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第5話 【仙道 莉来】は知らない

 ◇


「それってリスクすごく高くないですか?もし、失敗したとき...先輩、大樹くんに殺されますよ?」


「...それは...まぁ...うまくやるしかないからな」


「...なんでそこまでするんですか...?もしかして...私のことガチで好きでこれをチャンスに付き合おうとか考えてます?」


「考えてねーよ。ったく...、真剣に相談に乗ってやったらそれかよ」


「だって...あんまりにも無茶をするから」


「そうだな。だから、俺を殺されないようにするためにも仙道も本気になってくれると助かるよ」


「...本気って。でも、どうするんです?もし私が現状で先輩に気があるようなこと言ったらそれこそ嫉妬にくるって終わりですよ」


「そうだな。だから、順番は①【春川先輩が関野峰を好きになる】②-①【仙道と別れて関野峰と付き合う】②-②【仙道と付き合いながら関野峰と浮気をする】③【浮気に気づいて分かれる】とか、そんな感じが現実的だろうな。万が一にでも先に仙道が俺を好きだなんてことがバレたらそれこそアウト。恐らく作戦は100%失敗する」


「つまり、先に想和に動いてもらうってことですか?けど、②-①ならまだしも③の場合、私に謝り倒して許してもらおうとするんじゃないんですか?それで一方的に振るようなら今ここで振るのとあまり変わらない気がするけど...」


「そうだな。けど、その順番なら味方をつけやすい。中学と同じことが起こるってことだからね」


「...まぁ...たしかに。けど、想和のほうから動いてもらうなんてできるんですかね」


「そこなんだよ。だからそれとなく探ってくれない?今の時点で関野峰のことをどう思っているか」


「やってみますけど...。私、あんまりそういうの得意じゃないので失敗しても文句言わないでくださいね」


「おっけ。こっちもどうにか関野峰のことを焚きつけてみる」



 ◇数日後


「お待たせ!」


「...はい」


 校門前で待ち合わせをしていた俺たちはそのまま二人で小さな喫茶店に向かう。


 喫茶店に入ると、適当に「コーヒーで」という俺に対して、「店主のおすすめパフェで」と彼女は注文した


「ごめんね!いきなり呼び出しちゃって」


「いえ。それで何の用ですか?RINEじゃなく直接話すってことは何か大事な話があるってことですよね」


「うん!えっと...あれから春川先輩とは...話した?」


「...まぁ、言われた通り一回遊びに誘いました。そしたら普通にOKしてくれて...普通に遊びました。けど...9割はあの女の話をされました」と、睨みながらそう言った。


「そ、それは...」


「本当に別れようとしてるんですか?少なくても大樹くんはそんな気はしないんですが」


「そ、そうだな...うん...。少なくても仙道のほうは別れたがってるから...」


「...そうですか。勝手に奪っておいて別れたがるなんて...」


「ま、まぁ...それは相性ってやつがあるからね?」


「体の相性ですか?」


「そう。そういうこと...。ほら、それって意外と大事って聞くじゃん?」


「...そうですね。聞きますね」


「その...別れたい理由の一つでそれがあるらしくて...。二人とも実は相性が良くないらしいんだ。もし、春川と先輩と付き合ったらそういうことするでしょ?」


「...それはまぁ...したいですけど」


「じゃあ...付き合う前にしてみたいとは思わない?」


「...何言ってるんですか?」


「い、いや!実はカップルの分かれる理由の第2位にこの夜の営みがあるんだ!だって、付き合った後に相性が最悪とか知るより...よくない?」


「もしかして、あなたは仙道としたんですか?」


「いや!まだ...してない。けど、そういうのを誘ってみようと思う。だから...君にも...誘ってみてほしいんだ」


「...そんなことしたら...嫌われそう...だって、彼女がいない時期でも一緒にいて一度もそういうこと誘われたことないし....」


「大丈夫!ほら、それはきっとそれだけ関野峰さんが特別ってことだと思うよ。大切で...特別だからこそ簡単にそういうことはできなかったと思う。それにだって、関野峰さんはかわいいし!もし、関野峰さんのほうから誘ったらきっと...」


「...まぁ...その...考えておきます」


「うん!前向きにお願い!」


 きっと彼女の躊躇には中学時代のことも含まれているだろう。

あの時も自分と同い年の女の子と付き合い、いろんな女の子に手を出しても、それでも関野峰には手を出さなかった。

おそらく、浮気の一件の後、心身ともに支えたのは彼女だった。


 けど、ようやく前向きになった彼が選んだのはまたしても自分と同じ年の女の子で...。

自分がいかに恋愛対象として見られていなかったのかを実感したはずだ。


 それでもあきらめきれない彼女にとってこれは最終手段であった。


 最低な提案なのはわかっていた。

けど、どうやら手段を選んでいる場合ではないらしい。

ここ数日で事態は動き、仙道の行動を縛ることが増えてきたのだ。


「さて...これでうまくいけばいいが...」

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