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雅と雅 (A)編  作者: 雅也
6/9

6話


                 6


「昨日は楽しかったね~」

「そうだな。美沙もとっても喜んでいたし、結局はおっけぃだったんだな」

「そうだよ! 美沙ちゃんが楽しそうなのを見て、私も何か気分が乗って来たもん」



 翌日、雅たちは、朝遅くからミイの部屋に居た。

 今日から冬休み、ミヤの両親は互いにいつもの様に、職場に向かい、妹の美沙は部活で、午後から学校だ。ミイの両親も、今日は店が定休日で、いつもの様に、両親 祖父祖母共に、食事とカラオケに行った。従って、今は二人だけの状態だ。


 いつもは二人だけの状態にはなっていても、普通に楽しいお喋りは絶えないが、さすがに先日のあの “件” が脳裏をよぎり、二人の言動が、いつもよりぎこちない。


 昼食をミイに作ってもらって、一緒に食べ、今はのんびりとしたいところだが、今の二人にはそんな気持ちの余裕などはない。


「ねえミヤ。最近どう?」

「さささ、さいきんって、どどどどうだろ.....」


 何故かテンパるミヤ。


「ミヤ、緊張しすぎ」

「そ、そう言うミィだって、さっきから本が逆さまだぞ」

「な、何か緊張するな」

「うんそうだね、いつもと違って気分が何か違う...、かな.....」

「そ、それに.....」

「それに??」


 少し間を置いてから...。


「ミィ......、パンツ見えてるぞ、さっきから」

「な!.....、ミヤのえっち!  もう!」


 サッと、足を閉じるミィ。


「お、教えてやってるんだから、感謝しろよ」

「言わなくていいの。何なら、黙って見てなさい!」

「え?.....」

「ええ?....ええっと.....、じゃなくって......」


 ミヤが小さい声で。


「(どうせもっと先を見るんだから....)」

「なに??」

「いや、何でもない」

 

「ところで、 アレ はあるのか?」

「アレ?ってアレの事?」

「そう、アレだけど」

「ミヤは持って来たの?」

「一応は、ミイは?」

「取りあえず、私も、入手してあるわ」

「カッコいいな、入手なんて....」

「何か変、ミヤ」

「お互い様だろ」



「............」



「......ミイ、....」

「うん....」


「こっちにおいで....」

「うん.....」


 二人は軽く抱きしめ合い、キスをした。


 それが合図となり、二人は深く深く溺れていく.......。




(すいません、ここからは 割愛 という事で、お願いいます (作))







       □ □ □







 新しい年が来た。


 朝日が差し込んできて、昨日まで賑やかだった町中も今日は静かだ。

 時々歩いている人は、初参りの帰りだろうか、チラリ ホラリ と見え、息が真白でとても寒そうである。



「明けましておめでとう、父さん母さん」

「「おめでとう 雅」」

「おめでとう お兄ちゃん、今年もよろしくね」

「おめでとう 美沙、こちらこそよろしくな」

「じゃあ、頂きましょうか」


 と恭子が言い、お節を含めた正月料理が食卓に並び、雅人が挨拶の後、いただきますの掛け声をかけた。


「「「「いただきます!」」」」



 恭子と美沙の手作りのお節料理はどれも美味しそうだ。特に今年は美沙が作った出汁巻き玉子が目を引く。


「お兄ちゃん どう? 私が作った出汁巻き玉子....」


 箸に挟んで、一口食べ。

「おお!美味い! 美沙 完璧だ。また腕を上げたな、申し分ない」

「へっへ~ん!美味いでしょ?お母さん直伝だからね」

「味も同じだ」

「それは.....ま、当然だよね」


「それにしても、美沙 料理全般、腕を上げたな、父さんから見ても、この卵は美味しいぞ」

「やったぁ~! お父さんありがとう」


「でも、助かるわ。 美沙がこうして、最近は色んな料理を手伝ってくれて、中学でこれだけ出来れば、将来は、いいお嫁さんになれるわね」

「えへへへ.....」


 恭子のこの言葉に、雅人は若干だが凹んだ。




 こうして石仲家の 元旦は楽しく過ぎていく。



         △


 

 先ほど、ミイからメッセージが来た。


『改めて。あけましておめでとう。今年もよろしくお願いします。ミヤ、後で神社に行くんでしょ?迎えにいくからね。』

 実は、昨日の晩もミイと会っていた。 自分の部屋で、美沙も交え3人で、テレビを見ながらの、年末反省会をやった。


 取りあえずの返事をしておいて、時間は午前10時とした。お参りと言うモノはは午前中に、と言うのが基本だからだ。


 朝食も済み、家族がリビングに集まっているところだった。


「美沙、もう少ししたらミイが来るけど、一緒に神社行くよな?」

「うん!行く行く」


 

