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こうして私は本当の妻になった!

伊豆下田でお互いの気持ちを確かめ合い結ばれてから、今日でほぼ2週間になる。間に生理があって、ようやく痛さがなくなってきた。よかった痛くなくなってとお風呂から上がって身支度をしているとパパがドアをノックする。


「今日はここに泊まってもいい?」


「嬉しい、ソファーに座って下さい」


隣に座ったパパが私を優しく抱き寄せる。


「痛くなくなってきたのでもう大丈夫です」


抱きつくと、パパはいつもよりもゆっくりと私を可愛がってくれた。とうとう最後までできた。幸せ! ずっとこのままでいたい! 「嬉しい」と声に出した。


パパはちゃんと避妊をしてくれている。今、私が妊娠したら可哀そうだと思っているのだろう。それよりも、もう少し二人だけの生活を楽しみたいと思っているのかもしれない。


私はまだ余韻に浸ってジッと動かない。パパがそっと布団をかけてくれて、隣に横たわって、手を握ってくれた。腰がだるい。


いつの間にか寝入ってしまった。目が覚めてトイレに立って戻ってくると、パパが私を見ているのに気づいたので「うしろから抱いて寝て」と身体を滑り込ませた。パパが耳元で話始める。


「兄貴が死んだ時、大人になった久恵ちゃんを見て、とても愛おしく思った。自分の手元に置いておきたいと思ったから、東京へ誘った。それからというもの、どれほど自分のものにしてしまいたいと思ったことか。楽しい生活が続くほど、その思いが募った」


「私もパパのこと嫌いでなかったから、東京で面倒を見てくれると言ってくれたとき、とても嬉しかった。本当にあの時は一人ぼっちでとても寂しかった。これから、どう生きて行こうかと不安だった。それから学校まで行かせてくれるというので、どうお礼をしていいのかと思った。だから、愛人になってもいいと言ったのは、あれは本心から。パパのこと慰めて上げられれば、それがお礼になると思ったの。だから、始めから、いつパパが私の部屋に入ってきて私を求めても覚悟はできていたの」


「そうしてしまいたいと思うことは、確かにあった。でもそうしたら、久恵ちゃんを傷つけてしまうことになると思っていた。それは絶対にできないし、してはいけないと」


「パパが私を大切に大切にしてくれるから、どんどん好きになって行ったの。お部屋に入ってきて、パパのものにしてほしかったけど、パパはそっけなくて寂しかった。でも、あのキスをしてもらった時に分かったの、パパの気持ちが、本当は私がほしいんだと」


「あの時は確かにとても幸せな気分だった。あんなことを言ってくるとは思いもしなかった」


「あの時のパパ、キスがとても上手だった。それに、女性の扱いにとても慣れている感じがする。パパは確か恋愛がうまくいかずに結婚できなかったと言っていたけど、なぜ?」


「僕が結婚できなくて、憂鬱な生活を送っている時に、面倒を見てやっている後輩がソープランドへ誘ってくれた。寂しさを紛らわすために、それから度々通った。そこで、女性の扱いを学んだ。でも刹那的な関係の虚しさが募ったので、いつの間にか行かなくなった」


「そうなんだ。でも、もう絶対に行かせない。私が満足させてあげる」


「分かっている。行かないと約束する。それと気になっていることがあるけど、聞いていい?」


「いいよ、何でも聞いて」


「歳の差のことなんだけど。久恵ちゃんが22歳、僕が40歳で18歳も離れている。パパが60歳の時は、まだ42歳なんだよ。それでもいいのかい?」


「両親が死んだ時に思ったの。人間いつ死ぬか分からない。それなら今日を精一杯生きればいいと。精一杯生きた今日の連続が人生だと。先のことなんか分からないから、パパとの一日一日を大切にしたいの。それにパパが調理師免許を取らせてくれたから、いつでも仕事は見つかると思うし、住むところもここにあるから、一人でもシングルマザーでもなんとかやっていく自信ができました。ママも一人で私を育ててくれたから、私にもきっとできるはずです」


「その覚悟を聞いて安心した。でも、僕は死ぬまで久恵ちゃんを守り抜くことを誓うよ」


「ありがとう。頼りにしています」


「うちの母親が言っていたけど、死ぬ死ぬと言っている奴に限って死んだ者はいないそうだ。将来展望も大事だよ」


後ろから抱いてもらっているので背中が暖かい。安心と幸せでいっぱいだ。いつの間にか眠ったみたい。パパが何か耳元で話していたけど覚えていない。

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