パートナー(仲間とは言っていない)
両者、同時に地を蹴り、一瞬で肉薄する。
三メートルの距離を、弾丸と拳が駆け抜ける。
拳銃二挺・・・S&W M500!!
単純に言うと、威力がおかしい奴だ。
「拳?随分と余裕じゃない。」
「言ったろ、手加減はするって・・・なっ!!」
相手の頬・・・の少し右を狙う。かわされる。
伸ばした腕の付け根に弾丸が飛ぶ。かわす。
無限の応酬の最中。
『・・・火炎』
空気が、変わった。
変わった、というより、換わったというべきか。
彼女の・・・咲の、モノに。
「・・・っ」
只ならぬ気配を感じて、飛び退く。
「・・・流石ね、その対応。」
眼が、紅い。
「じゃ、こっから始めますか。」
「おお・・・あれあれ。」
何の変哲もないビル群の一角。
常人には見えるはずのないその結界を、ある女の子が静かに見下ろしていた。
「さて、仕事ね・・・ボスも変わり者だよねぇ」
静かに、ライフルを構える。
「あらあら、どうしたの?まるでさっきとは違うじゃない!」
「く・・・」
彼女が撃ち出す弾丸が、彼女の気・・・炎に包まれて、軌道を変えていく。
気で・・・気だけで、弾丸の軌道を自由に操っている。
やばい。なんかもうとにかくやばい。
こちらが仕掛ける攻撃を容赦なくつぶしていく。
仕方ない。
「じゃ、やりますか。・・・耐えろよ」
「へ?」
剣を、静かに引き抜く。
今度は、こちらが変える・・・換える、番だ。
『瞬速』
瞬間。
時間が引き延ばされる。
彼女が撃ち出す弾丸を、一瞬で叩き落し、
彼女の・・・その後方から飛来する致死の弾丸を、真っ二つにする。
最後に、首後ろに峰打ち。気絶させる。
「誰だ?戦いに首突っ込む輩は。」
咲が、少し遅れて倒れ伏す。のを受け止める。
今の弾丸、彼女の後頭部を狙っていた。
直撃すれば間違いなく即死だ。
結界が、解かれている。
外部干渉がほぼできない、この結界球が。
「・・面白そうだな。よし、やってやろうじゃん」
射撃射線上にあるビルの窓の何かと、二キロ越しに目が合う。
「視力補正。目標確認。ロック・・・オン、ってか?」
自らの気・・・「感情」を、言葉として世界に実体化させる。
この世界の、最大のルールだ。
実体化した「言霊」で見えない縄を作り、二キロ先のそいつを縛り上げる。
「さて・・・咲、すまんな。一旦停戦だ。」
倒れたままの咲を抱き上げ、自転車にまたがって、
もと来た桜並木の道を、蹴る。
自転車が、二人ごと浮き上がる。
四色は、宙を漕いで、ビル群へと向かった。
「ったく・・・ありがとうね//」
ふいに後ろから声がする。
咲の体が熱くなっている気がした。
まあ、バトル後だからしょうがないか。
「おま、もう起きたんかい!!」
「まあ、だいたいこの状況はつかめたけど、一つ聞かせて。」
「ん?なんだ?」
まるで、それを訊いてはいけないように。
彼女は、その質問をした。
「あんた・・・ホントに初対面よね?」