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はたおり
雪の日が続きました。
鶴は雪がやむまでおじいさんとおばあさんの家に泊めてもらうことにしました。おじいさんとおばあさんは娘ができたようで、たいそう喜びました。
鶴がふたりに聞きました「あなた方は家族や友達を大切にしますか」
おじいさんとおばあさんは答えました「わしらはこの歳で友達はもういないが、お互いを大切に思っておる」と。
鶴はうなづきました「あなたがたのために機をおらせてください」
おじいさんとおばあさんはうなづきました。
鶴は付け足しました「だけど、機をおっている間は決して覗かないでくださいね」
おじいさんとおばあさんは頷きました。
その晩から早速、鶴はおじいさんとおばあさんが寝る隣の部屋で、何かの作業を始めました。
一日目「トントンカラリ、トンカラリ、トントンカラリ、トンカラリ」機織りの音。
二日目「ザラザラ、トントン、ザラザラ、トントン」瓶の中に砂を詰める音。
三日目「バリバリ、シュルルルルルル、バリバリ、シュルルルルルル」揮発性の匂いがしました。