20話
リリーには何が起きたか分からない。しかし場面が良くないことは分かる。深呼吸をして状況を整理する。
魔族が現れた。魔族は【呪言】というものを扱いリアを刺した。それを見たフレイは怒り狂い呆気なく魔族を倒してしまった。フレイは魔法が使えないといって居た。しかしあの魔力量、エルフ独自の魔法。魔力量だけで言ったらリリーを上回るほどだった。そして魔族を倒したフレイはその場に倒れてしまった。
「フレイ!!」
リリーは急いでフレイの元へ駆けつける。声をかけるがフレイは反応しない。
「リリー、一旦安全な場所へ運ぼう。俺はリアを運ぶ」
「うん……」
6人は宿へ戻ることへなった。リリーはフレイを、テオはリアを寝かせる。2人とも中々起きない。
「2人とも異常は無さそうだわ。フレイは魔力の枯渇、リアは血を多く失ったため意識を失ってるみたい。休めば回復しそうだわ」
2人の様子をみたアイネが淡々と言う。とにかく異常がないみたいで良かった。暫くはやすむべきなのかもしれない。
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フレイとリアは1週間くらい眠っていた。アイネは2人ともに看病をしていてくれている。リリーたちはその間に稽古をしていた。リリーは思ったのだ。フレイの魔力をみてこのままでは行けないと。いくらスキルが最強クラスでもまだできることは少ない。マオとテオが剣の稽古をしている間リリーは只管魔法の練習をしていた。とにかくただただ必死に練習していた。
気がつくと朝になっており、リリーは寝てしまっていた。
「あれ、私外で練習していたはずなのにいつ間にか朝……?」
寝ぼけながらリリーは寝返りを打つ。すると横には銀髪の美しい青年がいた。リリーの思考は停止する。銀髪、美しい青年、可愛らしい寝顔、隣にいる。
「え、て、テオ……?」
「んん……リリー、起きたのか」
「なんでテオがここに?」
「昨日魔法の鍛錬をしていたリリーがそのまま寝ていたから部屋まで運んだ。そしてあまりにも可愛い寝顔みてたら気がついたら俺も寝ていたごめん」
「か、かわっ……っありがとうっ」
「照れた顔も可愛い」
「っうるさい!」
「朝からイチャついてるとこごめんだけどリアとフレイが目が覚めたわよ」
ドアからアイネが顔を出す。リリーの顔はりんごのように真っ赤になってしまった。いつから見ていたのだろうか。とにかく恥ずかしくて仕方ない。
「い、今行くわ!」
「あっちで待ってるわ」
テオとリリーは急いで支度をしてフレイとリアの元へ向かった。