 そうしているうちに、ピンポーンの音と共に、ミイがやって来た。


 玄関で、恭子とのあいさつが聞こえる、『上がってね』 と言う声とともに、ミイが温かい装いでリビングにきた。


「おじさんおばさん、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」

「あけましておめでとうミイちゃん。こちらこそ家族ともども今年もよろしくね」

「はい!よろしくお願いします」


 まず石仲家の両親に挨拶を済ませて。


「ミヤ 美沙ちゃん、明けましておめでとう。今年もよろしくね」

「あけましておめでとう、ミイ、今年もよろしく」

「ミイねえちゃん、あけおめ~。ことよろぉ~」

「今どきの挨拶だな、美沙」

「えへへ。スマホで友人に今朝から何度でもやってたから、つい出ちゃったんだよね」

「まあ、今の子たちってハガキじゃないって知っていたけど、挨拶まで短縮してたのね。ついて行けないわぁ~」

 と、母親の恭子が若干の呆れた表情で言った。


 一通りの挨拶が終わり、ミヤがミイに、前もって普段着でおいでと言っておいたので、温かい普段着で来た。

 正月早々から一日中着物だと、結構行動に制限が出来てしまうので、普段着で と言っておいた。

 美沙も、初参りは普段着だ。二人とも余談に花が咲き、時間も時間なので、二人に号令をかけ、ミヤはダウンを羽織って、3人で神社に向かった。


 道中あまり人には合わない。もう午前11時前だ。すでにここ、神社に向かう道も、早朝の参拝の後になり、昼も近い時間帯もあって、極端に人が少ない。

 境内に入っても、参拝の人は10組程度だろうか、自分たち3人を含めても、20人もいない。


 三人そろって、参拝する。それぞれ願い事は何だろう?

 結構 女性陣が長い気がする。後ろに人が居なくって、良かった。


 参拝後、三人は神社からのお下がりを貰い、帰って行った。


(ごく普通な参拝でしたね、  はは...(作))


          

           △



 神社からの帰宅は浜家である。



「今年はいよいよ高3だねミヤ」

「うん、いよいよ大学に向けてかあ....」

「そう。大丈夫?ミヤ、私といっしょの大学行けるよね?」

「そのつもりだけど、ちょっとは今よりも順位を上げないと、今あそこの大学だと、ギリギリかな?」


 美沙とは一旦別れ、はまちゃん の店舗の隣から、浜家の本宅に入る雅たち。


 ミヤが浜家の家族みんなに新年のあいさつを終えて、ミィの部屋にいく。昼からは、ミイの部屋だ。




 二人の成績は、それほど悪くないのだが、ミイが学年10位に対し、ミヤは現在30位くらいだ。二人とも学年250人に対し、良い方だが、ミイが希望する大学のレベルには、ミヤの成績では、ちょうどギリギリなのだ。


「頑張るしかないな。ミイ、今年からもう少し、一緒の勉強の時間を増やしてもらってもいいか?」

「うんいいよ。私だって確実にしたいから、せめて、学年一桁にはなりたいかな」

「オレも、もう15人抜きはしたいな」

「お!言ったね? じゃあ頑張ろうね」

「お願いします 雅先生」

「お願いされます 雅くん」


 そこへ。

「あらら、相変わらずだけど、あなた達仲がいいのね」


 美佐子が飲み物が乗ったトレーを持って来た。


「お邪魔してます」

「さっき挨拶したじゃないミヤくん」


 続けて。

「....で?、な~んの話なのかなあ~.....。とうとう 付き合う気になったのかな?二人は.....」


((ぎくぅ!!))



 ミヤとミィは、正月からとっても汗を掻きました。


((す....、するどい! 母上....))


「ははは....、な なに言っているのかな~?私たちは、良い幼馴染なのに....」

「へえ...、お、さ、な、な、じ、み、.....、ねえ~.........」

「「あはははは.........(汗)」」


 二人をじぃ~~~~っと見つめる美佐子、次の言葉は。


「まるで、付き合ってるカップルみたいよ?...........って、ホントは付き合ってるんでしょ?」


((ぎ、ぎ、ぎ、 ぎくぅ!!))


「白状しちゃえば?........」


「お、おばさん、それくらいオレたちって、仲が良いって事なんです」

「そ....、うなのよ、お母さん。そんなこと言うと、変に意識しちゃうじゃないの.........、もう!」


「ふう~~ん....、そうなんだぁ~....。ま、とりあえず今年もよろしくね、ミ、ヤ、くん....」

「は.....、はい。今年もよろしくお願いします.....」


 まじまじと二人の事を見つめ、なにやらニヤニヤしながら。

「じゃあ、後は若い二人でイチャつくなり何なりして頂戴。じゃあね」

と言って、美佐子は部屋を出て行った。残された二人の背中には、汗が滴っていた。


「はあ~~~、びっくりしたぁ」

「私もびっくりした、さすがに鋭いね、母親っていうのは」

「うん。切れ味抜群だったな」


 ヒヤヒヤの美佐子の会話が終わったと思った途端、ふたたびミイの部屋のドアがいきなり開いて。


「あ! そうそう雅。お母さんたち、今から私の実家に行ってくるから、雅 行かなかったら、お留守番頼むけど、どう?」

 と言って、固まった二人を見ながら、美佐子がまた入って来た。


「あ、私なら改めてまた行ってくるから、今日はやめとくかな~....」

 何とか上ずりながらでも言葉になったミイ。


「分かった。ミヤくんも居る事だしね。ウシシ....」

 美佐子の含み笑いだ。

「なに?その笑い方」

「何でもないわよ。それじゃあ、お留守番たのんだわよぉ~、み、や、びぃ.....」


 行ってしまった美佐子に、また二人は 超 ホッとし、元旦から疲労から脱力感が半端なかった。

 ミイの祖父と祖母は、夕方前に、新年会があると言って、支度して早めに出かけたみたいだ。



「ミヤ、晩御飯ウチで食べる?」

「どうしようかな? 帰ってもいいけど、また晩から来るのも、何だしな~....」

「ウチで済ませて、ミヤ....」

「ん?」

「だって.....、だぁって~.....、チャンスだもん」

「え??」

「もう、言わせないで!」

「は、......はい」





 (それからどうなったかは、皆さんのご想像通りですので、ご安心を(作))










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