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破局の命令

その時、突然スマートフォンが振動した。ミンホは習慣的に自分のスマートフォンを取り出したが、画面は静かだった。母親のスマートフォンだった。一瞬戸惑いながらも、母親のスマートフォンを手に取ると、見覚えのある名前が表示されていた。


「打撃隊長 カン・ジェピル」


「深夜にカン・ジェピルが…?」


心臓が一気に沈むような感覚がした。頭の中には様々な考えが駆け巡った。「こんな時間に、もう発覚したってことか…?」


ミンホは震える指先でメッセージを開いた。だが、それがただの挨拶や軽い内容ではないという予感がした。


「お元気ですか?心配になってご連絡しました。」


一瞬にして、ミンホの目が大きく見開かれた。「母親にカン・ジェピルが?…」 頭の中が混乱し、胸の奥底で不安が膨らんでいった。「これは単なる偶然ではない。このクソ既婚野郎が…?」


#2 崩壊の命令

ミンホはメッセージに返信せず、スマートフォンをしまい込んだ。今、急を要するのはカン・ジェピルではないと判断した。母親の無事がミンホにとって何よりも重要だった。ジヌが他に何か手がかりを残していないかと思い、家中を隅々まで探したが、何の痕跡も見つからなかった。すべてそのままだった。現金も家の中にそのまま残されていた。


探し回るうちに時間はすでに午前3時に近づいていた。時計を確認すると、急に疲れを感じたミンホはベッドに腰を下ろし、ゆっくり横になった。そして、いくつかアラームをセットした。


再び思い出が頭をよぎった。


ミンホの記憶は、ジヌとの過去へと戻った。


ジヌは時間が経ってもまだ少し頼りない様子だった。しかし、ミンホは内務室の雰囲気が良かったため、必要もなく叱ることはしなかった。他の後輩たちが相対的な疎外感を感じないよう、仕事の指示も淡々と与えるだけだった。


そんなある日、内務室のドアが突然開いた。


ミンホ:「お疲れ様です。」


カン・ジェピル:「おい、誰かあの…コーディング?それができる隊員いないか?」

カン・ジェピルが急いで尋ねた。


ミンホ:「よくわかりません。」

ジェピル:「お前、分隊長だろ?それくらい知っとけや!」


カン・ジェピルの声が次第に大きくなり、内務室の空気は一瞬で重くなった。

ミンホは心の中で「またかよ」と思いながら、呆れた表情を浮かべた。


その表情を見たカン・ジェピルはさらに怒りを募らせ、ミンホに歩み寄った。険しい表情を浮かべたまま、ミンホの前に立って怒鳴り始めた。


ジェピル:「おい、この野郎!お前がそんなだからだよ!このクソが…!」


その瞬間、内務室の窓越しにシウの顔がちらりと見えた。ドアが少し開き、シウが顔を出して言った。


「上等兵パク・シウ、勤務から戻りました!」


カン・ジェピルはシウを見るや否や、表情が和らぎ、「おお、シウが戻ったか!」と言いながら肩をポンポンと叩いた。そして何事もなかったかのように外へ出て行った。

カン・ジェピルが出て行ったのを確認すると、シウはすぐにミンホに近寄った。


シウ:「ミンホ、なんで?カン隊長、どうしたんだよ?」

ミンホ:「ああ、知らん。またコーディングだのなんだの探せってさ。」

シウ:「何でだよ?」

ミンホ:「知らん。あいつまた昇進狙いだろうよ。」

ミンホは肩をすくめながら答えた。顔には疲労の色が浮かんでいた。


シウ:「飲酒事故起こした警察官が首にならなかっただけでもラッキーだよな。あ、そうだ。前にパワーポイント作らせておいて、トッポッキで済ませたって話聞いたけど?」

ミンホ:「そうだよ。それでみんな勤務中にめっちゃ苦労したんだよ。あの時、ソン・ソジンは除隊待機だとかで勤務にも入れず…ほんと狂ってるよ。はあ…。とにかく、俺は業務課から荷物運ぶの頼まれたから、ジヌ連れて行ってくるわ。」


