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雅と雅 (A)編  作者: 雅也
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7話


                 7


 冬休みも終わり、新学期が始まって、もう3週間ほどになる。


寒さが身に染みる時期だが、雅たち二人は、学校から帰宅後、二人で一緒にこの時期からの大学入試対策の為に、少しづつでも勉強会を開いている。おかげで、時々ある小テストも、正解数が上がってきて点数にも反映してきている。全くもって、ミイのお陰である。

 そのミイは、いよいよ学年順位が一桁半ばも確実になって来た。お互いの勉強熱心に、両方の母親が 『お互いが、いい刺激になっていて、良い事ね』 と言って、微笑んでいる。


 ミヤが真剣に問題を解いているにもかかわらず、時々ミイが不用意に近づいてくるので、ドキドキしてしまい、集中できない時がまあまあある.....が、そんな時は逆に思いきって、ミイをギュー....っと抱きしめると、暫く大人しくなる。その固まった時間も、ミヤは問題を解いていく。

 ただ、あまり無視していると、時々 襲われるミヤであった。


 毎日の勉強疲れのストレスも、時々二人で 深い交流で解消しているので、そっちの対策は解消されいた。



(そんなんでいいのか? (作))



 そして、学期末考査の結果が出た。

 ミイは6位に、ミヤはこのほぼ毎日の勉強会のお陰で、11位と、あと少しで一桁台に迫る順位だった。

 ただ、この位置をしっかりとキープしなければならなく、これからも、頻度は落すものの、勉強会はしっかりと続ける事にしょうと、お互いの意見が一致した。

 その勉強会も、時々 美沙が来て 『私も今から高校受験に備える』と言って、時々参加してきている。その成果もあって、美沙も、今までは、学年20位前後が、一気に8位と言う驚異の躍進と言ってもいいくらいの進歩があった。


「えへへ。これならお兄ちゃん達と一緒の高校にへ入れるかな?」

「美沙ちゃん、十分余裕よ。 今のままをキープすれば、合格間違いなしよ」

「良くやったな美沙。お前はもともと頭が良いんだから、少し学べばこんなに成績が上がるんだ」

「二人とも、ありがとう。感謝するね」

 と言って、美沙は自分の手作りチーズケーキを作って来た。それを三人で食べて、これからも時々教えてね と言って、その後も楽しくすごした。




          ◇




 いよいよ高校生活も最上級になった。


 ミヤもミイも、今年を乗り切れば、来年は大学生だ。そのことを夢見て、一層気持ちが上向く、新学期も半分くらい過ぎ、中間考査が来た。

 二人はいつもの勉強会を続けているので、学年順位はほぼ変わらない。ミヤが一つ上がって、ちょうど学年10位と言うベストテンに、ミイ ミヤ共に入って来た。親たちも、喜んで、 来年は二人揃って大学生だね、と言っている。


              △


 夏になると、親子面談がある。当然ミヤもミイも、同じ大学に進学希望をする。


 親たちは 塾に通って、安定した順位をキープを と言っていたが、当の本人たちは、今のままで十分に合格ラインだ と、先生から太鼓判をしてもらっているので、塾通いはしなかった。

 なら、何でもう一ランク上の大学を目指さないの? と聞かれたが、ミヤは今 目指す大学に入れば、欲しい資格が取れると言う事で、決心は堅かった。ミイも、同じ大学に、欲しい資格が取れる学部があるのでと言う。それぞれ目標が決まっているのに、親たちが、アレコレ言うのも何だと思い、本人たちに進路は決めさせた。



        ◇




 そして夏休みが過ぎ、青い空が高く感じ始めてきたこの頃、ミヤの父親 雅人が倒れた..........。




        ◇



 雅人が入院している病院で、母親の恭子が。


「お父さんは手術と暫くの入院が必要で、あなた達には迷惑をかけるけど、今まで通りにしていて」

「お父さんは大丈夫なの?」

「先生の話では、胃に腫瘍が出来ていたみたいで、去年の健康診断には映っていなかった影が、意外に早く大きくなっていて、胃の半分近くは取るという手術なの.....。 『このくらいの腫瘍だと、生存率は高いが、胃が小さくなる分、栄養が取れ難くなくなるので、職場復帰は出来ても、数ヶ月先くらいと思っていただいた方が良いと思います』 .....ともおっしゃっていたわ」

