神様の戦い方
「遅くなってすまなかったが、まさか生き残るそれもとはなそれも全員で」
満足気に笑う神に魔獣の尾が迫る。
「危ない!」
「危ないとはクォルテよ、神を舐めすぎだ」
神は音も衝撃もなく魔獣の振り下ろす尾を片手で受け止める。
そしてその尾を両手で掴んだかと思うと無造作に引きちぎる。
「は、はは……」
思わず笑ってしまう。
こっちが死ぬ思いをして防衛をしていた魔獣を、まるで遊ぶように追い詰めていく。
「これで魔法が使えるだろ」
特級との戦闘中に俺に魔力まで分けてくれた。
「さて、少しそこで見ていろ、すぐ終わらせる」
そう言って空へと飛んだ神の力は圧倒的だった。
特級の顔を水平に蹴ると海面に接するよりも前に蹴り上げると魔獣の全身が宙に浮く。
そして浮いた魔獣を手で掴み海面にたたきつける。
「――――――――!!」
「よく跳ねたな」
その衝撃にあげる断末魔は神の命令により行われる。
水面でバウンドし完全に逃げ場のない空中に投げ出された魔獣は、決死の一撃を喰らわせようと魔力を貯める。
「クォルテ、しかと見よ。これが神の魔法だ」
すると海の水位が少し下がった気がした。
そう思わせるほどにありえない巨大な水の槍。もはや槍とは呼べない建造物の様な巨大な槍を模った水。
「神槍。我はこれをそう呼んでいる」
魔獣が子供の様に小さく見える神槍は螺旋を描き魔獣に向かう。
魔獣にそれを受ける能力があるわけもなく、溜めた魔力を吐き出したように見えたが一瞬で掻き消え、神槍が通った場所には魔獣の影も形も消失していた。
「すげぇ」
あまりにも圧倒的な戦力差に、それを見ていた俺達はただ口を開けて眺めるしかなかった。
「どうだった」
「言葉もありません」
「世話をかけた報酬の足しにはなるか?」
「十分なほどに」
参考には一切ならない。圧倒的で無敵な力に神が神たる所以を理解した。
「それほどに圧倒的な魔獣に苦戦したんですか?」
「そうだな、あやつは我に届きうる可能性があった」
「そんなのが……」
今のに近い力を持った存在。
それがこっちに来ていたら俺達はおろかヴォールが無くなっていただろう。
「それに圧勝に見えたのはお前達の活躍があってだ」
「そうでしょうか」
「それに後ろを見ろ」
言われて後ろを見る、ルリーラ、アルシェ、フィル、そして水の国ヴォール。
「あの国はお前が守った。魔獣に勝てなくてもその戦いがあの国を救った。安心しろお前達は強い」
思わず涙がにじむ。
神からの賛辞に目頭が熱くなる。
「どれ、お前達の傷も治そう」
体を水が触れたと思った瞬間、俺達の傷は癒え朝よりも元気な状態になる。
「では帰ろう、お前達が今回の討伐の優秀者だ」
城に戻ると朝の一割程度の人数しか集まらない。
「此度は我の失態だ」
神はそう言って話し始めた。
「我は一番逃してはいけない特級を逃した。そしてたくさんの者を死に追いやってしまった」
その言葉に泣く声が混じる。
「そしてその特級はこの国に向かった。だが、それを命懸けで守ってくれた者達がいる」
そう言って俺達の方を向く。
「そこのクォルテ・ロックスとその奴隷達だ」
その宣言で大きな歓声が響き少し委縮してしまう。
助かった。凄い魔法だった。と皆が皆口をそろえて俺達を褒め称える。
「皆に問う、今回の優秀者は彼らでよいな」
「「おおおおおお!!!!」」
さっきよりも更に大きな歓声が響き俺達の授賞式が始まる。
「よくやった、クォルテ、ルリーラ、アルシェ、フィル」
そう言って一人一人に勲章を与える。
「してフィルよ、お前はどうする?」
「何がですか?」
神相手にも怖気ずく様子もなく平然と間延びした声で返事をする。
「お前はクォルテの奴隷ではあるまい」
「知ってらしたのですか?」
「我は神だぞ」
神のくせに偉そうに鼻を鳴らす。
「我の権限でクォルテの正式な奴隷にしてやろうと思うが」
「お願いします?」
「なんで疑問形なんだよ」
「いいの?」
流石にあれだけの死線を共にして仲間じゃないと言えるほど俺は薄情じゃない。
それはルリーラとアルシェも同じで二人ともフィルにほほ笑む。
「決まりだな。フィルお前もたった今からクォルテの奴隷だ。励めよ」
「うん」
間延びもなくしっかりとした言葉。
「じゃあ、よろしくなフィル」
「よろしくね、ご主人様」
「様はやめてくれ」
「じゃあご主人」
「なんかもう、それでいいや」
正直フィルに訂正してもこのまま押し切られそうだし。
こうして俺にまた一人奴隷が増えた。
そして長い一日が終わり翌朝。
目を覚ますとなぜか裸でフィルが横に寝ていた。
いや、正確には奴隷全員が裸で俺の布団にもぐりこんでいた。
「寝る時は普通だったよな」
左手にフィル、右手にアルシェ俺に覆いかぶさるようにルリーラ。
三者三様俺の体を抱きながら眠る。
見ないようにとどこを向いても肌の色が見える。
日に焼けたのか水着の後だけが白く残り健康的に日焼けしたルリーラ。
同じく日に焼けたらしいフィルの日焼け後は局部のみが白く艶めかしい。
そして日焼けをしない色素の薄い真っ白なアルシェ。
どこを見ても目の保養で、目に毒だ。
仕方なく見ないように目を閉じるが、目を閉じたことにより敏感になる感触に悶々としてしまう。
