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八尺村  作者: 榊みつば
14/17

14日目 自由……

今日は、脱出をする

作戦なんかひとつもない

誠大は、いなかった

もし、ひとりじゃなかったら

誠大がいてくれたら

俺は、もっと強くなれたのかもしれない

でも、今はそんなこと言ってる場合じゃない

それに、今の俺は不思議と

いつもより強い気持ちでいれた

どうなるかなんて分からない

それでも、なるようにしかならない

俺は、ただ誠大の真似をするだけ

誠大がやっていたことを

同じ動きをするだけ


俺が覚悟を決めた時

外から足音が聞こえた

こっちに来てる

俺の心臓はまた早くなった

でも、頭は冷静だった

昨日洞穴の周りを見といてよかった

どこに行けばいいか何となく

イメージできている

あとは、バレないようにこっそりと


外に出ると

まだ、人はいなかった

だけど、足音は近づいている

このまま、反対側に走って行こう


しばらく走って村の真ん中ぐらいまで来た

ここまで村人に会っていない

この村がもぬけの殻になったみたいだ

静かすぎてさらに気味が悪い

早くここから出たい

そんな気持ちは最初からあるが

俺は、出口がどこなのか知らない

とにかく、動かなきゃダメだ

その時俺は、あることを思い出した

今まで、1度も行かなかった方向が

ひとつだけある

もしかしたら、その方向二出口が


カンカンカンカン!

「うわぁ!」


いきなり鐘の音後鳴り響き

俺は、驚いた

なにかの合図だろうか

よく分からないが

何か良くないことが起こりそうだと感じた俺は

その場から走り去った


自分がどこに向かっているのか

この道がどこに続いてるのか

俺には、分からない

それでも、体は止まらなかった

後ろからは足音がかすかに聞こえていた

バレた

俺がここにいることも

洞穴から出たことも

キョロキョロと周りを見ていた

どこかにヒントや出口がないか

探しながら走っていた


「……みな、と、み、なと

湊!はぁはぁ、ゆ、夢

ここは、集会所

俺は……あ、そうだ

殴られて、また、足でまといになった

結局湊を守れてない」


カンカンカンカン!

「鐘の音か、鐘がなる時は生贄が逃げた時

湊、逃げ切ってくれ」

「おやぁ?誠大くん起きたのかい?」

「おじさん」

「湊くんが心配だねぇ」

「……」

「話したくないとぉ?」

「酷い人に話すことなんてない」

「言い方がなってないねぇ

尊敬してる人に対してぇ」

「尊敬してない!」

「おやぁ?」

「湊は、負けない」

「はっきり言うねぇ」

「お前らみたいに残酷な人間じゃない!

死んでるやつじゃない!生きてる

ちゃんとした人間だ!」

「これは、もう少し眠っててもらわないとだねぇ」

「やばっ」


ガシャーン!

