俺の命を犠牲に〜Bad End〜
「帰ってきたぜ、みんな」
俺はリランカ王国へ戻り、王城へ。場所は、仲間たちの前。
「これで、みんな帰って来る。俺は、その犠牲だ」
本来、俺はあそこで死ぬはずだった。いわば今の俺は彷徨う霊体だ。
「秘宝よ、願いを叶えてくれ。リランカ王国を祖国の民を、仲間たちを蘇らせてくれ--」
その瞬間、秘宝が輝き出す。俺の身体から段々と力が抜けていく。
謁見の間は本来の姿を取り戻し始め、蘇りを示している。
(みんな、達者でな。俺の分まで生きてくれよ)
俺は意識を手放した。
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「ん・・・あれ・・・なんであたし、生きて・・・」
あたしは死んだはずなのに、意識を取り戻した。
「みんな?生きてる?」
「えぇ・・・一体、何が?」
「俺も生きてる。王様たちも・・・」
「僕たちはカイトを送り届けて、死んだはずですが・・・」
あたりを見渡していると、あたしは見たくないものを見た。
「ーーカイト?」
「「「えっ?」」」
それは、カイトだった。
「ねえ、カイト?起きて、朝だよ?」
「カイトの手に握られているのは、まさか」
カイトはあたし達がもう遅いと諦めていた秘宝を握りしめて、冷たくなっていた。
「ねえ、嘘だよね?カイト、そんなのやだよ。カイトがあたし達を生き返らせたの?なんでカイトが死んじゃうの?こんなのって、あんまりだよ」
「カイト君・・・。私達のために?」
「バカイトがよぉ。俺たちの平気な演技は何だったんだよ、たく」
「僕のせいだ。僕が秘宝の話をしたからカイトは、ここに戻ってきて、ここで死んだんだ」
「そんなことはありません、ケント。カイト君は正義感の強い人でした。彼はきっと、遅かれ早かれこの方法をとっていたと思います」
「カイトぉ・・・あたしを置いて行かないでよぉ。あたしの夢、絶対に叶わないじゃん」
「今、とても悪いことを考えてしまいました」
「なんだ?」
「カイト君はその命を全て捧げるのとで私達や国を蘇らせたのでしょう。ですが私達はカイト君に生きてほしい。ですからもう一度この秘宝に願い、私達全員の命と引き換えにカイト君を蘇らせる」
「悪いですね。しかし、僕は賛成です」
「俺はどっちとも言えねえ。カイトが俺たちを蘇らせたのにまた俺たちがあいつだけ残すってのもな。だが、面白え」
「あたしはやる。あたしの命でカイトが蘇ってくれるなら、カイトには幸せになってほしいから」
「満場一致でいいようですね。それでは行きます。秘宝よ、カイト君を蘇らせ、カイト君があなたを見つける前の時間まで彼を戻して下さい」
こうしてあたし達は命と引き換えにカイトを蘇らせた。
--その後小屋で目を覚ましたカイトは再びこの地を訪れ、同じく秘宝を使って彼女らを蘇らせ、さらに彼女らはカイトを蘇らせる。こうして彼らのストーリーは無限ループを始め、終わらない悲しみと失恋の檻に永遠に囚われることになるのだった。
〜Bad End〜