千葉編Ⅰ・評価~僕のこと、知ってる~
スリーセブンのOFCである渡辺正人は転職活動のため、以前から興味があった飲食業界の企業へ面接に向かった帰りだった。
転職を決めたキッカケはやはり、テロであり、これ以上、コンビニ業界にいると自分の命も危ない上に仮に自分だけ助かったとしても常に店舗の従業員の生命を危険に晒している事に関して責任を問われ続ける事が重圧に感じていくのが嫌になったのだった。
今日、受けた企業は関東圏内で38店舗を展開する洋食レストランチェーン「シェ・シラトリ」の中途採用面接を受けたのだった。
しかし、大手のコンビニに勤めているといえ、はっきりと手ごたえはなく、面接官は渡辺を軽くあしらうような感じだった。
「渡辺、さんですか?・・・」
声をかけてきたのはかつて、同じスリーセブンに勤めていた1年後輩の社員、早坂光男だった。
サラリーマンとは言え、研修期間はコンビニで3年ほど働き、本部社員になっても24時間体制で店舗の管理をしなければない過酷なOFCの仕事に耐えられなくなり、去年、転職をした後輩社員だ。
現在は調味料を扱うメーカーの営業部に配属されており、早坂は渡辺が受けたシェ・シラトリに調味料を卸している取引先だった。
「は、早坂・・・か・・・」
まさか、自分の後輩が取引をしている会社とは思いもよらず、戸惑いを隠せないでいた。
見つかってしまっては、と渡辺はここにいる経緯を話す。
テロの話を出すと、早坂は俯き、絞り出すように声を出した。
「・・・同期の矢中と平野、後輩の柴田と椿山、平井がテロに遭って亡くなった、と渡辺さんの同期の土橋さんから聞きました。土橋さんは会社を辞めて実家がある宮古島に帰ったそうですね・・・」
東京のテロでは本部社員も少なからず犠牲になっており、中には研修中にテロに遭って死亡した社員もいる程だった。
渡辺の同期である土橋も退職願を提出し、これまでの有給休暇を消化しながら、実家がある宮古島へ引っ越しをしているという。
早坂の話は事実で、渡辺も知るところであった。
「渡辺さんも、退職を考えて転職活動を?店舗の復興はどうなってるんですか?」
「東京の店舗に関しては復興プロジェクトグループ、というのが立ち上げられ、犠牲になった従業員の遺族への補償、店舗の再建、保険の交渉などを行う事になっている。そのプロジェクトグループには、東京エリアの担当者は参加できない、と言う事になってな・・・ほとんど、エリアマネージャーが兼務することになっている。これ以上、この業界にいると自分までもテロに巻き込まれかねない」
「そうですか・・・渡辺さんは、今で何社目ですか?」
「まだ、2社目かな・・・ここの前に回転すしの"将太寿し"を受けたが、先方はあまり良い顔はしてなかったな・・・」
「やっぱり、そうなりますか・・・」
「やっぱり?」
渡辺は早坂の言葉に引っかかりを覚える。
「僕の教育係で、今の会社の先輩社員が元人事部で、話していた事なんですが・・・コンビニの本部社員は、評価が低いそうです。ただ、上からの指示を下に伝えに行く、上の指示に従うだけの仕事なので、仕事において自主性がないと判断されるそうです」
「え?・・・」
早坂の話に渡辺は絶句した。
「でも、早坂、お前はどうして?・・・」
「僕、営業部から商品部に異動したじゃないですか。その時の縁で今の会社にいるんです。コンビニではなく、人柄で評価した、そうです」
早坂は辞める1年前に一時的に商品部に異動していた。
スリーセブンの沖縄フェアで雪塩や食べるラー油などの調味料を扱う事になり、早坂が窓口として担当していた。
その影響もあってか、コンビニ本部でのキャリアよりも人柄と伸びしろで採用したという。
対して渡辺は店舗の指導などを行う営業部一筋で来期で係長への昇進もかかっていたのだった。
――――――――――――――――――――
アメリカ合衆国
ワシントン州ワシントンD.C
ホワイトハウス
日本で発生したコンビニを狙ったテロは再び、世界各国を駆け巡った。
中でもジョニー・フロントヴィレジ副大統領が横浜での国際会議に参加している以上、ホワイトハウスは副大統領の救出とテロリストの殲滅を検討していた。
『This is the breaking news that just came in from Japan(たった今、日本から入ってきた速報です), Another terrorist bomb attack targeted a corner store.(コンビニエンスストアを狙った爆弾テロが再び発生しました),There are concerns about the safety of the Vice President, who is currently attending an international conference in Yokohama.(現在、横浜で開かれている国際会議に出席している副大統領の身の安全が懸念されます)』
ニュース映像を見ながらチェイニー・ブラクアップ大統領はディンゴ・プレフダウン国防長官、統合参謀本部議長としてマリオ・タウンライト海兵隊大将、発生した場所が日本であるため、管轄であるインド太平洋軍司令官のバリオ・レフトシティ海軍大将、ヴァリッジ・バックフェデラー報道官などを呼び寄せた。
日本政府が設立した危機管理センターとの連携を図る前にアメリカの意思を決めておこうというのが目的である。
「Is the Vice President safe?(副大統領は無事か?)」
チェイニーはバリオに訊く。
バリオは日本にいる情報収集を行う部隊から得た情報をチェイニーに伝える。
「Terrorists are silent now,The Vice President has evacuated to a safe location within the venue.(現在、テロリストは沈黙。副大統領は会場内にて安全な場所にて避難しています)」
「got it. Deploy camp zama troops to rescue the vice president and other attendees.(わかった。座間基地の部隊を出動させ、副大統領を含めて他の出席者を救出せよ。)」
「Yes,sir(了解)」
チェイニーの指示を聞き、すぐに全員は動いた。
そして、チェイニーはさらに指示を足す。
「Find the terrorist and destroy it(テロリストを探し出し、これを殲滅せよ)」




