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雅と雅 (A)編  作者: 雅也
2/9

2話


                2


 今年、雅たちは、高校2年生になっていた。


「ミイ、また告られたんだってな」

「そう言うミヤだって、この前、隣のクラスの女の子と、良い感じだったじゃない」


 この年頃は、色恋沙汰に敏感な年齢である。特に、ミイに至っては、2年になって、コレで6人目の告白があったにもかかわらず、いままで、誰一人とも付き合ってはいない。


 ハッキリ言って、ミイはミヤ意外の男子には興味が無い。 


 ミヤも同じで、小さい頃から、妹も含め、3人で育った環境が、ミイとミヤの居心地の良さをお互いに、認め合っている。


 なら、何故正式に付き合ってないのか? そこが問題のところである。その、お互いの、居心地の良さ....、と言うところが問題で、出会ってから8年と言う、普通に 幼馴染 と言われてもおかしくない状態なのに、実は、中学で思春期と言う年頃による気まずさ(気恥ずかしさ)という気持ちがおき、暫く疎遠になっていたのが、高校の受験勉強の時になると、一緒に机を並べて勉強をしているうちに、結構もとの関係にほぼ戻っていたので、告白していても良かったと思うのだが、その大事な時期に、色恋沙汰などは以ての外という事で、タイミングを逃したらしい。

 それ以降、お互いに好きなのに、高校2年にもなって、未だに告白が出来ないでいる状態だ。


 ほぼ毎日、一緒に登校しているのに....。




「違うよ、たまたま1年の時に、同じクラスになった、女の子に話しかけられただけだよ」

「モテてるじゃん!」

「そっちだろ?!」


 2年になって、ミヤとミイは同じクラスになった。中学校以来である。そのせいで、周りでは嫉妬もあるが、一方では、公認 と言う声も聞こえるようになってきている。それでも、3年生からの告白は、未だに絶えない。

 ミイが、告白を断る度に、ミヤが変な目で見られる事も、ミイを苦しめる要因になっているのも確かだ。

 最近は、そんなことも、慣れてきたみたいで、さすがに今まで嫉妬による暴挙は無い、進学校であるため、大学進学ための事を考えて、手が出せないでいるのだ。


                 △


 授業が終わり、下校中。


「なあミイ、何で ずぅっと色んな男からの告白、断ってるんだ」

「........」

 ミヤのこの言葉に、少し頬が膨らむ。


「何だよ! 人が聞いてるのに」

「ミヤ、それ聞きたい?」

 ミイがため息混じりに言うと。

「........」

「ほら!黙り込む! 自分だってでしょ?」


 こんな風に、ノドまで出かかっている言葉を、二人が出さないでいる。と言うよりも、出せないでいる。そんな二人とも、お互いを、 ズルい と思っている。



「ミヤ、帰りのコンビニで、プリン奢って?」

「好きだな、プリン」


(ミヤの方が好きだよ....)

 この言葉がなかなか出ない。


「うん。でも、ミヤは抹茶味のプリンだよね」

「あれは神だ。あれを作った人にはノーベル賞をあげたい」

「大げさね....」

 クスクスと笑うミイ。

 その時、後ろから....ミヤに、 ボン!!と衝撃がした。しかも、目隠しされて....。


「だ~れだ」

 さらに隣で、クスクスと笑うミイ....。


「う~~ん、コレは、傷害事件なので、警察に通報します」

「しないでぇ!!」

「答えは?」

「美沙ちゃんで~す!」

「明るいな」

「お二人を見たので、突進するしかないと言う、思考に捕らわれまして....」


「「せんでいい!」」


「声、揃った。さすが 夫婦」

「「違うわ!」」

「また....」


「美沙、部活は?」

「先生の出張で、今日は個人練習30分で終了した」

「ほ~~~」

「....で、私に内緒で、プリンを食べるんですと?」

「はい」

「そこは、ハッキリしてるんですね」


「美沙ちゃんも、一緒に行く?」

「わぁい! お兄ちゃんの おごり だ~」

「それは決定事項なんですね、美沙さん....」

「おね、よろ」

「未成年はそんな省略後、使ってはいけません。道交法違反です」

「公安委員会は、相手にしてくれませんよ~.....」


「二人とも、もういい加減にしなさい!!」 


ミイが、戒めた。


「「ごめんなさい!」」(おお! ぴったりだ。さすが兄妹 (作))




 ※ 閑話休題 ※




 コンビニで思い思いのプリンを、ミヤの奢りで支払った後、そのまま3人はフードコートで、楽しいお喋りをしながら、時間を過ごした。


 ちなみに、ミヤはモナカアイスを食べた。



                  △



 時期が夏休み近くになると、3年の 三条さんじょうと言う先輩が、ミイにひたすら言い寄ってくる事が多くなった。

 断っているのに、事あるごとに話しかけてきて、『好きだ 付き合ってくれ』 などと、多い時には日に複数回なんて言うのも珍しくなくなって、ここ最近では、校門の前で待ち伏せるようになった。


