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変化する立場

__入学式後・中庭にて


式典が終わり、控えの中庭は移動する頃。


「……あら、随分とご立派な答辞だったのね」


皮肉を含んだ声が背後から降ってくる。


振り返らずとも分かる。


__グランシュタイン家の令嬢、ミレーヌ。


栗色の巻き髪、氷の様な瞳。

彼女の取り巻き数名が、真珠の様な笑みで囲い込む。


「商人風情が"誇り"ですって。どれだけの家があなたの事を嘲笑っているか、わかっているの?」


「あの壇上は、わたくしたち家族が立つ場所よ。あなたみたいな平民の脚で穢すべきではないわ」


わたしは、正面から彼女を見る。

そして、深く一礼した。


「ご忠告、ありがとうございます。……ですが、学園側が許可した以上、わたしもまた、その場に立つ権利を持っていたはずです」


ミレーヌの眉が僅かに吊り上がる。

取り巻きたちがざわつこうとした、そのとき__


「それ以上はやめておけ、ミレーヌ」


紅の瞳と銀の髪が、歩み寄ってくる。


静かな口調で、ユリウス・フォン・アルセイン殿下が割って入った。


「リリア・アーデル嬢の答辞は、実に見事だった。帝国が求める"賢者"の志を最もよく表していたと、私は感じたがね」


その言葉に、ミレーヌの顔が引きつる。

取り巻きたちも、一斉に黙り込む。


わたしは、戸惑いながらも、姿勢を正した。


「光栄に存じます、殿下」


「才能とは、出自を越えるものだと、私は思っている。家族だからといって、思い上がるべきではない。そう思わないか、ミレーヌ?」


「……はい。殿下の仰るとおりですわ」


ぎこちない笑みを貼り付け、ミレーヌは一歩退いた。


「リリア嬢。また会おう。次は……講義の場で」


一礼して、王子はその場を去る。

その背中を見つめながら、わたしは__自分の立場が一気に"見られる者"から"注目される者"に変わったこと強く感じていた。

今日は、なんか調子がいいので此方もあげます!

此方もお楽しみいただけたら、幸いです。


次回もお楽しください!

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