5/18
長者どん
ある日のことです。
おじさんとおばあさんの家が、たいそう立派な普請になったことを見て
村の長者どんが、お伴の男を連れてやってきて、おじいさんにこう言いました。
「おめさんがた、たいそうな反物を売って儲けているそうじゃないか、な。
どうだ、わしにも一反、売ってくれんかね。」
おじいさんは娘に目配せすると、娘はうなづきました。
「売っても良いが、今はものがないから、来月来てくれんかの」
それを聞いた長者どんはうなづいて帰っていきました。
ただし、長者どんが先に家を出たあと、お伴の男が、こんな事を言ったたのです。
「反物ができあがるまで、娘のわらじをあずからせてもらう。
なあに、出来上がったら返すよ」
おじいさんは、さすがにやりすぎだろうと言おうとしましたが
男がすごむので、しかたなしに承諾しました。
それから一ヶ月の間、娘は一生けんめい反物を織りました。
今では機織りレベルが上がって、今ではひと月に一反おることが出来ます。
なんとかそれは納期に間に合ったのでした。