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雅と雅 (A)編  作者: 雅也
4/9

4話


                 4


 三条との事案が済んだ翌日の朝、HRの前の時間 ミイは友人たちに囲まれていた。


「ねえねえ雅、昨日は大変だったんじゃない?」


 友人たちの中の一人が、興味心身で話しかけてきた。


「こらこら、学校には内緒だよ、この事は」

「え~~!あの後何があったの? ねえねえ...」


「な~いしょ!」


「ま!いいか。どうせ最後は、石仲とイチャイチャしたんでしょ?」

「そ、それは...」

「ほ~、一瞬 いま間があったな? あやしいぞ~...」



 こんな会話がミイの周りから聞こえる。とりあえず、このままこの事が、フェードアウトしてくれる事を願うばかりだ。


 自分の席からそんなことを願うミヤであった。



(三条先輩、コレでミイの事諦めてくれるよな.....)

 ミヤはそう願う。



           ◇ ◇



「もうあれから20年くらいはなるかな?」

「そうね、そのくらいはなるんじゃない?」


 今日は”はまちゃん”の定休日。

 

 店の休みの時は、こうやって、たまに恭子と美佐子はカウンターで、昔の色々なアルバムを見ながら、楽しいお喋りをしている。

 昔話に花咲くのは、同級生と言う、境遇を共にしたからだろう。


「三浦くんって、カッコよかったよね」

「あ~!いたいた。でも、いつも女の子が絶えなかった人だよね」

「そうそう。あれだけ彼女が変わると、女子からは何?って感じだったよね」

「っていうか、何人食ってるの?って感じで、私はすごくイヤだったな~」

「好きな子はいいんだろうけど、私もアレは受け付けられない人だったな。 あ!最も、相手にもされてなかったからね。ははは.........」


 そんな時だった。


「あ!この写真。」

「ま、まずい!!」


 恭子がある写真に手を伏せた。


「なんで隠すの~!」

「何でって...」

「い~から、退けなさぁい...、えいっ!!」

「あ!!」


 力づくで恭子の出を退ける美佐子。


「..........(汗)」

「ほうほう。そう言う事でしたか。恭子さん?」

「..........」

「こんな時期からねぇ...、恭子さん??」

「うぅ..........」

「いい男だったんだね~ 雅人さんって...、今もだけど」

「あわわわ.......」

「恭子。さっきから、日本語喋ってないわよ」

「.......で、この写真の時期にはもう 済んでた?....」

「うっ!..........」

「あ~分かりやすい。 そうだったんだね~」


 こんな会話をしていると、奥から店内に美佐子の亭主の政士が入って来た。


「なにかさっきから盛り上がってるんじゃないか、お二人さん」


 同級生と言う二人に、微笑ましい表情をむける政士。


「そうよ、あなた。」

「何の話だ?」

「女同士の ひ・み・つ な話なのよ」

「何か、恭子さんの頬が赤い気がするが...」

「い~のい~の、気にしないで」

「ま!い~か。俺ちょっと出かけてくるから、恭子さんゆっくりしていってくれ」

「ありがとうございます」


 そう言い、何となくあしらわれた感はあったが、そのまま政士は店を出て行った。


「さて、政士さんが出て行ったところで、今度は美佐子だからね」

「あ~やっぱり?」

「当然でしょ! さぁさぁ、政士さんとの馴れ初め、白状しなさい 美佐子!」

「分かったわよ...」


 こんな感じでいつものこの二人は、平日の朝から盛り上がるのであった。


          *


 ちなみに、美佐子たちの馴れ初めは、美佐子が大学2年の時、サークルでの飲み会で、良く使う料理店での出会いだそうだ。

 大まかに言うと、大部屋で飲んでいた美佐子が、気分がすぐれなくなり、友人に店のカウンターまで連れて行き、休ませていたところ、この店に修行中の政士が、美佐子を気の毒に思い、暫く付き添ってくれていた、という事だ。

 その後、美佐子が。


『あんな醜態を、店員とはいえ、殿方に晒してしまった』

と、嘆いていた。

 その後、恥を忍んで、再び店に先日のお詫びに行ったところ、政士はその日はお休みの日で、居なかった。しかし、どうしてもお礼がしたい美佐子は、当時 政士が暮らしているアパートの住所を教えてもらい、訪ねたと言う。