「じゃあ、お父さんは、手術さえすれば、大丈夫なのね?」


 美沙が目に涙を溜めて言う。


「昔と違って、今の手術の技術レベルは高く、この程度なら成功率も高く、リハビリもそう長くはない とも言っておられたわ」


「は~.....、とりあえずは、命は保証されるって事ね」

「でもね、手術に絶対はありえないから、色んな書類にサインを書くの。同意書だって数枚もあったわ」


 今まさに、雅人は手術の最中で、こうして 母と兄妹は、病室で終わるのを待っていた。

 ミイも駆けつけてきて、石仲家の家族と共に、雅人の無事終了を病室で待っていた。


                 △



 雅人の手術から、約一月が経ち、時期は初冬になっていた。


 そんな時、ミヤが母親に言った。




「オレ 大学進学辞める」




「就職をする事にしたから」


「父さんの負担になりたくない」


 こう言った。



 今まで勉強してきた事が無駄になるから、あなたはそのまま進学しなさい。と母は言ったが、今のままでは学費・交通費など、これからの大学生活での出費を考えると、ミヤはどしても進学を諦めざるを得なかった。



              △



「ミヤ、本当に進学しないの?」

「ああ、どうやらムリみたいだ」

「折角ここまで頑張って来たのに.....、どうする事も出来ないの?」

「うん。そうみたいだ」

「..........」

「だから、だから、ミイは今まで通りに大学は受験しろよ?」


「ミヤ.....」

「.........」

「オレ、ちょっと疲れた、家に帰って横になる」

「うん、ゆっくり休んでね」


 疲れた表情のミヤに、ミイはそう言うしかなかった。


「..........」



 今は、そっとしておいてくれたミイの心使いが、むしろミヤの何か心の奥を モヤモヤさせる様になっていった。




              ◇




「そうか、分かった。とりあえず今からでは中々思うような先は見つからないかもだぞ?」

「分かっています。でも、お願いします」

「じゃあ、明日もう一度、この時間でいいか?」

「はい」


もう殆どの就職組は進路が決定しているこの時期に、ミヤはいきなり進学組から、就職組へ変更した。

 次の日に、就活担当の教員が、資料を持参してくれると言う事だ。


 ミヤ自身もこの時期くらいから、自暴自棄になりつつあり、自分がなぜこんな運命に晒されなければならないのかと、今までの自信に満ち溢れた物が、いとも簡単に消え、崩れ去っていくのを、自分の事なのに、まるで他人が見るように第三者の目で自分を見ていた。





 そして。





 ミヤの 目 から光が消えた........。





 そんなミヤを気遣って、ミイが一緒に居てくれるのだが、とうとうミヤが言ってしまった。




「ミヤ、諦めないで。私も何とか良い方向に向けられるように、色々聞いているから.....」


「..........」


「ミヤ?」


「..........」


「ミヤ!?」


「もうやめてくれ!!」




 ミヤが叫んだ。



「ミ......」

 気持ちが苦しくて、息が出来ないミイ.....。



「雅。もうオレに構わないでくれ。お前はお前で、今までの道をそのまま進んでくれ」


 その言葉に ハッとするミイ。


「ミヤ、そんな事言わないで。私 わたし.....は、いつもあなたの事を思っているのに.....」


「それが迷惑なんだ! それが返ってオレの自信を失わせるんだ。だから.....、お願いだ。これ以上オレの事を.....」



 火が消えた様な瞳をしたミヤが、ミイの前から去っていく。



「いや!.......いやぁ~~~~!!!」


「みや!!」


「ミヤ!!」


「みやび~~~~~!!!」



 涙で周りがぼやける。それでもミイの足は前へは出ず、ただ去って行くミヤの後ろ姿を目で追うだけのミイだった。




          ◇ ◇ ◇


 


 そして、ミヤとミイが最後に会話した時から数ヶ月が経ち、ミイは希望の大学に合格して、新しい生活が始まった。


 あれからミイは、ミヤの家にも足を運んだが、一向に会ってくれないミヤの事が心配で、美沙に連絡して、矗一ちくいちミヤの状況を教えてもらっている。


 ミイは大学生になったが、一方のミヤの方は、何とか市内で、意外に家から近い建設会社に就職が決まって、今はそこで真面目に勤めているそうだ。



 ミイは大学に入学してすぐに、意気投合出来た同じ年の友人が出来た。


 

