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第11話 【四条 雪花】は決意する

「あの席でもいいかしら?店員さん」と、バックヤード近くの席を指差す。


「...あ、ど、どうぞ」


 既に店内は空いていたため、言われるがまま席を案内する。


 そうして、バックヤードでお皿を洗っていると、小さく会話が聞こえる。


「それで?どうする?」


「どどどど、どうするって...?」


「いや、結婚とか。子供を産む以上そういうことになると思うけど。出来ちゃった結婚になるわけだし。それに子供を産むならもしかしたら高校を留年しないといけないし。いえ、それよりまず両親に報告しないとよね」


「ちょちょちょっ!待ってくれ...。おろすっていう選択肢は...ないの?」


「おろす?あんなことをしておいて、子供ができたからおろすっていうこと?そういう可能性は一切考えてなかったってこと?私たちの将来のこととか」と、声色が更に険しくなる。


 本当であればお水を出して注文をとりに行かないといけないのだが...そんな雰囲気ではない。


「あっ、いや...そ、そうじゃないけど...いきなりことで...ほら!俺たちまだ高校生だし!経済的にも子供を産むっていうのは...大変なんじゃないかな!」


「そこは私の両親に相談するしかないわね。私も軽率だったけど、それでも誠くんとなら私は一生添い遂げてもいいと思っているわ。けど...おろすということなら話は変わってくるわね。もちろん私の体にも少なからず影響は出るでしょうし、そのお金を出してくださいっていうのは相談しにくいことでもあるから」


「...おろすとしたら...いくらくらいかかるの?」


「20万くらいかしらね。詳しく調べてないからわかるけど。ねぇ、さっきからおろすことについての話しかしてこないのはなんで?」


「いや...その...ご、ごめん...俺はまだ父親になる覚悟とか...そういうのがなくて...」


「じゃあ、なんで私にあんなことしたの?生は嫌だって何回も私言ったよね?それでもしたのはそういう覚悟があったからじゃないの?」


「...ごめん」


「そう。もういいわ。別れましょう。顔も見たくない」


「...ごめん」と、もう一度謝るとトボトボと帰っていく佐藤先輩...。


 生唾を一つ飲み込み、今の会話は何一つ聞いていませんでしたみたいな顔をしながら俺は水を出しにいく。


「お、お水をお持ちしました。ご注文はお決まりでしょうか...?」と、必死に笑みを作る。


「...そうね。独りの女にぴったりな料理とかあるかしら?」


 そんな状況に合わせた料理などただのファミレスにあるはずもない。


「...そのような料理は...わかりませんが...何か嫌なことがあったのであれば、好きなものをたくさん食べるのが良いかと...」


「そう。じゃあ、店員さんをいただける?」


「そのような...サービスはございません」


「...残念ね。ね、今の話本当だと思う?」


「...はい?」


「私みたいなリアリストが中に出されて放置しているのと思う?面倒でもアフターピルなりそういう対処をしないと思った?」


「...え?」


「私は彼が本当に私との将来を考えているなら我慢しようと思ったの。子供ができたりそういうことになっても愛してくれるのかが知りたかった。けど、結果は最悪だったわ。それでも私は彼のことを嫌いになれない。私って思っていたより頭が悪いのね」と、寂しそうに呟く。


「...そんなことないと思います。彼のことを嫌いになれないのはきっと彼のいいところをたくさん知っているからだと思います。自分は...人を嫌いになる瞬間って、その人のいいとこより悪いところを見えるようになった時に嫌いになると思うんです。今でも嫌いになれないのはきっと、彼のいいところをたくさん知ってるからだと思います。それは決して...頭の良し悪しで決まることではない...と思います」


「...優しいのね。本当」と、目を逸らしながらそう言った。


 そうして、俺は注文を聞くことなくその場を離れた。

きっと今はそうした方がいいと思った。


 それから少し時間を置いてから、もう一度彼女の席に戻ると少し目は赤くなっていたが、それでもいつもの会長に戻っていた。


「お待たせしました、『特選オムライス』です」


「...え?私まだ注文していないけれど...」


「前に言ってたよね。うちのオムライスを食べたいって。もちろん、俺の奢りだよ」


「...馬鹿」



 ◇翌日の放課後


 いつも通り生徒会室に行くと、そこにはいつも通りではない会長がいた。


「お、お、お、おはよう...//」



挿絵(By みてみん)

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