11日目 地下室
誠大が言っていた
この村で生まれた双子が5歳になった時
この部屋で寝泊まりをすると
なぜ、5歳なんだろうか
俺は気になって誠大に聞いた
「なんで5歳になった時かだって?」
「そうだ」
「……答えてもいいんだけど
その前にひとつ聞いてもいいかな?」
「なんだ?」
「どうして、そんなにこの村について
俺に聞くの?」
「え?」
俺は、誠大の質問に
困惑した
今まで言ってこなかったこと
確かに今迄も沢山聞いた
だけど、理由は聞いてこなかった
さすがに聞きすぎたか
そう考えていると
誠大が口を開いた
「もしかして、この村について
調べようとしてる?」
この言葉に俺は
すぐに答えることが出来なかった
今調べようとしてる気持ちはある
だが、そう答えられなかった
誠大は続けた
「もし、そうなら
この村を出てからにしてほしい
あまりここで知り過ぎると厄介なことになる」
「厄介なこと?」
「ここにいる人たちは
外から来た人に自分たちのことを
知られすぎるのが嫌いなんだ」
なるほど、だから
誠大は村を出てからと言ったのか
俺は、余計なことをしていたようだ
「わかった、これ以上は聞かない
村を出たら調べる」
「ありがとう」
お礼を言う誠大は
小さく笑っていた
しばらくして
誠大が出かけて行った
いつも同じ時間に出かける
どこに行ってるのか
聞いたことがあるが
答えてくれなかった
俺は、1人でいる間
何もすることがなく暇だった
スマホも電波が届かず
何も無い小屋で1人
何をしようかと考えている時
ふと、この小屋で知らないところが
ひとつあることを思い出した
一つだけある扉
その扉の先は地下室に続いていた
俺は、誠大が帰ってくる前に
入ってみることにした
地下室への階段は急で
油断すると怪我をしそうだった
中も暗く足元がよく見えない
幸い箱の中に提灯とマッチがあり
それを使って階段を降りた
地下室は、思ったより狭かった
提灯の光だけでは奥の方は見えず
気になった
俺は、恐る恐る近づいてみた
歩いていると
足に何かが当たった
提灯を下に向けると
そこには、布で巻かれた何かがあった
どこまであるのか見ていると
なにか見えた
俺は、確認するために
視線を戻すと
俺は、思わず声を上げた
そこには、子どもの死体があった
その時俺は、ひとつの疑問が出てきた
なぜ、腐っていないんだと
死体は、綺麗だった
そのままの姿
まるで、生きているような
眠っているだけのような姿だった
死化粧をするという話を聞いたことがあるが
これは、違う
化粧じゃない生きていた時の
そのままの状態でここに転がっていた
その時、後ろから声がした
誠大が帰ってきてたのに気づかなかった
俺は、誠大のところに走って行き
死体のことを話した
そして、顔を見た時俺は息を呑んだ
誠大の顔がまた変わっていた
生気のない老人たちと同じ
顔だった
誠大は、俺の肩を掴み
「ここに入るなと言った!
なぜ、入った何故だ何故だ!」
そう大声で言った
確かに、最初この小屋に来た時
さらっと言われた
この地下室には入らないでねと
だけど、俺はその言葉を忘れていた
いや、聞き流してしまったのだろう
ほかのところを見ていたから
俺は、謝ろうと
もう一度誠大の顔を見た
その時の誠大は
まるで、別人のようだった
俺は、この時
これは、誠大じゃないそう思った
じゃあ、一体誰?
八尺様なのだろうか
分からない
でも、このままじゃ誠大までおかしくなる
その言葉が頭をよぎった
俺は、誠大の名前を呼んでいた
「誠大!誠大!
飲まれるなと言った!
お前に言ったぞ!」
誠大の手に力が入る
肩が痛い
だけど、今は考えてる場合じゃない
誠大がいなくなったら
俺は、1人で村を脱出できる自信なんかない
何かいい案はないかと
考えている時
ひとつ思いついた
誠大に声をかけるんじゃなくて
その誰かに声をかければいい
「お前、お前は誰だ!
誠大の中から出ろ!誠大は違う!
こ、この村の奴らとは違う!」
どんどん誠大の後ろに
黒いモヤのような影のようなものが出てくる
このモヤ見たことない
八尺様じゃないのか
今、そんなことは関係ない
「出ろ!早く、誠大から出ろ!」
俺は、誠大の腕を振り払い
誠大の肩を強く握っていた
心でずっと戻ってこいと願いながら
どのくらいの時間が経ったのか分からない
徐々に黒い影が消え
嫌な空気も消えていった
完全に消えた時
誠大が倒れてきた
俺は、体に力を入れるのが遅れて
一緒に倒れてしまった
その先に死体があり
頭を打つことはなかったが
いい気分ではなかった
息を整え
ゆっくりと誠大を見る
誠大は、動かなかった
もう、よく分からなくなっていた
誠大は、幽霊なのにダメージもあるし
今は、気を失っているのか
俺の知ってる幽霊じゃないのか
そんなことを考えながら
誠大を抱え
地下室を出た
布団に誠大を寝かせたあと
俺も、寝ていたらしい
起きたら夜だった
布団には誠大の姿がなかった
掛け布団が俺に掛かっていた
驚いて飛び起きると
誠大が家に入ってきた
そして、笑顔で
「あ、起きた?」
そう言った
俺が何も答えずにいると
「ごめんね、また変なことに
なっちゃったみたいだね
ありがとう、湊が助けてくれたんでしょ」
俺は、声がでず
頷くことしか出来なかった
この村は分からないことだらけ
でも、それを調べることは今はできない
わかっている
でも、これだけは知りたい
「誠大は、本当に幽霊なの?」
「うん」
「なんで、幽霊なのにダメージ受けたり
さっきみたい気絶するんだよ」
「……今日は、ご飯食べて寝よっか
疲れたでしょ」
「……」
「明日、話すよ」
「わかった」
誠大は、鍋を持っていた
今日の夜ご飯は鍋みたいだ
誠大がご飯の時は
暗い話をするのを嫌がることを知っていた
俺は、さっきのことについて一言も
話さなかった
「どうやって湊に言えば
1晩考えてみよう」




