13話
村の北の方へ行くとそこは獣臭が充満していた。ケモノの魔物がいるようだ。リリー達は構える。獣もこちらの動きを伺っているようだ。リリーたちは目配せする。リリーは素早く魔法を当て、それを見たテオは一気に魔物に斬りかかりリアは援護する。いいチームワークだ。
こうして4人は村の魔物をどんどん抹消して行った。気がつくと瘴気のような黒いモヤは晴れてあたりは明るくなっていた。リリー達は急いで村人を探しに行く。安否確認しなければまだ不安は拭えない。確か地下に隠れていると聞いた。しかし、地下はどこにあるのか分からない。4人は手分けして探すことにした。リリーとテオは東側、リアとフレイは西側を探す。
「そもそも地下室ってことは建物の中だよな? そこら辺の建物内片っ端から探してみるか」
「そうね。少し手間はかかるけどその方が良さそうね」
リリーとテオは近くにある建物に入ってみた。建物の中は煤で真っ暗になっていた。左手にはキッチンがありその横にリビングがあった。そしてその隣にはお風呂らしきような場所、その奥には一室の部屋があった。貴族のリリーには驚くような家だった。いかに自分の家が豪華ですごいことがわかった。横目でテオを見るとテオも多少は驚いていたようだ。
「平民、というか村人の住んでいる家ってこういう感じなんだな.....」
一言呟いて凄いなというように辺りを見ていた。そりゃあそうだ。テオは立派な王族。リリーの家より遥かに豪華で綺麗だ。
リリーとテオはキッチンの床や、リビングを見て回ったりした。すると何やらキッチンの床に取っ手が着いていた。リリーとテオは顔を見合わせる。テオは床に膝をつき、取っ手を引っ張る。引っ張ると、中は地下になっていた。テオはするりと地下におり、リリーはテオに降りるのを手伝ってもらった。
リリーは魔法で光を生成する。辺りを探すと奥には人がいた。4人家族のようだ。奥で縮こまっている。
「.....ここの、村人ですか? 私はリリー。あなたたちを助けに来ました」
「.....助けに、来てくださった、のですか?」
「はい。俺たちはあなたがたを助けに来ました。魔物たちは全て退治しました」
するとお母さんらしい人がポロポロと涙を流した。そして家族を抱きしめ、ありがとうありがとうと只管泣いていた。リリー達は顔を見合わせて笑い、家族が地下から出るのを手伝った。
「あの、この村はよく家に地下を作るのです。どうかほかの方、村人も助けてください」
「分かりました。私たちが絶対に助けます」
こうしてリリー達は東側の家を全て探索して村人を救出した。中には地下で飢えで死んでいる人もいた。後で弔うことにしてとりあえず地下からだす。そして東側の村人を全て救出した後、リアとフレイと合流することにした。リリーとテオはフレイとリアがいる西側の方へと向かった。




