18話
次への道のりはすごく長かった。次に向かっているところは街を2つ超えた先にあった。しかもその街は栄えており、中々広かった。次の目的地まで進むには3週間くらいかかった。それに、途中で雪やら雨やらこの時期にはおかしい異常気象があった。
「ねえええー、テオー!! まだつかないのー」
「次の街まであと2時間はかかるぞ」
「俺、もう凍死しそう……」
リリーが駄々をこねており、マオは何やら死にかけている。しかし次の街まであと2時間はかかる。テオはどうしたものかと考える。ふと横を見ると小屋があった。
「皆、小屋がある。1度そこに避難しよう」
一同は急いで小屋に向かう。小屋の中へ入ったが誰もいなかった。フレイとリアは急いで暖炉に木を詰める。そしてアイネがそこに火をつける。小屋の中がだんだん温まっていくのがわかる。そして食事をすることにした。それぞれ食事も終わり、皆疲れたのかあっという間に寝てしまった。リリーは寝れなく外を眺めていた。
「リリー、寝れないのか」
「うん寝れない」
リリーはテオの方向を見つめる。テオが隣に座る。
「ねえ、テオ。私怖いんだよね。何故か冒険することになって、こうやって当たり前に冒険することに慣れて、そして魔王を倒したら皆バラバラになるんだよね? 私怖い、そのうち皆がいないことが日常になるの」
「……冒険が終わったら一緒に暮らすか?」
「……え?」
リリーは驚いてテオを見つめる。テオの表情は至極真面目だ。冗談を言っているようには思えない。
「それって、一体どういうこと?」
「冒険が終わったら、俺と結婚してお城で一緒に暮らそう。まあ王位継承権はあるけど第3王子だから王にはなれないと思うけど」
「私の事好きなの?」
「うん、小さい時からずっとね」
「小さい時?」
幼い頃テオとあった記憶はリリーにはなかった。何を言っているのか分からなかった。リリーの様子を見たテオはやっぱりと言って笑い話し始めた。
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テオがリリーにあったのは9歳、リリーが8歳の時だった。なにかの用があったらしく、リリー一家が王城に来ていたのだ。その時テオは庭の木の上で日向ぼっこをしていた。その時、風が吹きテオバランスを崩し木の上から落ちたのだ。丁度その下にいたのがリリーだった。テオは何とかリリーとはぶつからないようにしたが、リリーは驚いて尻もちをついた。
「ごめん大丈夫だったか?」
「うん、あなただあれ?」
テオは自己紹介をしようと本名を言おうとしたが何故かこの時は本当の名前を言いたくなくて咄嗟にうそをついた。
「ヘンリーだ」
テオはミドルネームを名乗った。リリーはそれを聞いて微笑んだ。
「私、リリーアンナ。リリーって呼んで」
「リリー! ここにいるのー? 帰るわよ」
その時リリーの母親らしき人物がリリーを呼んだ。どうやら帰らなくては行けないらしい。
「私帰るね! もう木から落っこちないようにね!」
「あ、ま、まって! これを!」
帰らせたくない何故かそう思った。しかし帰らせない訳には行かない。テオは急いで耳からピアスを外しリリーに渡した。リリーはそれを握ってにこりと笑った。
「ありがとう」
そういうとリリーは急いで母親の方へ向かったのだ。
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「あの時の、男の子だったの?」
「うん、それが俺。そしてリリーが今つけてるピアス、昔俺が渡したものだよ」
リリーは徐にピアスを触る。昔、男の子否テオがくれたもの。今でも大事にしている。
「俺はあの時からリリーのことが好きだった。今回の冒険、終わったら正式に俺と婚約して欲しい」
リリーは返事をしなかった。テオはやはりダメなのかと思い先をたとうとした。瞬間、リリーに抱きしめられたのだ。テオは驚く。
「うん、約束。必ず一緒に冒険終わらせて2人で暮らそうね」