両腕と胸元に伝わる鼓動、身じろぎのたびに触れる絹のような滑らかな肌。
なんでああも強いのにこんなにも柔らかいのだろう。
「ん、んん……」
手の甲に触れる腿はわずかに湿り熱い。
頑張れ俺の理性。
両腕でも精一杯なのにルリーラまで攻撃に加わる。
足の位置が気に食わないのか俺のわき腹から腿にかけてこする様に何度も擦り付ける。
「すぅすぅ……」
気にしないようにしても両耳と胸部を寝息が撫で人を実感させる。
「むにゃ、すぅ」
ルリーラの顔の位置が俺の胸に顔をうずめる場所に移動し寝言のたびにルリーラの瑞々しい唇が俺の胸板を優しく撫でる。
いつの間にこいつはこんなテクニックを……。
よくわからない関心をしながらも理性と必死で戦う。
「クォルテ……」
胸の上で寝言で俺の名前を言っているルリーラを抱きしめそうになり指に力が入ってしまう。
「あんっ……」
「くっ、ぅん……」
アルシェとフィルの嬌声が上がる。
そして二人はもどかしそうに腕を更に抱きしめる。
暴力的な柔らかさのアルシェと女性を主張するフィルの膨らみが俺の両腕を包み込む。
これは流石にやばい。
特にフィルが不味い、ルリーラやアルシェのように全身が滑らかすぎるわけではない。
手の平に触れる茂みが他の二人と違い大人の女だと主張する。
人形のような二人とは対極の生身の女性を認識させてくる。
ザラリとした二人にはない感触はわずかに湿りこれが女だと激しく主張する。
「クォルテ……」
起きている時には間延びしただらしなく感じる声音も眠っているせいで甘えられているようなくすぐったさを感じる。
優しいお姉さんを感じさせる普段の振舞いよりも格段に破壊力が高い甘えん坊な動きに俺は自分の限界を感じる。
「ん、ん?」
そして不意に右から声が漏れる。
「クォルテさん?」
アルシェが目を覚ました。
いつも早くに起きているアルシェには珍しく遅いが昨日の今日では仕方ない。
だが今はそんなことを言っている余裕はない。
「おはようございます」
他の二人を起こさないための配慮なのか、はたまた俺を誘惑するためなのか耳元での甘い囁きに脳が溶けそうになる。
「助けてくれ」
「嫌です」
にこやかに死刑宣告をされる。
「昨日頑張りましたからもう少しこのまま、クォルテさんを感じさせてください」
そう言ってアルシェは腿に挟み込んでいた手を握り何を思ったのか自分の胸に抱きかかえる。
「好きにしてくださっていいんですよ。私もルリーラちゃんも、フィルさんも」
悪戯っ子のような笑顔をしてしっかりと大人よりも膨らんだ胸部に俺の腕を抱きしめる。
「やめてください」
「やめませんよ、私たちはクォルテさんになら何をされてもいいんですから」
そう言って再びアルシェは目を瞑る。
こちらの反応を楽しむように強弱をつけて手を握りやがて力が抜ける。
寝たのだろうか。
だがそれでも現状に何一つ変わりはない。
結局は幸せに拘束されてしまっている。
ここまでの柔らかさ、温かさに眠って誤魔化すこともできず俺はただみんなが起きるまで至福の時間に囚われるしかなかった。
日が高くまで上りようやく解放されたが体は緊張で完全に凝り固まったままだった。
「体が痛い」
動くたびに関節が軽快に音を立てる。
「情けないな、おじいちゃんじゃあるまいし」
「誰のせいだと思ってるんだよ!」
元凶の三人は目を覚ますと、恥ずかしがる様子もなく部屋着に着替えそれぞれの活動を開始した。
「それで、今朝のは誰の案なんだ?」
三人が三人共わかりやすく目を反らした。
「全員か!」
「フィルが奴隷にしてくれたお礼がしたい。って言って」
「ルリーラちゃんが可愛い女の子に囲まれるのが喜ぶ。って言って」
「アルシェが裸なら求められてもすぐに対応できる。と言った」
最近気が付いたことだが、アルシェが一番問題を抱えている気がする。
何かと言うと自分の武器を前面に押し出してくる。
「アルシェ、少し後で話がある」
「わかりました」
一度しっかり説教しないと、本当にいつか誰かに手をつけてしまいそうで怖い。
正直それでもいいんじゃないかと思っている自分がいるのも事実なのだが。
ルリーラの健全な体型にアルシェの男を虜にするスタイル、そしてフィルのなんでも包んでしまいそうな心。
正直我慢するのが辛いです。
「それで、これからどうするの?」
「流石にもう少し滞在するぞ」
結局魔獣退治で二日使ってしまったせいで街の観光が何もできていない。
「よかった」
「ここの国をまだ広場しか見てないもんね」
「案内なら任せて」
三人が喜んでいる姿に少し嬉しくなる。
「じゃあ、準備だ!」
「「おー」」
ルリーラの掛け声で一斉に三人が全員服を脱いだ。
当然俺が見ている中で。
「せめて脱衣所でやれ、恥じらいを持て!」
「クォルテさん以外の前では恥ずかしいです」
「俺の前でも恥じらいを持ってくれ」
「クォルテに見られるのは嬉しいし」
「どんな趣味だ」
「感謝のつもりで」
「感謝なら別にいらないから」
なんとか脱衣場に押し込み着替えをさせる。
今日一日は肌色が頭から離れそうにない。
「それと出かける前に神に謁見しに行くからな」
「わかった」「承知しました」「わかったよ」
朝から疲ればぱなっしの一日が始まった。