シウ:「何でお前が行くんだよ?誰か他のやつ行かせろよ。」

ミンホ:「ㅋㅋㅋ無理だよ、バカやろう。みんな忙しいんだよㅋㅋㅋお前が行くか?」


シウ:「上等兵、パク・シウ、お疲れ様です!」

シウがおどけて敬礼した。


ミンホ:「ㅋㅋㅋ行くぞ、ジヌ!」

ミンホは小さく笑いながらジヌを呼んだ。

ジヌ:「一等兵イム・ジヌ、了解しました!」


ジヌとミンホは職員(警察官)から説明を受け、会議室内の机や椅子をセッティングし始めた。


ジヌ:「上等兵リュ・ミンホ。」

ミンホ:「ん?」

ジヌ:「さっきのコーディングの件なんですけど、僕…やってみてもいいですか?」

ミンホは運んでいたテーブルを一旦置き、少し考えるような表情を浮かべた。


ミンホ:「お前、できるのか?」

ジヌ:「はい、できます。」

ミンホ:「…ふーん…。お前、その分野じゃなかった気がするけど?」


ミンホは記憶を辿った。ジヌは大学を出ておらず、分隊内で唯一の高卒隊員だったことを覚えていた。しかし、正面からその話をすると気分を害するかもしれないと思い、遠回しに聞いた。


ジヌ:「ああ、高校時代に独学で少しやっていました。」

ミンホ:「おお、マジかよ?俺そういうの全然分かんねぇけど、お前すごいな。天才だな?」

ミンホが微笑みながら言った。

ジヌ:「ㅋㅋいいえ、そんなことないです。」

褒められて照れたのか、ジヌも控えめに笑った。


ミンホ:「じゃあさ!…これ全部終わらせてからでいいけど、今晩の夜間勤務、何時からだっけ?」

ジヌ:「24時です。」

ミンホ:「ああ、そうか。じゃあ俺が22時の勤務交代の時にもう少し話そう。」

ジヌ:「はい、了解しました。」


「ピピピピッ!」


現在の時間、ミンホの部屋でスマートフォンのアラームが鳴った。ミンホは目を閉じていたのか、短い眠りに落ちていたのか、自分でもはっきりしなかった。起きた後も、だるいとも爽快とも言えない不思議な感覚だった。脱いでいた帽子をもう一度かぶり、トイレに向かった。


用を足し、適当に顔を洗った後、いつものようにローションを塗っていた時、トイレの中に母親の痕跡を見つけた。母親のローション、母親の香水…。その瞬間、また目頭が熱くなり、涙がこぼれそうになった。誰も見ていないはずなのに、誰かに見られているような気がして、急いでタオルで目を押さえた。


続きます!


ミンホは帽子を深くかぶり直し、リュックを背負って外に出た。そしてジヌにカカオトークでメッセージを送った。


ミンホ:「出た。」

ジヌ:「荷物保管所の5番に行ってください。暗証番号は0112です。」

ミンホ:「分かった。」




ミンホは小さく笑みをこぼした。「この状況で笑ってる場合じゃないだろう」と自分にツッコミを入れたが、いつも報告を受ける側だった自分が、今は報告をする側になったことが妙に滑稽に思えた。


脱走兵はジヌなのに、数時間後には打撃隊の連中が自分を追跡しているだろうことも笑える話だった。夜が明ける頃には冷静になったのか、それとも昨日の怒りを全部吐き出してしまい、今は怒る気力も残っていないのか、わからなかった。


地下鉄の荷物保管所はどこにでもあるような無人の場所で、周囲には誰もいなかった。ただ、スクリーンの上に設置されたCCTVを見て、ミンホは無意識に帽子を深くかぶり直した。初めて使う保管所だったので手間取ったが、ようやく5番ロッカーを開けると、中には白い封筒とスマートフォンが入っていた。


暗証番号を再度入力し、スマートフォンを確認すると、登録されている番号はジヌのものだけだった。


ミンホは自分のスマートフォンをロッカーに入れようとしたが、保管時間の制限が気になった。この場所は最大24時間しか保管できない仕様だった。そこでジヌにメッセージを送り、どうするべきか尋ねたが、ジヌは「指示通りにしてください」としか返事をしなかった。


ミンホ:「分かった。全部終わった。」

ジヌ:「ではまず釜山駅に向かい、そこから亀尾クミに来てください。その後、次に何をすればいいのかお伝えします。」


ミンホはジヌに「了解」と返信し、白い封筒を開けた。中にはかなりの額の現金が入っていた。罪悪感を感じたミンホは、正確な金額を数えることはせず、ざっと見たところ20〜30万円ほどはあるようだった。特に節約するようにという指示もなく、手元には数万ウォン程度の現金があったため、始発を待つ煩わしさを避けるため、タクシーで釜山駅へ向かうことにした。


