表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/29

第2話 新世界

 無事今回も書き上げました。次もなんとかなりそうです。そんなわけで次回は来週14日8時の予定です。

 眩しさに目を開けると、そこは光溢れる世界だった。

 てか、広い室内?

 目の前には俺を抱える女性。


 突如、ケツに痛みが走った。どうやらひっ叩かれたらしい。


「うぎゃあーっ!」


 俺はみっともなく大声を上げた。

 なのに周りは喜ばしい笑顔。

 なんでだよっ、他人の泣き喚く姿がそんなに面白いってのかよっ。


 …って、ちょっと待て。なんか感覚が怪訝しいぞ。

 って、おいっ、なんじゃこりゃーっ!


 よく見りゃ俺の手が足が、そしてムスコが…。


 そんな中、室内に男達が入って来た。

 その内のひとりが俺を嬉しそうに抱き上げる。


「おおっ! 男の子じゃないかっ!

 でかしたぞ、ネーナっ!」


 両手で軽々と抱えられた俺。

 なんか腕がでかい。俺の体全体がその両手のひらに収まるかのようなこの感じ。

 明らかに俺の体が小さくなっている。

 ってか、俺、…信じたくないけど、ひょっとして赤ん坊になってる?


 俺はその男の手から先程「ねーな」?と呼ばれた女性へと渡された。

 幸せそうに俺を胸元に抱く女性。彼女が俺の母親ってことらしい。


 と、ここで男性達が部屋から追い出された。

 ん? なんで?


 ええっ⁈ ちょっとっ?


 突如衣服を(はだ)かせて、その胸元を晒け出す母親。そしてその胸に俺の頭部が…。


 って、ええっ⁈

 いやっ、待てよ俺の左手っ。気付けばその右胸をしっかりと掴んでるし。

 って、おいっ。今度は左胸の乳首に吸わ振り着いてっ!

 …な、なんて我ながら破廉恥な…。

 い、いや、いいのか。赤子なんだから当然の行為で、これは許される行為だよな。

 うお~っ! 赤ん坊に生まれてよかった~っ!


 授乳中…いや、受乳中?の俺を見て恍惚の微笑みを浮かべる母親。

 うぐぅっ…。赤ん坊の、しかも息子の俺がこんな破廉恥なことを考えてるなんて、思いもよらないんだろうな。罪悪感がひしひしと込み上げてくるぜ。


「ええっ、ちょっと、大変っ」


 周章(あわ)てて俺の背をたたく母親。母乳を喉 ()に詰まらせたんじゃないかと心配してくれたようだ。

 ああ…、本当に自分が恥ずかしくって死にたくなってくる。

 あ、いや本当に死ぬとかいうわけじゃなくって、まあ、気持ちの話だから。

 だいたいそんなつまらないことでこの人を泣かせたくはないからな。


          ▼


 あれから数年が経った。多分2~3年くらい?

 俺も多少だが言葉を理解できるようになった。

 で、ここで漸く俺の名前だが、どうやらケントって名前らしい。偶然だが俺の昔の名前の健太に似ている気がする。

 似てると言えば両親もだ。

 父親が藤吉郎、母親が寧々ってどこかで聞いたような名前。でも、多分違う。だってなあ…。


 できるようになったことにはもうひとつ。

 よちよちってレベルだがなんとか少しだけ歩けるようになったのだ。

 で、家の周りを、いや精々が庭先まで程度だけど、それでもととりあえず(まわ)ってみた…。


 驚いた。ここは日本じゃないらしい。

 いや、話す言葉からそうじゃないかって薄々は気付いてはいたよ。だからこその両親の名前の不確かさってわけだ。

 それでだ、なんてえか建物様式だとか、庭先に植えられてる花だとか、他にもいろいろ。

 最初は随分と良い家柄の家に生まれたもんだって思ってたんだけど、でもこれって明らかに違うんだよなぁ。

 だって日本じゃ木造建築が基本ってか常識で、それ以外なんて考えられもしないってのに、ここじゃ石造りの家々が基本だ。多分だけど。

 で、庭の花。これもなんかやたらと茎の部分にトゲの生えた茨みたいなのが植わわってるのだ。なんでもばら?とかいうらしい。まあ、結局は茨ってことみたいだが。ああいう背の低いトゲの生えた植物の総称が茨ってんだから、まあそういうことなんだろう。


