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更に
今度はお伴の男だけがやってきました。
約束の二反を無造作に受け取ると、
小判を二枚と娘のわらじを差し出しました。
わらじは引きちぎれて
もう履けなくなっておりました。
お伴の男は
「また、ひと月半で二反、織ってもらえんか」
と頭を動かさずに言いました。
おじいさんは
「それは構わんが」
そして付け足す様に
「今回の分は
二反だから小判四枚もらえんかの」
お伴の男は振り返らずに
「今度持ってくる」とだけ言い、帰って行きました。
ふたたび機織りが始まりました。