 美佐子が訪ねた時、自室で洗濯をしようとしているタイミングだった。

 そしてお礼をする美佐子だが、政士は わざわざ気を使わなくて良い と言っていたのに、それでは私の気が済まないから と言って、いきなり洗濯をし始めた。

 いきなりお礼に来て、しかも、洗濯までし始めたが、政士はずうずうしい女とは思わなかったそうだ。


「わざわざ、そこまでしてくれなくても...」

「それじゃぁ私の気持ちがおさまらないし、あんな醜態をみられて.......」 

「そんなことは無い、酔い潰れていても、可愛かった....」

 と言われて

「もしかして、今わたしって口説かれてる?」

「半分そのつもりですが」

「ナンパですか?」

 と聞いたら

「そうです!...、ね」

と、言われて

「2度目の対面で、そこまで正々堂々と言われたのは初めてです。なにかちょっと私もあなたに興味が湧いてきました。これ終わってから、ご飯食べにいきませんか?」

「いいですけど、いきなり男と怖くはないですか?」

「あなたの仕事場と、住んでいる所を知っているんです、悪い事は出来ないでしょう。それよりも、あなたは悪い人ではありませんから、政士さん」

「俺の名前まで....」

「うふふ、店で聞きました。浜 政士さん」

「俺は君の 美佐子と言う下の名前しか知らない」

「田中よ 田中 美佐子。 女優みたいでしょ?」

「よくウチの店を利用してくれていたのは知っていた」

「なぁんだ、私の事、ちょっとは覚えてくれていたんだ」

「可愛いから...(照れ)」

「へぇ~....(照れ)」


 そして。


「洗濯物干し終えたし、行きましょう、政士さん」

「お~けいです」



 大方、こんなやり取りから始まり、それがやがて交際になり、結婚をして、今に至るそうだ。



           *



「なんか、ロマンスね~」

 恭子が言う。

「はじめは変でも、いい男見つけたと、今でも思うかな」

「ごちそうさまでした」

「お互いだね!」

「「うふふふふ......」」




(いい男捕まえたね、お二人さん(作))




               ◇



......となれば、当然こっちの方の話もです。




 金曜日の夜9時半過ぎ、店のカウンターには、雅人とその裏には政士の、会話する姿があった。もうすぐ閉店と言う時間で、周りの客もいい気分になって、そろそろ帰り始める時間帯でもある。

「雅人さん、この前の水曜に、うちの美佐子と恭子さんが、朝から何やら盛り上がってましてね、 なにか? って尋ねたら 秘密 なんて言われましてね、何か知ってます?」


 雅人が少し考えながら


「う~ん...、何か美佐子さんとは会っていたと言ってはいましたが、内容までは聞いてませんねぇ」

「いったい何で盛り上がってたんでしょうかね?」

「ま!女には女の話ってのがあるんじゃないんですか?昔から」

「女の秘密 ってヤツですね?」

「男には内緒の」

「「はははは...」」


 お互いに、ビールを注ぎながら、いつもの様に二人は意気投合しながら、閉店まで話を続ける。それを横から見ていた美佐子が...。


(お義父さん、ごめんなさいね、うちの人、雅人さんが来ると、もう客そっちのけで、飲んじゃうの。その代わりに、お店に立っていただいて、いつもありがとうございます (美佐子))



           □



 秋も深まって来て、イチョウの葉が殆ど落ち、初冬とも言っていい頃、いつもと変わらなく二人が登校していると、ミヤ達の100mくらい前の方に、あの 3年生の 三条さんじょう あきらが歩いていた。


 あの事件(?)から、早いもので、もうすぐ4ヶ月になる。あの事があってからは、今まで一切 三条とは接触がない。以外に大人しくなってきている最近のミヤたちの身の周りの中で、彼は今までどうしていたのだろうか。あの一時のミイに対する態度も、今では全く無く、大人しい。


 だが...。


 よく見ると、三条の隣を歩く、ショートボブのやや長身の、女子生徒がいるのが見える。しかも、三条も その女子も、楽しそうに話しながら、二人肩を並べて歩いている。隣を歩くミイも気が付いたみたいで、二人して、顔を見合わせる。....で、最初に出た言葉は。


「「三条先輩に彼女?!」」


 と言う言葉が、揃って出た。


「ミイ、あの三条先輩の隣って誰?」

 と聞くと

「う~ん誰だろう、後ろ姿じゃあ分からないなぁ」

「一見すると、彼女風に見えるけど....」

「そうだといいんだけど....」


 などと、その二人の事をコソコソ話していると、女子生徒の方が何となく、ミヤ達の方を振り向いた。その顔をみた瞬間にミイが。


「あ!長谷川 先輩だ」



 と言って名前を叫んだものだから、三条も振り向く。すると少し目を大きくしてから、頭を掻きだした。隣にいる 長谷川 と言う女子が、ミイに向かって 手をひらひらと振っている。

「知り合いなのか?」 

 と、聞くと

長谷川はせがわ れい 先輩よ。顔と名前だけ知っている程度だけど」

 と言う。遠くから見ても、綺麗と言うよりも、カワイイ と言った方が容姿の表現が正しいだろうか。そのまま三条たち二人は、そこに立ち止まっていて、まるで、雅たちを待っているかの様だ。


