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第2話 【仙道 莉来】は疲弊する

 ◇


「...莉来。俺は...莉来が好きだ。付き合ってくれ」


「大樹くん...」


 大樹くんはいつも真っ直ぐでカッコいい先輩であった。

最初こそ、入学したばかりの幼馴染が心配なのか想和に会いにきていたのだが、イケメンであり頭がいいと噂の大樹くんは他の女子からも人気であり、なんとなく私も目で追うようになっていた。


 そして、私の方から声をかけると、そこで友達となり、頻繁に話すようになった。


 それから、複数人で遊びに行くようになり、二人きりでも会うようになり、そして告白されたのだった。


 それが5月25日のことだった。


 出会ってから付き合うまでの間は、真摯で優しくてかっこいい先輩だと思っていたのだが、いざ付き合ってみると、だらしない所もあるし、何より束縛が強かった。


 中学時代の男友達と連絡をとっていると、どういう関係だと問われ、やれクラスの男子と話しているのを見かけられたら、そういうのをやめろと言われ...。


 正直、私はフラットで楽しい付き合いがしたいのに、これではしがらみだらけで疲れてしまうのだ。


 一応、それには従ってきたし、大樹くんのほうも自分が言ったことは守っているようだし、浮気とかの心配はないけど...ないけど!...である。


 そうして、いつも通りお風呂から上がり、部屋に戻ると、私の携帯を勝手に見ている大樹くんがいた。


「...なんで勝手に見てるんですか?」


「いや...浮気してないかチェックするために」


「...あの...やめてくれます?普通にプライバシーの侵害です」


「で、でも不安で...」


「...はぁ。私が今まで浮気してたことありますか?もし、そういう過去があったならわかりますけど...」


「でも...!じゃあ、この男はなんだ!」と、バイト先の先輩である国見くにみ先輩とのやり取りを見せてくる。


「...だから、バイト先の先輩ですって」


「ハートの絵文字使ってるじゃん!」


「...いや、それくらい使うでしょ。ちゃんと前後の文章も含めて読みました?死ぬほどdisりながら使ってるんですよ」


「でも!「あの!...大樹くん...そういうのやめてくれます?勝手に人の携帯を見たり、男子と話すなって言ったり、男子を睨んだり...」


「...ごめん。...でも...」


「でもじゃなくて...疲れるんです。そういうの」


「...ごめん」


 最初はこんな人じゃなかったのに...。


挿絵(By みてみん)



 ◇翌日 バイト先にて


「って、ことがあったんです。はーもう疲れました。本当に。てか、どんだけ疑うんですか?私に前科があるならまだしも、浮気なんかしたことないっての!あー、やだやだ」


「...なるほどね。いや、束縛する人は大抵、自分に自信がなかったり、または過去の恋愛でそういった経験があると束縛しやすいらしいよ。あと、これは逆張りというか少し信憑性は不確かだけど、浮気しやすい人ほど束縛するらしいよ。自分もしているから相手もするんじゃないかって」


「...えー!すごいですね先輩!彼女もいないし、出来そうにもないし、どうせ今後縁もないはずなのにそんなこと知っててすごーい!」


「ふんっ、ばっか!俺にだってチャンスの一つくらいあるからな!」


「いやいや!強がりとか言い出すってw」


「いや、これがマジなんだよなー!だって、『私が今誰とも付き合ってなかったら、きっと国見くんのこと好きになってた』って、言われたんだぞ!すごいだろ!」


「うわー、むなしっすねぇ〜。それ、女子語でいうところの都合のいい男って意味ですよ。そういう女子は大抵フリーになったら、『今は一人の時間が欲しい』とかいって、知らぬ間にまた彼氏作るんですよ。なので、実際そうなって告白されてから自慢してくださいよ」


「...やめてくれよ。結構マジで期待してたのに」


「てか、そんな風に言われる女子の知り合いとかいたんですね」


「まぁな」


 なんだか先輩と話してると本当気が楽になるな。気負わなくていいし、気を使わなくていいし...。あぁ、楽だわー。


 けど、そんな先輩が意外と女子との交流があることにはびっくりしたなー。モテるのかな?


 そんなことを思いながら接客していると、チリンチリンと入店の音がする。


「私行ってきまーす。いらっしゃいませー」


 そこに居たのは二人の女子高生だった。


 すると、何やら私を見るとヒソヒソと話し始める。


「2名様ですか?」


「あの...あなたが今、大樹と付き合っている...人で間違いないですか?」


「...はい?」

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