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第1話 俺は死んじまっただ~?

 別のメインの投稿小説があるのですが、突発的衝動でこの作品を書いてしまいました。

 あくまでその場の勢い任せのものなので、正直な話な~んの用意もありません。まさに行き当たりばったりの作品です。

 そんなわけで、基本的には超不定期な投稿となりますが、とりあえず次回は7日8時の予定です。

 あれはとある日のことだった。

 国定忠治に憧れた俺は家を飛び出し任侠の世界へと繰り出した。

 ……と、意気込んではみたものの…。


「くそっ、なんだよちくしょー。なんでどこの親分も俺のこと相手にしてくれねえんだよっ。

 そりゃあ、俺は昨日駆け出したばかりのトーシローだけど、まさかここまでシカトとはなぁ…。

 世間の風は冷てぇや」


 いや、こんな風に格好つけちゃいるが、実際のところは食い扶持に困った実家を追い出され……じゃない、こっちから貧乏暮らしを見限って、町中で一旗揚げようって寸法だったんだ。

 ……けど、現実って厳しいよなぁ…。


 ん? なんだありゃ?

 はぁ~、さすがは町中ってことか、毛色の変わったねえちゃんがいらあ。まさか青い目にきんきらな髪って、あれが噂の異人さんってやつかぁ…。

 はは、やっぱり田舎から出て来たかいがあったってもんだ。珍しいもんが見れた。

 …って、おいっ、なんだあいつらは⁈

 ああいうべっぴんさんってのは遠くから眺めてなんぼってもんだろ。ああやって絡むってのは不粋ってもんじゃないか。況してやありゃあ嫌がってるって感じじゃないか。いや、言葉は解んねえけどな。


「やいやい、てめえら嫌がる女に群がってなにしてやがるっ!」


 当然俺は止めに入ったね。義を見てせざるは勇無きなりってやつだ。ここで止めなきゃ男が(すた)るとも言うか。

 ともかく任侠道を目指す俺がこんな無体を見て見ぬ振りなんてできるかってんだ。

 強きを(くじ)き弱きを助ける。それが漢ってもんだろう?


「なろう、どこの田舎三品か知らねえが、身の程を知らねえやつは泣きを見るぜ」


 まあ、そりゃあそういうことになるわな。

 ってか、周りの奴ら、なんで離れていくんだよ?

 ちったあ加勢しようって奴はいねえのかよ?


「るせえよっ、そんなこと知るかっ。

 そっちこそそんな馬鹿なこと言ってないで、その子を置いてどっかに行きやがれっ!」


 まあ、それでもこう返すさ。ここまでくりゃあ、もう引っ込みなんてつかないからよ。


「へっ、じゃあお望み通りにしてやるぜっ」


 で、こういう展開。あいつらは俺に襲いかかってきたわけだ。うち一人なんて小刀(ドス)なんて抜いていやがるし。


「誰が望むってんだよ、こんちくしょうっ。俺は痛いのはゴメンなんだつーのっ」


 てなわけで、俺はその小刀(ドス)を躱したわけだが…。


「ちくしょー、てめぇら汚ねぇぞ、大人数でかかってきやがって」


 そう、やはり人数の差ってわけで、そのうちの一人に俺はがら空きの背中に組み付かれ、あとはよって集ってボロボロのボロ屑に。

 ここで俺の意識は途切れたんで、その後がどうなったかは知らねえ。(かろ)うじて記憶に残ってんのは、なんか解んねえ言葉で俺に向かって泣き喚くきんきらきんな髪のねえちゃんの奴らに連れ去られていく姿だけだった。

 くそっ、情けねえ……。


          ▼


 ん? ここはどこだ?

 あの()はいったいどうなった?


「あ、パパっ、目が覚めたんだ」


 気付けば俺の顔を覗き込む童女がひとり。いや幼女?

 って、それよりもっ!


「ここはどこだ⁈

 あの娘はいったいどうなった⁈」


 目覚めた俺は早速幼女へとたずねた。


「ちょっと。痛いよパパ」


 興奮のあまり、俺はその子の両肩をがっちりと掴み過ぎてたらしい。


「ああ、すまねえ」


 冷静になった俺はその手を離すとともに、すぐにその子に謝った。相手が子どもでも通すべき筋は大切だ。


「で、ええっと、まずだけど。パパはあの後死んじゃったの」


 …………はあっ⁈


「こ、このガキ、なんて縁起でもねえこと言いやがるっ! 世の中にゃ言っていいことと悪いことがあるって教わらなかったのかよっ!」


「ん? ないよ」


 無いのかよっ! …って、それじゃあ仕方がないよなあ…。

 こいつの親ってどういう教育をしてんだ。まさか育児放棄ってわけじゃないだろうな?


「わたしのパパってパパなんだけど」


 なんだそりゃ? なんかわけ解んないこと言ってるし。まあ、子どもの戯れ言なんざこの際ほっといてもいいか。


「で、あの後だけど、ママはあの悪いひと達に連れて行かれて酷いことされて死んじゃった」


「……もしかしてあの時のこと知ってんのか⁈

 って、今の話ってどういうことだよっ⁈」


 まさか⁈ この子、俺達のことを見てたのか?


