9話
大体テオとリアがいるであろう方向に向かう。声を出して呼んでいるが反応はない。生きているみたいだが、彼らは一体どこへ行ったのだろうか。
森の中は暗い。もう夜なのかと思わせるくらいには暗かった。暫く歩いていると、道は3つに別れていた。どれかを選ばなければ行けなさそうだ。一応、索敵を使い、どの道にテオたちがいるか探してみたが、3つの道の方向に2人はいるということしか分からない。どうしたものか。
「フレイ、どうするべきだと思う? どれを選べばいいのかしら」
「ん〜……迷ったら木の棒を倒してその方向に行けばいいと聞きました!!」
……純粋な瞳でいいアイディアだと言わんばかりのフレイ。しかし迷ってるここで迷ってる暇はない。フレイのアドバイスを受けることにした。
とりあえずその辺にあった棒を真ん中において立てる。棒はゆっくりと体を傾けた。その方向は真ん中だった。フレイとリリーは顔を見合わせ、真ん中の方向へ進む。本当にテオたちがいると願って。
リリーとフレイは只管歩く。それはとても長い道だった。とにかく歩いていると道はやっと開けて、そこにはキラキラと光る湖があった。そこはとても綺麗で水がとても透き通っていた。そして、湖の横には三角屋根の一軒家がたっていた。リリーとフレイは警戒しながらその家へと向かう。家の前に着くと、リリーは扉を叩く。しかし、反応はない。リリーはもう一度扉を叩く。だがしかし、やはり反応はない。リリーとフレイはゆっくりと家の中へ入った。
「どなたかいませんか??」
リリーは少し大きな声で質問する。けれど返事は帰ってこない。やはり家主は出かけているのだろうか。2人は中へ入ると、誰かが居ないか探し始めた。
「リリー様! こっちへ来てください!」
リリーが下の階を探していると上の階を探していたフレイがリリーを呼んだ。リリーは急いで上へ登る。するとそこには少し悲しそうな、驚いているような、怖がっているようななんとも言い難い表情のフレイがいた。
「フレイ? どうかしたの?」
「これを……見てください」
そう言ってフレイは体を避け部屋の中を指さす。するとそこに居たのは白骨化していた人であろうものだった。リリーはゆっくり近づく。そして白骨化している遺体を捜査する。
「多分骨から見るにこの子は男の子の子供のようね」
恐らく12歳位の子供だ。死んで何十年も経っているようだ。男の子の手元には何やら手紙のようなものがあった。リリーはそれを手に取って読む。
【もしここへ人が来るとしたら、きっと僕はもうこの世には居ないだろう。分かるんだ。これは寿命なのか、はたまた病気なのか僕には分からない。しかしいつ来るか分からないお客さんのために食料は残しておこう。電気もつけれるようにしよう。もし僕を見つけてくれたお客さんがいたら、良ければ僕の遺体を家のそばに埋めて欲しい。ユーガフ】
手紙には細々とした字でそう書いてあった。リリーは読み終えると手紙の言う通り、男の子の遺体を家のそばに埋めることにした。そしてここをテオ達を探している間は拠点にすることにした。ありがたいことに食料も水も電気もある。暫くはここで生活しながらテオたちを探そう。生命反応もここら辺で光っている。
とりあえず今日はもう遅い。ここは木で囲われていて上は空が見える。空はもう暗かった。大丈夫、テオたちは生きている。明日のためにもリリーとフレイはもう休むことにした。