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八尺村  作者: 榊みつば
17/17

17日目 別れと始まり

あれから、月日が流れ

ようやく今日時間が取れた

俺は、今車で八尺村に向かっている

昼に来ているからか

辺りが明るく

不気味な雰囲気は無かった

1回だけ通った道なのに

何故か、最近来たみたいに

はっきりと覚えていた

車を走らせながら

矢地さんが最後に言った言葉

そして、伝言のことを考えていた

本当に自分がしたいことなのか

誠大に会えなくなる

まだ、その言葉の意味が分からない

今、八尺村に向かっている

ちゃんと道も覚えている

この時の俺は

そのうちわかるだろうと

考えていた


しばらく車を走らせ

途中からは歩いた

村を見つけた辺りまで来た

はずだったが、そこに

村は無かった

少し辺りを見ていると

気になるものがあった

目の前にある木が

まるで、入口を塞ぐように伸びていた

ここが村の入口だと感じた俺は

看板を探した

もし、入口なら横に看板があるはず

木の枝や草を払って

見えたのは、あの看板だった

八尺村と書かれていた


「あった」

俺は、心の中でガッツポーズをしていた

これで、誠大を救える

村の前にしゃがみ

ゆっくりと話した


「誠大、村のこと聞いてきたよ

それでさ、儀式をやる意味とか

お前に取り憑いた神様の話とか

沢山聞いたよ神様って幽霊にも

取り憑くこと出来んのな

俺、初めて知ったよびっくりしたわ」


俺が、なんでこんな話をしているのか

自分でも分からない

こんなこと、誠大は知っているだろうに

それでも、話したかった

心を落ち着かせるために

でも、俺はもう

逃げないよ

誠大、お前が1番知りたかったのは

村の事じゃない

1番知りたかったのは

自分の母親なんじゃないのか?


「お前の母親は、八尺様

八尺真衣だ!」


俺が、そう叫んだ瞬間

優しく風が吹いた

横に誠大が来たみたいだ

気のせいじゃない

妄想でも思い込みでもない

本当に隣にいる

見えないだけ

隣にいる誠大に言うように


「だから、俺を連れてきたんだろ

どうして俺だったのかは知らない

俺が、村人に抵抗したからなのか

それとも、誠大の気まぐれか?

いや、そんなこと今の俺には関係ないな

とにかく、誠大に会えて良かった

お前の言った通り田舎も悪くないな」

そう言ったあと

俺は、言葉が出なかった

次になんて言うかはわかっているのに

口が動かなかった

伝えたいことがあるのに

早くしないと時間が無い

動かすんだ

口をちゃんと言うんだ

俺は、もう逃げない

そう決めたんだ

十分逃げてきた


俺は、1度目を閉じてから

ゆっくりと開き


「俺は、今日東京に行くんだ

だから、もう会えないんだ

もうすぐでいかないと」

言いながら目の前が

滲んできた

まさか、こんなに誠大のことを思うなんて

考えてもなかった

あんなに仲良くなるなんて


「楽しかった

もし、誠大が生きていたら良かったのにな

そしたら……」


そこで、俺は話すのを辞めた

本能的になのかこれ以上はダメだと感じた

最後に俺はスマホを取った


「なぁ、いいことなのか分からないけどさ

最後に写真撮ってもいいか?」

俺の問いかけに答えるように

風が吹いた

いいよと言っているように聞こえた

スマホのカメラを構え

村の入口の写真を撮った


写真を見ると

そこには、八尺村と書かれた

少し汚れた木の看板と

入口の前には誠大と八尺真衣らしき

人物が笑って立っていた

まるで、生きている人間のような見た目

そして、初めてちゃんと八尺真衣を見た


「そっか、これが本当の姿なんだな

やっぱり、親子だ似てるよ」


その場で立ち上がり

周りを見た後


「俺を助けてくれてありがとうございました」

そう言って

車の方に歩いた

車が見えてきた時


「息子を、湊を助けてくださり

ありがとうございました」

「湊!また、会えるといいな

その時は、遊ぼうな」

そう聞こえた

その後すぐに、風の音も何も無い

とても静かな森になった

俺は、振り返りたかったが

振り返ったら戻れなくなると思い

そのまま車に乗った


車を走らせ

しばらく経った

もう、村も自分が住んでいた

ところも見えない

少し疲れてきて

サービスエリアで休憩をしていた

ふと、さっき撮った写真を見返した

その写真を見た時

俺は、涙が出てきた

矢地さんが言っていたこと

今になってようやくわかった

撮った時には写っていた

誠大も八尺真衣も

村の看板もなくなっていた

ただの、森が写っていた

そうか、八尺村自体が

もう存在しない村

だから、誠大も八尺真衣もいない

俺が村を見れていたのは

その時に村人たちの

霊力が強くなっていただけ

もう、二度と会えないのか


俺は、写真を消した

いつまでも残してちゃいけない

誠大達を救う方法は

村のことを考えないこと

誰にも言わないこと

村の存在ごと忘れること


ゆっくりとスマホをカバンにしまい

車をまた走らせた

矢地さんが言ったこと

八尺村についての資料がひとつもないこと

全部が繋がった

全ては、八尺村を出さないようにするため

成仏させるための行動だった

誠大、成仏できただろうか

天国で母親と楽しくすごしてるといいな


「おや?」

「どうしたんですか?矢地さん」

「湊くん、話したみたいだねぇ」

「良かったのでしょうか」

「人間が幽霊と関わることはダメじゃ

これで、良かったんじゃ互いに幸せになる」

「でも、彼の記憶には残ります」

「人間は、完璧じゃない」

「はい」

「それでいいんじゃ」

「ふふ、そうですね」


それから、数年後

俺は、社会人となり

平和に暮らしていた

あれから、八尺村のことは

誰にも言っていない

俺も村の所へは

行かなくなった

それでも、俺の記憶には

残っている

消えない、消したくない記憶として


都会は、思っていた通り

いいところだ

色んなものがあって便利

まぁ、人が多すぎるのは

田舎育ちの俺は慣れるのに時間がかかったが

それでも、住んでみてわかった


「都会も田舎もいい所が沢山あるんだな」

最後まで読んでくださりありがとうございます

私自身怖いの苦手なのですが

頑張って怖くしてみました

楽しんでいただけたら嬉しいです。

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