13日目 八尺様
次の日起きると
誠大がいなかった
朝ごはんの用意でもしてるのかと思い
俺は、洞穴から出た
しかし、誠大はいなかった
辺りをキョロキョロと見渡していると
昨日の小屋が視線に入った
まさかなと思い俺は
小屋に向かって走った
昨日、誠大は小屋から出ようとしなかった
しかし、あれは小屋にいる方が安全だと
言っていただけだ
そんなことを考えていた
自分に色々言い訳をしながら
小屋に向かって走っていた
小屋につき周りを見る
でも、誠大はいなかった
誰もいない
俺は、洞穴に戻った
誠大を本気で怒らせてしまった
俺は、後悔していた
自分らしくもない
あんな怒鳴り方して
誠大のこと怒って
俺は、早く誠大が戻ってきてくれることを
願っていた
誠大がいないと飯が食えない
1人はつまらない
外に出れない
誠大がいないと怖い
誠大が心配
俺は、自分に言い訳ばかりしていた
事実を自分の本当の気持ちが出てくると
弱い自分が出てくるから
俺は、いつもそうだ
自分の気持ちをきめふことができない
反抗されたらすぐに怒ってしまう
短気なところがあるのも知ってる
俺の気持ちは今もごちゃごちゃだった
「なんだよ、湊のために
守ろうとしたのに俺は
守ろうと、してたのかな
いや、してなかった
いつもと同じだな
俺は、相手のためと勝手に思い込んで
勝手にあれこれ決めて話聞かなくて
勝手に行動して、喧嘩して
俺が飛び出して、何も変わってない
湊、怒ってるかな……怒ってるよね
そりゃ、そうだよね」
「おやぁ?誠大くんじゃないかぁ」
「あ、おじさん」
「どうしたんだぁ?」
「い、いやなんでもない」
「もしかして、湊くんと喧嘩したのかぁ?」
「してない」
「そんな警戒しなくて大丈夫だよぉ」
「警戒するよ」
「どうしてだぁ?」
「だって、味方じゃないから」
「味方だよぉ」
「嘘!湊に呪いの道具渡した」
「それはなぁ」
「それに、変なことしようとした」
「……」
「ずっと、そうだった!」
「誠大ぁ」
「な、何」
「ちょっと、口の利き方が
ダメじゃないかぁ?」
「そ、それはごめんなさい」
「まぁ、大丈夫だぁ」
「それで、おじさんはなんの用?」
「そうだったなぁ」
神様、頼む
どうか、誠大が早く戻ってくるようにしてくれ
やっぱり、俺誠大がいないと心細い
ずっと、そうだ
強がってた、俺は弱いんだ
「お、おじさん?」
「なぁ、誠大ぁ
これはぁ、誰が悪いと思う?」
「なにが?」
「お前だよぉ!お前の自業自得だぁ!」
「な、何」
「残念だったなぁ」
「やばっ、逃げよ」
「待てぇ!」
「ひっ!」
「残念だねぇ」
ドンッ!
「ヴッ!カハッ」
「運が悪かったなぁ
でも、お腹でだけでよかったなぁ」
「み、なと……」
神様!頼む!
誠大を誠大を
「誠大を返してくれ!」
「気を失ったかぁ」
「どうじゃ?」
「おぉ、ばぁさんかぁ
やったぞぉ」
「行くかのう」
遅すぎる、何かあったのか
いや、まだ怒ってるだけ
もしかして、襲われて
いや、大丈夫だ
何かあったに違い
やめろやめろ!
嫌なことばかり頭に浮かぶ
嫌だ嫌だ
ビュービュー
突然風が強くなった
この現象は、八尺様だ
なぜ、俺が1人の時に来るんだ
俺は、目をつぶっていた
しばらくして、風が止まった
ゆっくり目を開けてみると
目の前が暗かった
さっきまで月明かりが照らしてたのに
そして、出口には八尺様が立っていた
俺は、怖くて動けなかったが
手が伸びてきた時は
本能的にやばいと思ったのか
後ずさりをした
だが、伸びてきた手は途中で止まり
上下に振っていた
こっちに来いと言っているのか
俺は、行っていいのか分からなかったが
行かないと大変なことになりそうだと思い
恐る恐る外に出た
そして、八尺様を見た瞬間
俺は、違和感を覚えた
なんだか、小さい気がする
初めて会った時はもっと大きかった
俺がそんなことを考えていると
八尺様が話しだした
「あ、なた、み、な、と」
嘘だろ、話せるのかよ
驚いて固まっていると
八尺様は、何度も同じこと聞いてくる
俺は、頷いた
すると、八尺様はそのまま続けた
「み、な、と、で、るここ」
「そうだな、出ねぇと俺死ぬから」
「でる、しら、べ、る」
「調べる?」
「ここ、し、ら、べる」
「この村をか? 」
「そう、しらべ、たら
ここ、くる」
「はぁ!?また、来んのかよ」
てか、なんで俺
こいつと話せてるんだ?
「つ、べこべ、う、る、さい」
「あ、ごめんなさい」
怒られた……
な、なんか静かにしとくか
「み、なと、はな、す
しらべ、た、こと」
「調べてわかったことを話せばいいのか?
もう1回ここに来て」
「そう、せーた、たす、け、る」
「せーた?」
「せーた、し、ぬ
あ、ぶない、みな、とはな、す
た、すける」
「俺が、そのせーたってやつを助けんのか?」
「そう、たす、けて、たすけ、て」
「お、おうわかった」
俺は、八尺様の圧に負け
知らない奴を助けることになった
俺が助けると言った時
八尺様は、笑っていた
そして、声は聞こえなかったが
「ありがとう」と言っていたように見えた
もしかして、八尺様って
悪いやつじゃないのか
いや、まぁ、俺が
おかしくなったって可能性もあるけど
とにかく、明日は脱出する日だ
まさか、最後で1人になるとは
思っていなかったが
絶対に出てやる
「もう、ええやろ
なぁ、八尺さんや」
「そうだなぁ、真衣も
生贄が欲しいだろうしなぁ」
「そうじゃな、じぃさん」
「あいつをぉ、湊を殺せぇ
どんな手でも構わないからぁ
確実にぃ、やれぇ!」