 その娘の名前は、岡田おかだ 真由まゆだ。




 真由はボーイッシュで、悪い事が大嫌い、ある程度言いたい事はハッキリと言う、さっぱりした性格で、容姿共にキリッとした美人タイプの娘だ。


 専攻も一緒で、サークルも一緒にして、結構中が深まった。



      *



「へえ、そうなんだ。で?今どうなってんの?そのヘタレ彼氏は.....」


 ハッキリと言う 真由。


「就職して、まじめに働いているみたいだけど。あれから交流が無いの.....。でも、その彼の妹が味方に付いていてくれるので、情報は普通に入るの」

「私が出て行って、引っ叩いてやろうか?ミイ」

「ちょ、ちょっと、やめてよ。それされたら、もっと気まずくなりそう.....」


「で、会社の所在は分かってるの?」

「うん。でもね、何だか行けないの」

「ふぅん...。で、そのヘタレ彼のお父さんは、どうなったの?」

「うん、今はほぼ完治して、また社会に復帰しているわ」

「でも、タイミング悪かったよね、お父さんも。その時期に病気が発覚するなんて...」

「そう....、そうなんだ。そればかりは仕方ないけど、今思うと、早くに見つかって良かったと思ってる」

「そうだね。そう思わなくっちゃ、ね」


 親身になって聞いてくれる真由に、ミイはこの娘と友人になって良かったと心の奥から思った。


「真由、ありがとね。色々と相談を聞いてくれて」

「な~に言ってるの。ココまで来たら、とことん面倒見ちゃうよ、私」

「うん、心強い味方だね。感謝 感謝だよ」

「.....でね。ここまで来たら、何とか二人を仲直りをさせて、私、さらに良い人になっちゃうよ」

「頼もしい」


 懇篤こんとくな真由にミイは、この友情を心の底から感謝するのであった。




(何か、真由って仲直りのキューピット? (作))




         ◇




「おい!石仲!! なにモタモタしてる、他のヤツを見ろ、もうとっくに他の作業に進んでるぞ」

「すみません。今やります」

「ホントに、頼むぞ」


 社会に出てから数ヶ月、もう初夏だと言うのに、ミヤは気分がすぐれない日々が続いていた。


 今は幾分、社会に出て、業務についている間は、気分がまぎれるというのが、正正直な気持ちだ。

 しかし時々は、なんでオレが、何で 何で 何でなんだ.....、と言う言葉が頭の浮かび、どうして?、何でオレは、今、ココに居る? そんな言葉が出てきそうだった。



 昼の休憩時間、母親が作ってくれたおにぎりを、頬張りながら、また余計な思考が頭をめぐる。そんな時、最近声を掛けてくれるのが、先輩の



早川はやかわ 浩二こうじだ。




「石仲、どうだ? 少しは慣れたか?」


 気さくに声掛けをしてくれる後輩思いの先輩だ。


「いえ、皆に追いついていくのがやっとで、すみません」

「何言ってるんだ。あの人達は、もう何十年のベテランだ、追いつく訳ないぞ」

「でも主任の中田さんが...」

「ああ...。あの人はいいんだ、ああ言う人だからな。でも、少しでもみんなに近づきたかったら、今 目の前の与えられた業務を、しっかりと励む事だな」

「浩さんも、あの中田さんに教えてもらったですか?」

「ああ。でも、習ってもいい所と、見ちゃいけない所があってな、俺は見習う価値が有る所だけを見て盗んでいる。俺も、最初はひどかったらしいがな」


 ははは と笑いながら、コーヒー缶を煽る浩二だった。


「でも、中田さんの言い方、結構傷つきます」

「ははは! あの声がそのうちに、子守歌に聞こえたら、あの人からは卒業だ」

「何時になるんでしょうかね?」

「自分で決めろ、そんな事。 とにかく、懸命にやってみろ、何かが見えてくる、それが見えたら、そこからが始まりだ。お前はまだ、扉をノックしている所だぞ、石仲」


 こうして何気に元気づけてくれる浩二の言葉に、日々の心の辛さが少しずつだが萎縮しいくように感じられるミヤであった。


「何か、少しやる気出てきた」

「ほう、それは良かった」

「ありがとうございます」


 浩二が笑って立ち上がり、ミヤの頭に軽くチョップを入れて、立ち去った。




(オレ、再び笑って過ごせる日がくるんだろうか?)



           ◇



「美沙ちゃん、ミヤ ちゃんと会社に行ってる?」

「うん、頑張って休まずに行ってるから、心配しないで」

「そう.....」

「もう!ホントに、こんな可愛い彼女を放っておいて...、他の男に取られちゃたらどうするんだろ? お兄ちゃんは」

「大丈夫だよ美沙ちゃん。私はミヤ一筋だから...。今はミヤの気持ちがこれ以上離れないように、願うだけだけど」

「うわ~、けなげ...。こんな姿をお兄ちゃんに見せたいな」

「でもね、今私に会うと、大学生の私の姿に何かしらの思いがあって、まずいと思うの。だから、タイミングを見計ってから、ミヤには会ってみるから、美沙ちゃんは、これからも、ミヤの事色々教えてね」

「まかしといて!」

「うふふ。頼もしいわ」



(けなげな ミイ.....、思いが届くといいね (作))






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