4日目 村の掟
昨日は、寝付けなかった
初めて幽霊を見た
いや、神様なのか
今でも、鮮明に残っている
はぁ……あんなのがいるのかよこの村は
こんなことを考えている俺の前に
ひょこっと顔を出した誠大
「うわぁ!」
「あ、元気になった?」
「いや、驚いただけ」
「なぁんだ」
……誠大は、この村の人だから
慣れているのだろうな
すごく笑顔で楽しそうだ
そう思いながら誠大を見ると
さっきまで笑っていたはずなのに
今は、真顔になっていた
そして、外を見て
「あ、そろそろやっとこうかな」
一言そう言った
俺は、何をするのか分からなず
その場に座っていると
誠大が服の袖引っ張った
そして、早く早くと言う感じで
ジェスチャーしていた
俺は、訳が分からないまま
誠大について行った
家の地下に続く階段を降りると
そこには、祭壇があった
誠大は、祭壇の前に座っている
俺が、様子を見ていると
誠大は、手を振って座ってと合図してきた
俺は、何をするのかと思いながら
誠大の隣に座った
すると、小声で話してきた
「今から、お参りするから
俺の後に続いて」
「わかった」
誠大は、俺がそう言うと
手を3回叩いた
俺も、続いて3回叩いた
すると誠大は、下を向いた
俺も、真似をした
すると、誠大は
「八尺様、今日も我らを見守って下さり
ありがとうございます我らは、これからも
この村を良くするべく儀式を行います」
そうぶつぶつと唱えていた
俺も言おうとした時
誠大に止められた
「君は、言わなくていいよ
だから、下だけ向いてて」
俺は、訳が分からないが
とにかく、誠大の言う通りにした
「今世は、素晴らしいものになっております
そのお礼として、甘味を差し上げます」
そのあと、誠大は上を向き
また、3回手を叩いた
俺も、同じことをした
「これで、お参りはおしまい」
「これは、なんの意味が?」
「この村には、何個か掟があるんだ」
「掟?」
「うん、八尺様が出てきてから
色々掟が出てきたんだ」
八尺様が出てきてから
この村には掟が沢山できた
その言葉を聞いて俺は少し怖くなった
八尺様は
掟を作らないといけないほど
恐ろしい存在だと気づいたから
「も、もしその掟を破ったら
どうなるんだ?」
「その掟にもよりるけど
村の人達にこっぴどく叱られたり
最悪の場合死ぬ」
死ぬ……だと
俺は、迷い込んだだけの人
掟なんて全く知らない
さっき、ひとつ知ったばかりだ
その時、俺の中にひとつ
希望が見えた気がした
俺は、誠大にひとつ質問した
「それは、俺みたいに
外から来たやつも同じことになるのか?」
そう、村の掟
もし、村人だけなら
俺は、死なない可能性が少し低くなる
心の中で願いながら
誠大の答えを聞いた
「外から来た人も同じだよ」
その言葉を聞いた瞬間
俺の希望は打ち砕かれた
死ぬ可能性は変わらないどころか
高くなった気がした
俺は、焦りながら
誠大に掟を教えてくれと頼んだ
すると、誠大は笑顔で頷いてくれた
そして、誠大が言った掟は
1 子どもは、大人に逆らってはいけない
2 儀式を休むことは許されない
3 村の集会は、必ず月に1回行う
4 儀式以外で八尺様を見てはいけない
5 生贄は、必ず外から連れてくる
6 90歳まで生きたら祝いの儀式をする
7 亡くなった者の話をしてはいけない
8 毎朝、八尺様にお祈りと感謝と尊敬の儀式を
各自の家で行う
ほとんどの掟が異常だと言うことは
初めて聞いた俺でもわかった
それでも、この村では当たり前だった
だが、何個か理由が
分からない掟もあった
「子どもは、大人に逆らっていけないって
言ったよね」
「うん」
「どうして、そんな掟ができたんだ?」
「どういうこと?」
「だって、ここには、子どもが
いないじゃないか」
「俺は、子どもだよ?」
「確かに、誠大は子どもかもしれない
だけど、1人なら掟を作る必要は無い
ほかの子どもはどこに行った?」
「……逆らったから消えちゃったよ」
「……何を言って」
「この話は、終わりねあと、何かある?」
俺は、この会話で
また、誠大のことが怖くなった
感覚がズレている
そんなことは、とっくに知っている
だけど、それを平然と言えるのが怖い
なにより、俺がおかしいことを言っている
そんな顔をしていた誠大が怖かった
誠大は、やはりこの村の人
八尺様やこの村に対して
俺と同じような考えがあったとしても
違うところは当然出てくる
俺は、これ以上は子どものことについて
聞くことはしなかった
「あ、あとあるのは
6番目の掟」
「あぁ、あれはね言い方を変えてるんだ」
「どうして?」
「そのまんまの意味で言うと
みんな、怖がっちゃうから
それに、逃げる人がいるから」
「逃げる人?」
「この村で生まれた人は村から出ちゃいけない
それが、暗黙の了解」
「そ、その逃げる人を」
「逃がさないために、ね」
この時、誠大の目に
生気がないことに
俺は、気づいていた
大人たちと同じ目
だが、この時の俺は
掟のことで頭がいっぱいだった
一体、どういう掟なんだ
逃げる人がいる
聞いた人が怖がる
ここまででも十分怖いのに
もっと怖くなるのか
俺は、鼓動が早くなるのを感じた
「90歳まで生きたらもう役目を果たした
だから、祝いの儀式をして焼く」
「……は?」
そう誠大が言った
俺は、理解ができなかった
90歳になったら
焼かれる?
祝いの儀式?
それは、もう強制的に葬儀にしてるだけだ
「い、生きてる状態で?」
「うん」
「なんで、祝いの儀式なんて言って」
「役目を全う出来たらか」
「全うって」
「その儀式をすると八尺様の元に行ける」
この村は、おかしい
ここにいたら、俺までおかしくなる
「八尺様の元以外は全部地獄だから」
この話をこれ以上聞いててもおかしくなる
俺は、本能的にそう思った
「わ、わかった」
「え?」
「もう、大丈夫」
「でも、掟はちゃんと」
「それは、全部の意味をしっかり
理解しないといけないのか? 」
「……」
「俺、もうお前が怖くて
おかしくなりそうだ」
「ごめん、話しすぎたよね」
「いや、いい」
「ねぇ、怖くならないでよ」
「え?」
「俺を、置いてかないで見捨てないでよ」
「うっ……わ、わかったよ」
「ありがとう!」
この時点で俺はおかしくなって
いたのかもしれない
誠大の泣き顔を見ると
なぜだか、守ってやらないと
そう思うようになってしまった




