた新米じゃ 」

「お、美味しいです」


全く上手くねぇ……

てか、味がしねぇし

こんなん新米とか関係ないし

ただのびちゃびちゃな米だよ

マジで?誠大は、食えてんの?


「うぇ……」


……あいつも、不味そうにしてんじゃねぇか!

吐きそうになってるし!

あいつ、嘘つきやがったな!

何が、美味しいよだ!

クッソまずいじゃねぇか!

仕方ないから食うけどさ


それから俺は

味のしないお粥

つけすぎたような漬け物

骨だらけの苦い魚を

食べ続けた


半分くらい食べた頃

1人の老人が話しかけてきた


「ここは、いいところじゃろ」

「え、あ、そうですね」

「そうじゃろそうじゃろ

全部八尺様のおかけじゃ」

「そうなんですね」


俺は、適当に反応して

やり過ごそうとしていたが

それが、間違いだった


「お前さんも、八尺様の役に立ちたいだろ?」

「え?」

「お前さんが、ここで儀式に出る

そう言えばすぐにでもできるぞ」

「えっと」

「八尺様は、足りないと仰っておるんじゃ

ずっと、足りないと」


やばいやばいやばい!

これは、まずいことになった

こんなの完全に洗脳じゃないか!

食事会じゃない、洗脳会!

どうする、どうする

こ、これ以上は無理だ


「ご、ごめんなさい今は勇気がなくて」

「そんなの要らんぞ

すぐにでも天国に行ける」

「無理です!」


俺は、椅子から立ち

出口に向かって走っていた


「待つんじゃ!」


まずい、追いつかれる

ドアを開ける暇が


「湊!」


そこには、ドアノブに手をかけた

誠大が立っていた

俺は、誠大が開けてくれた

ドアから外に飛び出し

家に向かって走った

鼓動が早い

息がしずらい

視界が滲む

怖い、怖い、怖い!

でも、逃げないと

捕まったら終わり


後ろからは、誠大と

その後ろから老人が追ってきていた

今、家に帰っても

追い込まれるだけだ


「湊、通り過ぎた

なるほど、今は危険だからか

こいつらに湊は渡したくない

湊を死なせたくない!

絶対に、湊をここから出したい

信じて貰えなくてもいい

なら俺は……今俺がすることは一つ

みんなちょっと、待ってくれ!」

「なんだ?」

「どうしたんじゃ」

「湊あっちに行ったみたい」

「嘘じゃ」

「わしらは、見ておらん」

「いや、俺が見た

死角を使って向こうに逃げた」

「なら、行くとするか」

「そうじゃな」

「……これで、少しは時間が稼げる」


どのくらい走ったのだろうか

気がつくと老人はいなくなり

誠大もいなかった

俺は、恐る恐る家に戻ると

誰もいなかった


「誠大、どこに行ったんだ」

「よぉ!呼んだか?」

「うわぁ!」


いきなり、誠大が家の屋根から

飛び降りてきた


「俺が、嘘の方角言っから

みんな信じて行ったよ

さぁ、早く家に入ろう」

「あ、うん」


誠大は、やっぱり

味方なのかもしれない

俺は、分からなくなっていた

味方みたいなのに敵にも見える

そんな、誠大が分からない

けど、今は、一言言いたいこと

言わなければいけないことがあった


「誠大、ありがとう」

「いいってことよ!」

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