5話
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12月半ば過ぎの、学生達はもうすぐ冬休みになる。
期末考査が終わり、ミヤ ミイ共に、期待通りの結果が出て、もうすぐの休みと合わせて、気分が良い。そうなると、学生たちなど、若い世代のクリスマスを意識したイベントがもうすぐやってくる。
「ねえミヤ、今年のクリスマスって、いつも通りにやるの?」
ミイがミヤに聞いてくる。
「多分そうなるだろうな」
「ふうん。今年は二人っきりでやりたいな~、でも、ダメだよね、おそらく.....」
「だろうな。間違いなく今年もおそらく3人でやるんだろうな」
「やっぱり。.....気合入ってたもんね、美沙ちゃん」
「そうなんだ。あいつ、今年はマルゲリータの Lと、ミックスのⅬも頼むって言ってからな。3人では無理だろ? その後、20cmのホールケーキだぞ?、イケるか?....。後それに、チキン サラダ...etc...、どうだ?」
「無理だよね~。やっぱ M にしない?」
「今年は任しといて! って、張り切っていたんで、今更あいつの気分を害する様な事なんて、出来ないし....」
ミイが、少し首を傾げて考えてみる。
(お! ちょっと可愛いぞ、その仕草が(ミヤ))
「じゃあさ。25日はどう?」
「その日はまるっきり空いてるけど、イブじゃぁ無くていいのか?」
耳打ちをしてきて
「ミヤと、二人っきりがいいの......」
赤くなったミイが、すごくカワイイ。
それを悟ったミヤが。
「それって......、そういう事なのかな?」
「............う、うん」
(小さな声だ)
「オレは嬉しいけど、ミイの気持ちが問題だと思うど」
「ミヤ、私達、付き合ってもう5ヶ月になるんだよ? キスだってもう何回もしているし、あなたに対するこの気持ちは変わらないから、変わるわけないから、もっとお互いを知りたいの...、そんな理由って可笑しいかな?」
ミイの思いに、ミヤはこれ以上ない幸福感を覚えた。それと同時に、愛しさが溢れてきて、思わずオデコを コツン とくっつけた。それは、そのままキスにつながった。
「雅。オレこんな普通なんだけど、これからも、ずっと一緒に居てくれるんだ....」
「何言ってるの!私は 雅 でないとダメなの。特別でなくてもいい。私にだけ特別でカッコ良ければいいの」
「な、何か普通な高校生ですみません」
「やめてよ 雅。 あなたは私にとって、すっごく特別なんだからね。これは決定事項なの。だから、私だけを見てて。私だけを 愛して欲しいの、だから、 ね」
「みやび~.....」
「みやびぃ.....」
お互いの同じ名前を呼び合い、気持ちを一層高ぶらせる。
(おいおい! 当日まで持つか??二人.....(作))
◇
「「「メリークリスマス!」」」
雅たちと美沙のクリスマスイブが始まった。
この日のために、幹事(?)である美沙が、色々と用意したごちそうが(実は、ミイも相当手伝った)、目の前に並ぶ。クラッカーを使って、演出もしっかりと、被り物は女性陣はカワイく、ミヤは トナカイの角を付け、半着ぐるみもトナカイだ。(これ ド〇キーで買ったのかな?)
(何故俺だけ、この格好?鼻も赤いし.....(ミヤ))
6畳間の、美沙の部屋は、クリスマスの飾りでいっぱいだ。これほど楽しみにしている美沙の事を思うと、二人っきりで過ごしたいと思っていた二人は、少々の罪悪感がこみ上げてきたが、それでも三人で過ごすこのパーティーは、毎年の事ながら、そこは楽しいものだ。
しかし、この日の親たちは、営業の終わった はまちゃん で、二家族の親たちが集まって、店内で、小クリスマス会を行っているらしい。
まあ、大抵は両父親が終了時に、べろんべろんに酔って帰ってくるという、毎年恒例の催事だ。次の朝、こっぴどく奥方に叱られて、落ち込んでいるという、子供達には見せられないアフターイベント付きだ。
△
「さあ! 宴も闌になった所で、はい!お二人さん、ココで チューしましょうね」
「「え!!??」」
「あれ? え...、じゃないでしょう? お盛んなお二人には、このイブの夜を、アッツイ キッスで締めくくって下さい」
「悪いが、お断りだ」
「なんで?イブだよ?」
「そう言う事は、二人の時だけでしたいんだ。見せ物じゃあないからな」
「だって、結婚式の時って、公開キスみたいなのがあるじゃん」
「それは一生に一度の時だけの、イベントの盛り上げ的なためのキスであって、好奇心とか、勢いでやるものではないと思うぞ」
「お堅いね~」
「それでいいんだ」
続けて.....。
「だから、オレは結婚の時以外は、ミイと公開キスはしない」
「あれぇ~?? じゃあ、お兄ちゃんは、ミイねえちゃんと結婚するって言ってる様なものだよ?」
言われて気づいたミィの顔が火照る。
「ミィ。どうした? 顔が......」
「も、もう!ミヤったら、何て事言うの?」
「うわぁ。二人とも、将来は結婚するんだ」
「ああ。オレはそう思っている、が、ミィはどうなんだ?」
「わ、私も、これからずうっと一緒に居られたらいいなとはいつも思っているけど....」
「うわぁ、もう止めとこ。こちらが恥ずかしくなってきちゃう」
「でもな、父さん母さんにはまだ内緒な。ココだけの、この三人だけの秘密だ」
「え~~?正直に言っちゃえばいいじゃん」
「そ、そう思ってはいるんだが.....、中々いざとなると、決心が....」
「お兄ちゃん、そこ....、ヘタレだね」
「そうかもしれないな。でも、何時かは.....」
(それはまだ結構先だぞ、お二人さん(作))




