バスが向かう場所
もっともリアルなダンジョンファンタジー開幕!
現実世界に生まれたダンジョンやモンスターは今まで何作品もあったけど、現実世界で素直にダンジョンを攻略する作品は見なかった気がして執筆⋯
現実世界でありながらもやることは異世界のダンジョン攻略に沿って魔法なしのリアルなダンジョン攻略を描いています。
現実世界にダンジョンが浸透した世界で働く主人公を見守って欲しいです。
「おし、お前達トイレと持ち物は大丈夫だな。出発するぞ」
「遠足じゃないんすから源さん」
「おやつは無いからな! その代わりこの遠足は1000万の旅だ。帰るまでが遠足だからな!」
要するに生きて帰るぞってことか。源さんは本当に誰も死なせたくないんだろうな。
いつも現場では先陣切って突入し、献身的なサポートに殿を務めて崩壊寸前の調査パーティを生還させたこともあるらしい。
源さんに生きろと言われれば簡単に死んでやる気も無くなる。
「こりゃ保険は当分先だな」
「遠足とか⋯素直に死ぬなって言えばいいのにな。皆もう分かってるってのに、なぁ?」
バスで隣の席になったやつが声をかけてきた。死ぬ気は無い、同じ話をしているにもかかわらず俺はこいつの顔を認識しようとしない。
いつ死ぬか分からない調査業で相手の素性を知ることは、切り離せないリスクを生むだけだ。大切なのはマッパー2人と支柱の源さん、その2人だけ認識して生かせばいい。
自分が生き残るためには死が確定している奴を助けようとしてはいけない。調査、討伐ともに持ってる理念だ。
だから俺はこの10年、パーティのマッパーと初めての先輩にあたる源さん以外の人間を黒く塗りつぶしたかのように認識していた。
調査中に見るのは他人が何をしようとしているのか体の動きと声の情報のみ。それ以外の情報は全てシャットアウトする。
だからこの時とった俺の行動がただの寝たフリでも間違ってないのだ。
「ふぁ〜⋯着いたか」
目を閉じている間に本当にウトウトしてしまった。周りがやけに騒がしくなって目を覚ます。
「また寝てたのか勇。お前は本当に図太いというかなんというか⋯」
「ちゃんと仕事はこなしますよ。源さんも知ってるでしょ」
源さんは俺と違ってパーティの一人一人の顔を見て他人てやつを知ろうとする。そうすることで誰も死なせたく無くなるらしいが自殺行為だ。源さんが無事に生きているのは奇跡と言っても過言ではない。
「八木、麻布どうだ構内図は頭に入ったか? 私も勇も測量できるからガンガンマッピングしていってくれ」
「は、はい! ありがとうございます」
「分かっとるわ源さん。頼りにしてるわ」
(俺にまで仕事を振らないでくれ⋯)
その後も源さんは主要のメンバー以外にも声をかけていくが、俺はそいつらの声を聞こうとしなかった。
「よし! 全員調子は良さそうだな。それでは1500より調査を開始する! 先頭は私、後方に勇、マッパーは私とイサミの近くに1人ずつであとのメンバーは2人横並びで左右を警戒!」
「「「はい!」」」
源さんとマプ男が先頭きってバスを降りていく。
ダンジョン・新宿駅調査が開始された。
ここまで読んで下さりありがとうございます。
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