 二人が三条たちに追いつくと、長谷川の方から声がかかった。


「おはよう」 

 と言ってきたので。

「「おはようございます」」

 と雅たちが返した。


 三条は、どことなく気まずそうに、頭を一度だけペコリとさげた。

 すると、長谷川が開口二番に

「噂の二人ね、昭」

「あ、ああ。そうだ」

「あなた達の事は、この人から聞いているわ、この自己中な男に、良く言ってくれたと、お礼がしたいくらいなの」


「「??」」


「ふふ....。いきなりでごめんね。わたしは....」

 ミイが

「長谷川 令 先輩ですよね」

「あら、知っているの?私の事」

「はい、名前だけは」

「そう、なら話が早いわ。あなた達には謝らなくてはいけないから」

「何ででしょう。長谷川先輩から謝罪される事なんて、何一つないと思うんですが」


 ミイが言うと、さらに今度は三条が


「お前たちには、ホントに迷惑をかけた。特に大きな勘違いで、石仲には申し訳ない事をした。 すまなかった、石仲」

「先輩があそこまで、ミイ......、雅に執着しているとは思ってもみなかったんで、ホント困りました。でも、最後には気が付いてくれて、良かったです」

「やっと謝罪出来たわね、昭」


 どこかしらホッとした表情を見せる令。


「何か、ホッとした、この数か月、たまにお前たち二人が歩いているのを見たりすると、心が痛む時があって、いつかは謝罪しなくては、と 思っていたんだ」

「...で、先輩方。この状況はどういう事ですか?」


 仲良さそうに二人でいる状況を見て、ミイが昭と令に訊く。


「やはりそれを聞くか...」

「うふふ、昭、どうする?」

「令。意地悪くするなよ」

「「??.......(ミヤ ミイ))」

「先輩 もしかして、長谷川先輩の事....」

 ミイが聞いた。

「う、うむ...。あ...、ま、まあな.....」

「あはは! 最近、私、昭に迫られているの」

「な.....! 令....」

 すごく照れた表情を見せる三条。


「いいじゃない、ホントの事だから。でね、未だにハッキリとした告白が無くって、ちょっとイラ付いている所なの」

「何でイラつくんだ? 令」

「だって、夏休み前は、あんなにこの 雅さんには迫っていたのに、私には、好意は見せてくれるものの、積極性がないから、こんなものなんだって....」

「ち、ちがうちがう。この前の 浜 みたいに行き過ぎた事になると、歯止めが利かない事が分かったんで、少し抑制してるんだ」


 少し間を置いて、三条の目を見て、令が言う。


「だったら...、だったら。今ここで告ってよ!この二人の前で」

「い、今か?」


 驚く三条。だが さらに 令が言った。


「出来ないの?、石仲君は、みんなの前で告ったって言ってたじゃない。あなたには出来ないの?」

「う.....」

「どう?」


戸惑う昭.....、だが。


「.......、分かった。俺も男だ、やってやる」



 三条は長谷川の真正面に立ち、そして、目を合わせて言った。


「長谷川 令さん。今までこんなオレを思っていてくれた事は気が付いていました。一時期は横恋慕してしまいましてけど、最近自分の気持ちが君に向かっている事に気が付き、今では君が隣に居てくれる事に、安堵しています。これからは、君と俺とで一緒に色んな事をしてみたいし、色んな所にも行ってみたい.....。こんな俺で良かったら、これからずうっと付き合ってください」


 目が潤みはじめる令が...。


「はい!....。 やっと...、やっとハッキリ言ってくれたね昭....。これからは横恋慕するなよ! しっかりと、私から離れない事、コレが条件。 分かった?」

「お。おう」

「なんだかなぁ...、でもこれからもよろしくね、本日只今からは、恋人として


「っしゃぁ~~!!」


 雄たけびを上げる三条に、登校中の数人の生徒が拍手をした。


 そしてミイが二人に向かって。


「先輩方、良かったですね、おめでとうございます」

「ありがとう。あなた達のお陰でもあるのよ」

「いえいえ、でも、公開の告白って、見てる側も照れるんですね」

「あなた達を見てると、そうみたいね....」


「さあて」


 と言い出して、令は 三条に言う。


「確かに恋人同士にはなったけど....」

 驚いた顔で、令 を見る 三条。

「でもね、ちゃんと大学には行くから。分かってるわよね」

「そうだな、まず受験だ」

「分かってるじゃない。同じ大学志望なんだから、さっそく今日からは私と、しっかり受験勉強よ」

「お...、おう、分かった....」


 今度は 令が雅たちに向かって。

「じゃあ、ありがとね、立ち会ってくれて。これで私達、同じ気持ちで、これから一緒に進めるわ。本当にありがとう」

「俺からも例を言わせてもらう。ありがとな、石仲、浜。お前たちには感謝する」

「いえいえ、先輩方、お幸せに」

「「ありがとう」」


 昭と令にお礼を言われながら3年生とは、玄関が違うので、三条達とは別れた。


          △


「私の事は、横恋慕だって.....、何か、失礼しちゃう」


 機嫌の悪いミイをミヤが宥めている。


「いいんだ。ミイは、オレだけのものだからな」

「なに、そのいやらしい言い方...」

「そんな意味はないぞ。誰にも渡さないって事だから」

「分かってるわよ。嬉しい、ミヤ」

「でも、良かったよな。あの二人上手くいって」

「そうだね」



 もう肌寒いと言うよりも、ただ 寒い と言う言い方が合っている時期になってきていた。





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