 で、驚いたって言えばふたつ。

 ひとつは家の調度品。

 いや本当、こんなの普通の家にあるもんなの?

 どこかのお城のお殿様んちってわけじゃないんだから。いや、それともどこかの金持ち商人のところとか?

 どちらにしても、こういうのって普通家宝って感じで蔵の中に仕舞い込むもんじゃないの?

 なのにそんなシロモノが剥き出しであちらこちらに。ちょっと無警戒過ぎるでしょ。


 で、もうひとつ。

 なんてえか、みんなしてキレイなんだよ。

 いや、美男美女とかそういう意味合いじゃなくって、とにかくみんな衛生的ってやつなんだ。

 小汚ない奴なんてどこにもいない。しかもみんなキレイな衣服に身をつつんで。


 あ、驚いたと言えばもうひとつ。食い物が驚くほど違う。

 まだ俺じゃたいした物は食えないんだけど、見てる限りじゃ……うん、なんか残念。

 どうにも米の飯ってのは無いっぽい。代わりになんかからっからの塊をなんかの汁に浸けて食べている。

 で、その汁ってのも味噌汁とは明らかに違う別物。

 こっちは何度か食ったことがあるけど、しょっぱくて匂いが臭い物ばかり。何だかの乳を腐らせて作って物を使って作ってるってんだから当然だろう。

 晩には肉とか魚が出てくるみたいだ。魚はともかく肉ってなんだよっ。この国の奴らってこんな鬼みたいな物を喰うのかよっ。

 ……でも、そのくせいい匂いをさせてるんだよなあ…。俺もそのうちああいう罰当たりな物を喰うようになるんだろうか。できれば魚くらいで済ませたい。

 てなわけで、マシなのは果物くらいだな。

 うん、これは美味い。林檎や梨とか苺とか、美味いものが揃っている。葡萄なんかも美味そうだ。あとはお馴染みの蜜柑……じゃないな。似てるけどなんか違う。でもこちらも美味そうだ。


 と、こんな感じだ。

 こんなの日本じゃ考えられない。きっとここは金持ちだらけの国なんだろう。…まあ食い物に関しては微妙だけど。

※ ここでは『喉』との表記ですが、この『のど』には『咽』と『喉』の漢字があるんですよねぇ。

 でGoogleで調べたところ次のような感じでした。


・鼻腔:前鼻孔(鼻の穴)から、10cm位後ろにある後鼻孔(鼻の後ろの穴)までのいわゆる鼻の中。

・鼻咽腔:後鼻孔の後方にある、鼻とノドの境の部分です。

・咽頭:扁桃腺とその周りを指し、一般にノドと言われる部分で、空気の通り道であると同時に食べ物の通り道でもあります。

・喉頭:ノドの下の方に位置し、声を出すための声帯という部分を含み、気管の入口にあたります。

・気管から先は下気道と言われ肺に繋がっています。


 よく解らなかったので、それっぽいところを抜粋してみました。恐らく『咽』は『咽頭』で『喉』は『喉頭』のことかと思われます。間違ってたらごめんなさい。

 で、ここでの文章に相応しいのは食べ物の通る咽かとは思うのですが、でもそれが喉に入るから()せるわけで、つまり本当に相応しいのは喉?

 結局、解ったような解らなかったようなって感じなのですが、気管に詰まるってことで『喉』としました。

 …って、この作品でまでこんなことをするとは思いませんでした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