何故だ。何故、僕にはファンタジーがかけないのか。
こんにちは。うーん……。こんばんはでしょうか。藤原アオイです。
この作品はフィクションであり、実際の人物以下略には一切関係ありません。
「そりゃないって。ドカーンだけで戦闘シーン終わらせちゃアカンって。」
目の前で僕の書いたシーンに文句をつけているのは山猫先輩。もちろん本名ではない。
「ドカーンにはロマンがあるんです。」
すかさず反論する。むしろロマンしかないだろう。こう、なんというべきか、最強主人公がやり過ぎた系の。チート最高。
「いや、ないやろ。」
一瞬で先輩に否定された。えっ、むしろ何でロマンがないと思ったのか教えて欲しい。
「この主人公がトラックか何かにひかれて転生したとこまではわかった。だがな、何の前置きもなくドカーンはないやろ。ドカーンは。」
彼はこう言いたいのだろう。「情景描写とかその他いろいろが足りないからなんとかしろ。」と。ちなみに、その文章がこれだ。
―――――――
歩行者信号は間違いなく青。いつも通り間抜けな表情で信号を渡る。キャーという悲鳴が聞こえたときには僕はもう死んでいた。
いや、死んだんだよね? 僕が寝転がっているのは間違いなく芝生。遠くにはモンスターが見える。なんか知らない内にバトルになった。
ドカーン。モンスターは粉々になった。
―――――――
何がいけないのか僕にはわからない。何がいけないのか教えてよ、ドラ○もん!
無意識的に声に出していたらしく、目の前の山猫先輩にコツンと頭を叩かれた。
「あのなー、展開が急すぎるんだよ。」
展開が、急? ちょっと言葉の意味がわからない。
「まず最初に、主人公はどんな人なん?」
そんなの決まっている。
「基本的にダメ人間だが、金だけは持っていて、イケメン。」
先輩が呆れたような顔をする。そして僕に言い放った。
「お前は、本当に、この主人公で物語を書くんか?」
もちろんだ。むしろコイツ以外あり得ない。
「ちなみに、主人公の名前は?」
迷わずに答える。
「■■■■にしたいと。」
「お前の本名と同じ名前にするん?」
あっ……。これ僕の本名だ。っていうか、何で今まで気づかなかったのか。これがホントの鈍感系主人公なのか? (違います。)
「今、考えます。」
「帰ってから考えたらええやろ。」
それからいろいろなことを教えてもらった。三点リーダーの使い方とかその他いろいろ。まだまだ僕には無縁なことばかりだった。
とぼとぼと家に向かって歩く。ダメ出しばかり受けてしまった。僕に小説家は向いてないのかな。
お読み頂きありがとうございます。