 三条自身そこそこの容姿なので、結構モテると思うのに、わざわざミイに狙いを向けて、迫ってくる。



       *



「三条先輩、困りますから、やめてください」

「いやいや、俺は諦めない、君と付き合えるまでは」

「だから、わたし今はそういうのは...」

「だったら、その隣のヤツはなんだ!」


 少し声を荒げる三条が、隣にいるミヤを見て言った。


「............」


「言い返せないだろう?」


「え、えっと......。幼馴染で近所で、小学校の頃からこうなので、いつも一緒なんです」

「じゃ、そいつとは付き合っている訳ではないんだろう?」

「確かにそうですが.....」

「だったら、俺と付き合ってくれてもいいじゃないか」


 らちが明かない。


 今度はミヤが一言いう。


「先輩、雅がイヤって言ってるじゃないですか?」


 このミヤの言葉に、三条が若干の憤りを含めた言葉で...。


「何だと?お前に何の関係があるんだ。付き合っている訳でもないのに」

「........」

「ほぅら、何も言えないだろう.....、だから、俺と付き合えよ、浜」

 



 こういった日が何度も続き、やがて、夏休み前になると。


「明後日から休みに入るが、いい加減、いい返事をくれよ、浜」


 三条が、またミヤとの下校途中に話かけてきた。


「先輩、いつもこんな所で待っていて、大声上げて、目立ちますよ」

「いいんだ、この末に 浜 との交際があると思うと、諦めきれない」

「だから私、今はそう言う事は考えていません......、って言っても、どうやら先輩には無駄の様ですね」

「ああ。多分 ノーと言う言葉は、聞く耳を持ち合わせてはいないんでな」


「はぁ~......」


と大きな溜息をつきながら......。


「分かりました」 


とミイが言うと三条が。


「お! じゃぁ、俺と....」

「分かったって言っているんです」

「よし、コレでカップル成立だな」

「多分そうなります」

「ウホッ!やった~~!!」



 大喜びで、飛び上がる三条、だが....。


 ミイはミヤの方に向かって、出た言葉は。




「ミヤ、私に告って....」


「「え!?....」」



ミヤと三条が驚く。



「いいから、今ここで私に告って。早く!!」


 このミイの言葉に。

「こんな公衆の前で?」

「いいって言ってるの! さあ!!」

「い、いいのか?」


 さっきからの校門前での事態に、若干の生徒が足を止めて、遠巻きに見ている。そして、そんな周りの事情などはお構いなしに、ミイがミヤの正面に向き合い。


「いいのか?」


 ミヤが訊き正す。


「いいよ、ミヤなら」

「結構オレ、本気だぞ」

「うん、分かってるから....」



「............」


「............いくぞ、ミイ」

「はい」


 ミヤは一度大きく深呼吸してから。



「浜 雅さん、ずっと、ずぅ~~っと好きでした。これからも変わらずに好きでいるので、オレと付き合ってください!」


「はい!喜んでお願いします」


 素っ気ない告白になってしまったが、ミイからは、漫勉の微笑みの表情で即答した。

 そして、周りに居て、一部始終を見ていた数人からは、拍手と。


「やっとかよ!」

 と言う声も含めて、歓声があちこちで上がっていた。


 だが......。


 三条が固まったまま、動かない。


「そう言う事なので、三条さん、これで失礼します」

「「先輩。じゃぁ」」


 二人は、それぞれ三条に挨拶をして、手を繋いで帰って行った。




(三条 大丈夫か? (作))



               ◇



 いつものコンビニに、その後の二人の姿があった。


「なぁにミヤ、あの告り方、ウケる....」


 さっきのミヤからの告白内容をディスるミイ。


「だって、しょうがないだろ? いきなりみんなの前で、告れって....」

「うふふ、でもやっとだね」

「え??」

「やっと言ってくれたね ミヤ」

「分かってたのか、オレの気持ち」

「当り前じゃん。だって8年だよ。8年も一緒なんだよ?」

「まあ中学の時は、ちょっとあったけど、今思うと、確かにミイに対する気持ちは変わらなかったかな....」

「やっぱね! 両想いだったんだ」

「........で、オレ本気なんだけど、ミイは?」


 と、改めて恐る恐る聞くミヤに.....。


「それまた聞く? 今.....」

「だって信じられなくて.....」


 ミイが う~~~~ん と、唸ってから、周りを見て。


「ミヤ、目 瞑って.....」


「?............」


「...............ちゅ♡」


 ミヤが驚いて目を開けると、目の前に奇麗な目を瞑ったミイの面持ちがあった。






 暫くして、お互いの顔が離れ、ミイから言葉をかけ始めた。


「言っときますけど。今のって私の ファースト だからね、しっかり覚えておく事!わかった? ミヤ!」

「お!おぅ 分かった...、って、オレだって初めてだぞ?」

「あはは....! 私 襲っちゃたね」

「積極的なミイさんも、好きです」


「「あはは..........」」



フードコートに、二人の笑い声が響く。



(良かったね ミイ ミヤ (作))






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