「あっぶね!瓶投げたら危ない!」

「大丈夫、大丈夫だぁ当たりやしないさぁ

それにしても、そんな元気があるとはねぇ」

「こっちは、お年寄りじゃないからね」

「そんな口の利き方でいいのかなぁ」

「知らないもん!」

「あ、待てぇ!」

「なんじゃ、手こずっておるのか」

「ばぁさんやぁ助けておくれぇ」

「しょうがないやつじゃのう」


「俺ができること、俺ができることは

村人たちをおびき寄せて時間を稼ぐこと

出口の反対側に行こう」

「待つんじゃー!誠大!」

「げっ!おばあさんが来るのは卑怯だよ!」

「待つんじゃー!」

「この人話聞いてないし!」


「本気だすんじゃよ!」

「やめてよ!早いもん!」

「止まるんじゃー!」

「来たー!」


「はぁはぁ、こ、ここまで来れば

大丈夫だろ、ふぅ……それにしても、走ったな

小屋まできたのか、なんだか懐かしい気がする

湊とこの先の洞穴で喧嘩して

あの時の光景がずっと出てくる

湊に謝りたいけど、会えない」

「見つけたぁ」

「諦めるんじゃ!」

「……俺は、ここまでかな

もう、湊と俺は別の世界にいるんだね

まだ、同じ村の中にいるはずなのに

変な感じだよ」

「諦めたかぁ?」

「うん、おじさん

俺は、もう逃げないよ」

「そうかぁ、そうかぁ」

「だからさ、一緒にもう1回焼かれよ」

「はぁ?」


カチ


「火じゃ!火じゃ!」

「逃げるんだぁ」

「無駄だよ、火は俺たちの最期を

迎えるものだからね」

「やめておくれぇ」

「嫌だ、俺はお前たちとここでもう1度完全に

この世界からいなくなる」

「熱ぃぃ!」

「パチパチと燃える音が聞こえる

この音を聞くとあの時を思い出すな

湊、ごめんね俺にはこれしかできないんだ

だから、生きて自分の力で

生きてここから出て」


まだ、出口は見えないのか

どこまで続いてるんだ

後ろからは、村人たちが追ってきている

くそっ、この道で合ってるのかも分からない

ヒントなんかある訳もなく

ひたすらキョロキョロしながら

走り続けていた

その時、ひとつの木に何か

マークがあるのが見えた

俺は、村人との距離はまだある

少しスピードを落とした

木に書かれていたのは

矢印だった

向かっている方向を指している

後ろからの声に

俺は、一か八かそのまま直進した

誰が書いたのか分からないが

もし、本当ならこの先に出口がある

他にもヒントがないかと探していると

同じように木に矢印が書かれていた

それからも複数同じようにあった

俺は、その通りに真っ直ぐに進んだ


しかし、目の前に見えたのは柵だった

騙されたと感じた

村人たちは迫ってきている

どこかに隠れられるところがないか

探していると

また、矢印を見つけた

今度は、左を指していた

信じたくはなかったが

他に道もない

仕方なく左に進んだ


そろそろ、俺の体力も限界だ

村人との距離も近くなってきた

もう、終わりなのだろうかと

思っていた時

後ろから叫び声が聞こえた

俺は、驚いて振り返った

その時、横から老人がでてきた

突然の事でうごけなかった俺の前を

大木が横切った


「え……なに、これ

村人たちが慌てている

見えない何かが大木を振り回している

今、何が起きているんだ」


村人たちは俺よりも

大木に意識がいっていた

そのすきに、ゆっくりと走り出した

見えない何かが俺を助けてくれてる

もしかして、あの矢印も

見えない何か

矢印は、墨のようなもの

その時、俺の頭には

八尺様が出ていた

初めて会った時黒い姿をしていた

もし、八尺様なら

言葉通じるかな

仮に通じなくても気持ちなら

俺は、そう思い

立ち止まって振り返った

そして、1度頭を下げてから


「八尺様、ありがとうございます

ここは、任せてもいいですか」

「いいよ」


俺は、八尺様の言葉を聞いて

もう一度頭を下げた

そして、また振り返り

走り出した

だが、体力に限界が来ていた

早く走れない

その時、後ろから風が吹いた

俺の体は軽くなった

まるで、八尺様が

背中を押してくれてるみたいだった

どんどんスピードが上がり

さっきよりも早く走っていた

俺は、そのまま走り続けた


気がつくと出口らしきものが見えた

その瞬間、風が消えた

八尺様は、村からは出られない

ここまでってことか

今度は、振り返らずに

お礼だけ言って

出口に向かった

この辺に村人はいなかった

そして、誠大の言った通り

出口が空いていた

俺は、1度も立ち止まらず

振り返らずに村を出た


村から出て少し歩くと

見慣れた景色が見えてきた

俺は、安心と同時に

誠大に会えなかったことを

謝れなかったことを後悔していた

元々、誠大と俺はいる世界が違う

それでも、同じ生きた人間だった

感情もあって痛みもあって

後ろを振り返ろうかと思ったが

振り返っちゃダメそう感じ

前を向いて歩き続けた


歩きながら俺は

誠大、絶対に村のこと調べて

お前に伝えるそして、その時に謝るから

と心の中で言った


そのまま、帰路についた

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