「って、ママって誰だよ? もしかしてあのきんきらきんの髪の女のことか?」


 なんか珍しい名前だけれど、でも異人さんならそんな名前もありなのかも知れないな。


「ん? ママはママだよ。綺麗な金色の髪のひと」


 どうやら間違いじゃないらしい。



 …………で、あの後のことをこの子の口から聞かされたわけだが……。


「まさかこんな子どもの口からあんな様子を語られようとは……」


 それはあまりにあまりな話だった。

 いや、信じるには値しない馬鹿げた話だと切り捨てるべき内容なのだが、しかしこの幼い子どもが語るにはあまりにあり得ない、そんな酷い内容なのだ。

 あまりに酷過ぎる内容なので、生々しいところはあえて省略し簡単に説明するとすると…。

 まず俺はあの時に死んだらしい。

 とりあえずそこはおいとくとして、その時にあいつらに連れて行かれたあの娘だが、なんでも地元の道楽息子の元にて玩ばれて、その後どこぞに売られて行って、そこでも男達に散々と性玩具(おもちゃ)として嬲られ慰み物にされたあげくの果てに死んだのだとか。

 ただ死んだってだけなら質の悪い冗談と言えるが、こんな子どもがこんなことを語るなんて考えられないだろ?

 誰かが教え込んだって考えるにしても、コレをか?

 意味を解らずってことにしてもこの分量とかをってのはこの年齢(とし)じゃ難しいんじゃないだろうか。


「で、パパがパパであのひとがママね」


 で、なんか意味は解らないけど、パパってのが俺のことでママってのがあの異人の娘のことらしい。


「ところでさっきから言ってるパパとかママって何のことだよ?」


 どうしてもそこが気になる。それっていったいどういう意味だ?


「んっとぉ、だからパパはパパでぇ、ママはママ。

 で、わたしはパパとママの子どもだよ」


 ???


 ええっと……意味はよく解らないがパパってのが俺のことで……ママってのがあの娘。

 で、この子がパパとママの子どもってことは……。


「はあっ⁈ お前が俺の子どもぉおっ⁈」


「うんっ、それとママの子どもだよっ」


「ば、馬鹿を言えっ!

 お、俺はまだ十五のど…どど…ど、童貞だぞっ。

 なんで身に覚えも無いのにガキなんてできるってんだよっ!」


 くそっ、このガキ、なんて恥ずかしいこと言わせるんだっ。……いや、相手がガキなんだから…。


「あっ、そっか。

 そう言えばそれだけじゃ解らないよね。

 えっとね、まずさっき説明したようにパパはあの時にあれが原因で死んじゃったの。

 で、その時に助けられたママの祈りでこうしてわたしが生まれたってわけね。…まあ、結局ママは助からないであんな風になって死んじゃったけど。

 それはともかく、そんなパパの思いとママの祈りから生まれたのがわたしだから、わたしはパパとママの娘ってわけ」


 ……なんだよそれ? そんなわけの解らないこと現実にあるってのか?

 もし、そんなことが現実にあるとすると……。


「つ、つまりお前は物の怪の類いってことかっ⁈

 …こっ、この化け物めっ!」


「ちょっ、ちょっと酷いよ~っ、実の娘に対して化け物なんてぇ~。これでもわたしって、そんな低級な存在じゃなくってちゃんとした女神なんだからっ!」


 …………。


「はあっ⁈ 女神ってあの、天照皇大神とか、ええっと……、と、とにかくそんな感じのあれの類いってか?

 座敷わらしとの妖怪じゃなくってか?」


「座敷童子とは微妙な者に喩えてくれるわよね。言っておくけど、あれって一応は神様の一柱なのよ。

 って、今はそんな場合じゃなかったよね。

 ええっと、それでね、そんな残念な人生を送ったパパとママを生き返らせて……って思ったんだけど、それってこの世界じゃ今は禁止になってるみたいなんだよね。昔はOKだったみたいなのに。

 まあでも、こんな世界に生き返らせてもどうせまた同じようなことになるのは目に見えてるし、だったら別の世界に転生させようかと思って。

 で、現在はその最中って状況なんだけど……って。

 ちょっと、パパ? 大丈夫?」


 ……いや、ちょっと待ってくれ。

 なに? これ、どういうこと?

 この子って本当に神様なの?

 そう言えばさっきから気になってたけど、この周りの真っ暗な様子って真夜中だからとかってわけじゃないってこと?

 これって、怪しい坊主の類いの説く生まれ変わりとか、輪廻?…ってやつ…なのか?

 いや、それだと閻魔さまとかは?


「う~ん、なんかまだ混乱しているみたいだけど…ってヤバっそろそろ時間だわ。

 ねえパパっ、覚えておいてっ。

 パパが今まで通りパパらしく生きていく限り、絶対にわたしが守ってあげるってっ!

 約束だよっ!」


 そんなその子の言葉を最後に、俺は光溢れる世界へと誘われた。

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