悪夢
もっともリアルなダンジョンファンタジー開幕!
現実世界に生まれたダンジョンやモンスターは今まで何作品もあったけど、現実世界で素直にダンジョンを攻略する作品は見なかった気がして執筆⋯
現実世界でありながらもやることは異世界のダンジョン攻略に沿って魔法なしのリアルなダンジョン攻略を描いています。
現実世界にダンジョンが浸透した世界で働く主人公を見守って欲しいです。
「お兄ちゃん! 今度新しく出るPS6買ってよー。ダンジョンの素材で今のゲームすっごいんだから」
「俺にそんな金ある訳ないだろ⋯大学生活しながらバイトで飯食ってんだぞ。ワガママ言うな」
「もうすぐ誕生日だもん⋯」
カレンダーを見ると2032年11月26日。あと一月しない間に妹の誕生日がやってくる。
何度見たか分からない妹が拗ねた顔で呟く。何気ない日常の光景が目の前にある。
「⋯もうそんなか。えぇっと⋯15になるのか?」
「そうだよ、もう高校生なんだからゲームの話出来なくちゃ」
「女の子はそんなにゲームの話しないと思うぞ⋯」
ため息まじにり妹の高校生活を心配してしまう。何度同じため息をついただろう。
「高校生ならではだよ、男の子のゲー友作るんだ」
「程々にな、それじゃバイト行ってくるから戸締りしっかりな」
「私のPS6代稼いできてね! 行ってらっしゃい!」
「へいへーい」
何か忘れている気がする。この後何か大事なことが起きるような、そんな感覚が。
「ちょっと夜だからってボーッとしないで、棚出しする物いっぱいあるんだから!」
「あ、オーナー⋯急にコンビニ? 俺、何か忘れてる気がするんすよね⋯。なにか⋯、とても大事なこと」
「それってこれの事かい?」
オーナーが見せてきたスマホの画面には正体不明の建造物が突如近隣で出現した記事が表示されている。当時はオーパーツや神の啓示だなんて古物学者や宗教が騒いでいたが、ネットの掲示板に書かれた言葉がその後、嘘のように浸透した。
『これ⋯RPGのダンジョンっぽくね。ボス居そうなんだけどwww』
そのスレには突如地上に現れたダンジョンの写真が多方面から撮られて掲載されていた。神殿のような風体に蔦や見たことも無い鉱物、写真でも伝わる重厚的なプレッシャー ⋯。それら全てがダンジョンっぽいなんていう軽い一言を浸透させた。
だけどこのスレを見たのは、あの記事を見た後だ。なんで俺はこのことを知っているんだろう。
今度は家の前にいた。近くでダンジョンが生成され危険だと言うのに俺は家の鍵をいつも通り開け真宵を探した。
目の前には倒れてピクリとも動かない妹がいた。
あぁまた悪い夢を見ているんだ。真宵、目を覚まそう? 真宵? 兄ちゃんプレゼント用意するから、クリスマスと合わせて悪いけど真宵が欲しいもの買ってやるから。
「真宵! ⋯ん?」
目が覚めた時には俺は講義室にいた。
「はぁ⋯勇。お前が休まずによく頑張っているのは知っているし、それが妹さんのためだってのもみんな知ってる。ただ春先とはいえ調査講習の時間だけは起きてような」
「⋯は、はい。すみません」
手元の資料には2047年度版ダンジョン調査講習とタイトル付けされた冊子があった。
「夢くらいいい夢見させてくれよ⋯」
何度も何度も妹の意識を確認する夢を見ている。現実世界で起きることの無い妹を夢で起こそうとしているのか。あの時俺にできたことがあるんじゃないかと、ただ妹を抱えて逃げるだけの自分を責めているのだろう。
「勘弁してくれ⋯」
悪夢を見て汗びっしょりの顔を手で覆って悪態をついた。
ここまで読んで下さりありがとうございます。
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