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長者どん2
約束からひと月後
出来上がった反物を受け取りに
長者どんとお伴の男がやってきました。
長者どん「おお、これはみごとな出来栄えじゃ」
一方、お伴の男は黙って、部屋をじろじろ見渡すだけでした。
「これは、お礼じゃ」
長者どんは小判を二枚差し出すと、おじいさんに渡しました。
それは、おじいさんが町に行き、自分で売る値段の二倍の金額になるのでした。
娘はほっと嬉しそうに微笑みました。
「ところで、な。もう一度おなじものを織ってくれんか」
長者どんがそういうと、付け足して
「今度は、ひと月で二反ほしい。いや、さすがにむりだろうから
ひと月半で二反で良い。どうだ、できんかな」
おじいさんと娘は少し困りました。
機織り機が一台ではどうやっても無理です。
娘が小声でおじいさんに言いました。
「機織り機がもう一台あります。でも」
おじいさんが小声で娘に言いました。
「おばあさんにも手伝ってもらうことにしよう」
娘はそれなら出来るでしょう、と頷きました。
お伴の男はその会話を聞き逃しませんでした。