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爆風
次の瞬間
舞い上がった鶴の
雄叫びが地上に届く間もなく
とてつもない大きな爆音と熱風が
長者屋敷の全体を
高い高い蔵をも包み込みました
太陽の光を集めた氷は
虚空で白鳥座のデネブの様に
銀色に強く輝きました
あまりに沢山の光を集めてしまったので
空が真っ暗になり
おかげで長者屋敷の爆発は
三つも四つも向こうにある山の村々からでも
赤々と見えたのでした
鶴の頭もあまりの憤りに
真っ赤になっておりました
氷だけを宙に残して
銀色の暗闇に
鶴は姿を消しました
それ以来、鶴を見たものはおりません
長者屋敷のあった場所には
大量の瓦礫が積み上がり
山になっておりました
あまりにその山が高いものですから
この様な昔話が出来ました
「昔々、あるところに鶴がおりました
鶴はお天道様を掴もうと高い山にのぼり
しまいに、お天道様に頭ぶつけて
火傷をしてしまいました
それ以来、鶴の頭は赤くなったという事です」
これを丹頂鶴と呼びます