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日常の破壊者  作者: ファミ・ローⅦ世
2nd~破壊の模倣~
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76/202

神奈川編Ⅱ・第二波発生③~start over!~

神奈川県横浜市みなとみらい

オーソン横浜ランドマークタワー前店

入口から爆発と同時に火の手が上がり、国際会議の警備をしていた応援の他県の警察官が駆け付け、消防を呼んだ。

そして、店舗から2人の遺体―桃子と麻衣子―が見つかり、入口付近の遺体は損傷が激しく、人間とわかるのは足首だけで、上半身は腕が激しく燃え、手首は無くなっていた。

奥から発見された遺体は顔がわかる程、まだ綺麗なもので一酸化炭素中毒により、昏倒してそのまま死亡し、衣服の一部が燃えていた。

店内にはこの2人しかいなかったらしく、消防士が中に入って遺体を運び出した際はまだ事務所のあるスペースは全く燃えていなかった。

調査のために東京消防庁から派遣され、現地に到着した不破美穂は火災の原因を調査していく。

現場に入った直後、不破はすぐに原因の一端を垣間見た。


「ガソリン臭いですね」


入り口付近のほうが臭いが強く、出火元はガソリンであり、場所はここであることが高い。

警察に連れられ、この近辺の店舗を担当しているSV、郷家裕司さとや ゆうじが現れた。


「店舗を担当しています、郷家です」


郷家は不破に名刺を渡す。

こんな時でもサラリーマンなのか、と半ば呆れながら不破は名刺を受け取る。

郷家はさっそくタブレットを取り出し、この店舗の見取り図を捜査関係者に見せる。


「火元になった場所には・・・確かレンジがありました。都内やその近辺のオーソンは3年前からクルーによるレンジアップを廃止しています。お客様自ら、お弁当などを温めてもらうことになってます」


「昨今のオペレーションの複雑化に伴う、業務の省略化ですね」


「そうです。それがまさか、こんなことになるとは・・・」


ー電子レンジにガソリンなどの可燃物を放り込んで爆発、炎上させたのか?

不破の中で原因はこれで間違いないと踏む。


「しっかし、当時、店内には女子高生のアルバイトだけで、店内にも客はおらず、さしずめおしゃべりに夢中になっててガソリンを入れられていたことに気づかなかったんでしょうね~」


郷家はどこか他人事でこの店舗で起きたテロの責任をこの女子高生にかぶせようとしているのが見える。

しかし、現状では客がガソリンを電子レンジに入れるのを注意できなかった上、おしゃべりに夢中になっていた女子高生に非がある。


「不破さん、他の店舗の被害状況が判明しました」


不破の元にほかの店舗での被害状況が知らされる。

それを見た不破はまだ無傷の冷凍食品などが陳列されている縦型の冷凍庫を確認する。


「郷家さん、冷凍食品の中には電子レンジに入れてはいけないものがあるのはご存じですよね?」


「あぁ、はい・・・」


「何故だかわかりますか?」


「発火するから、ですよね・・・特にアルミ製の袋は・・・」


「アルミ製でなくても内容物そのものがまたは破裂しやすく、ものによっては爆発を引き起こすものはあります。家庭用の電子レンジに比べ、3倍ほどワット数が高いコンビニの電子レンジはそれだけ様々な危険性があるということです。こういうことを想定して、客に周知徹底することはしていましたか?」


「いえ。店舗のクルーによる監視で充分だと考えています。それを今回は、怠ったというのが本部の見解です」


不破は郷家だけでなく、このコンビニ本部自体がもはや店舗の従業員に全ての責任を負わせようとしていると見抜いた。


「では、あなたは事件当時、この店舗に勤めていた藤田さんと大野さんが大人に注意できるというのでしょうか?」


「そうですね。できます」


「女子高校生が、例えば・・・見た目が強面で大柄、屈強な鳶職などの建設作業員を相手にしても同じことができる、と言いたいんでしょうか?」


「そうです。仕事ですから、それくらいはしていただかないと」


郷家のその一言を聞いて不破は大きなため息をついた。


「あなたが言ってることは、電車の中で痴漢に襲われた女性は声を挙げられると言ってるのと同じです。実際は声をあげることなどできないんですよ」


痛いところを突かれた、と思ったのか郷家は一気に沈黙した。

女子高生に責任を押し付けることに強気な本部社員を黙らせた事で不破は話を進める。


「さて、横浜消防局より他の店舗の被害状況も判明しました。火災調査官の見解としては、コンビニ本部側は業務用電子レンジの使用に関する危険性の周知徹底を怠っていたと見なします」


不破はタブレット端末から報告書を郷家に見せる。


「警備会社に問い合わせたところ、犯人と思しき人物・・・男性ですが、その男性はオーソン横浜ドッグヤードガーデン店ではアルミ製の冷凍食品の上に粉末状の何かを載せ、そのままそれを温めているんです。発火させたうえで粉塵爆発を起こすのが狙いと見えます」


タブレット端末で監視カメラの映像を見せ、その男はアルミ製の袋に入っている冷凍食品の担々麺の上に何か白い粉のようなものを載せてそのまま電子レンジに入れている映像であった。

不和はさらに他の店舗の被害報告書と映像も見せる。


「オーソン横浜クイーンズスクエア店でも同様、先ほどのものが担々麺だったのが、今度は今川焼をそのまま突っ込み、カバンから同じく袋に入った粉を取り出しているんです。手口としては同じでしょう」


ドッグヤードガーデン店に現れた人物と同じ男は今川焼を電子レンジに今川焼を袋のまま置き、カバンから袋に入った白い粉も横に置いているようだった。


「オーソン桜木町南店でも同じです。アルミ製の袋に入ったお好み焼きを入れ、その上に袋に入った粉を置いています」


桜木町南店も同じく、男が温めてはいけないアルミ製の袋に入ったお好み焼きを袋のまま電子レンジに入れ、粉の入った袋を置いている。

この男はわざわざ持ってきたカバンの中から粉を置いているが、片栗粉や小麦粉など、店でも手に入るものなら粉塵爆発を起こすのも容易いと郷家は考えた。


「先ほど、あなたは"都内とその近辺の店舗は電子レンジはセルフサービスだ"とおっしゃってましたよね?東京都内のオーソンの店舗を東京消防庁の調査官が調査しました。電子レンジには注意書きが何もありませんでした。これはあなた方の過失に当たるのではないでしょうか?」


不破は東京都内のオーソンの店舗の電子レンジの画像を見せる。

そこには温めてはいけないものの注意書きはなく、とても周知徹底させるつもりがないように思えた。


「また、ごみ箱の上というのも今回に限っては最悪と言ってもいいでしょう。ガソリンが入った袋までもそこに捨てているようです。これが店に入った瞬間に匂ったものの正体です」


畳みかけるように不破は男が液体が入った袋―ガソリンを捨てている画像を見せた。


「詳しい話は神奈川県庁内の現地対策本部でお聞きします。ご同行願います」


不破は郷家を現地対策本部へ出頭させた。

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