スマートフォンで予約できる便利さを使えないのはイライラすることだったが、そのたびに母親を思い出して耐えた。そして、亀尾行きの始発列車のチケットを無事に購入し、乗り込むことができた。


列車に乗ったミンホは窓際の席に身を預けた。ようやく眠気が襲ってきたのを感じ、念のためアラームをセットして目を閉じた。


ジヌ:「お疲れ様です。」

ミンホ:「ああ、ご苦労さん。」


警察署の1階で夜間警備に立つのは、打撃隊の主な任務の一つだった。かつては二人一組で行われていたが、徐々に人員が減り、一人で勤務をすることが増えた。


ミンホは警棒とベルトをジヌに渡し、さっさと交代を済ませた。ジヌはミンホがすぐに上階へ戻るものと思い、敬礼を準備していたが、ミンホは補助椅子を取り出してジヌの隣に座った。


ジヌ:「お疲れ様でした。」

ミンホ:「何が“お疲れ”だよㅋㅋㅋまだ上がらないぞ。コーディングの話をするって言っただろ。」

ジヌ:「お疲れじゃないんですか?」

ミンホは呆れたように笑いながら答えた。


ミンホ:「めっちゃ疲れてるよㅋㅋㅋでもお前らの方が大変だろ。俺はもう軍歴が進んでるから楽だけどな。」


ミンホ:「ところでお前、そのコーディングの話、カン隊長に言ってみるか?」

ジヌ:「…やってもいいと思います。」

ミンホ:「おい、なんだその言い方。やるならやる、やらないならやらないってはっきりしろよ。でもカン隊長、お前の学歴を理由に何か突っかかってくるかもしれないぞ。実際に何か作ったことはあるのか?」

ジヌは少し間を置いてから頷き、答えた。


ジヌ:「はい、ウェブサイトやアプリをいくつか作ったことがあります。」

ミンホ:「お前、ほんとに天才だな。」

ジヌは照れくさそうに顔を伏せて答えた。


ジヌ:「…いえ、そんなことはありません。」


ミンホ:「いや、どう考えても天才だろ。まあ、お前がやりたいなら、俺が隊長にうまく話してやるよ。でも、カン隊長ってあんまりいい人じゃないのは知ってるよな?」

ジヌ:「はい、わかっています。」


ミンホ:「俺としてはお前が行ってくれると助かるんだけどな。誰か一人が担当すれば、みんなで頭を悩ませる必要もないし。前にPPT作った時なんて、全員で頭抱えてたんだぜㅋㅋㅋデザイナーもいないのに、デザインをどうやってやれって話だよㅋㅋㅋ」

ミンホの話にジヌも笑いを漏らした。


ミンホ:「だから、お前が引き受けてくれるのはありがたいけど、実際やってみてどう感じるかだよな。」

ジヌ:「僕はもともとコーディングが好きなので、大丈夫だと思います。」

ミンホ:「そうか?じゃあやる方向で話してみるよ。でも嫌になったらすぐ俺に言えよ。」

ジヌ:「はい、わかりました。」


ミンホ:「よし、じゃあ俺は行くわ。」


ジヌ:「あの、リュ上等兵。」

ミンホ:「ん?なんだ?」


ミンホは立ち上がりかけて、再び腰を下ろした。


ミンホ:「何か聞きたいことでもあるのか?」

ジヌ:「リュ上等兵が以前されたことって、本当なんですか?」


ミンホ:「ㅋㅋㅋㅋおいㅋㅋㅋそれ誰が言ったんだよ。まさかパク・シウか?」

ジヌ:「…はい、そうです。」

ミンホ:「ㅋㅋㅋあいつ、そんな話をみんなに広めてるのか。」

ジヌ:「ㅋㅋㅋでも、詳しくは聞けなかったので、何があったのか教えてほしいです。」


ミンホは一瞬笑いをこらえ、深呼吸して答えた。


ミンホ:「ㅋㅋㅋㅋいや、ちょっと恥ずかしい話だけどな…。お前は信じないかもしれないけど、俺がここに初めて来た時、まだ暴行が普通にあったんだよ。」


(シウとミンホの新人時代の暴行場面)


「ボカッ!」

「…くっ…!一等兵パク・シウ!」

「一等兵リュ・ミンホ!」


先輩から胸に飛んできたパンチを受け、シウはよろめいたが、ミンホは微動だにせず立ち続けた。


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