プロロロロロロロローグ・中
不敵な笑みは、対人戦に手練れた相手の前でも崩れない。
それどころか、相手を嘲笑うかのような不思議な笑み。
「さあ来いよ、俺が相手だ。」
その言葉に反応して、すぐさま機関銃が火を噴く。
だが、その弾は全てこちらには届かない。
分断され、粉砕され、全て地に落ちる。
『遅い』
機関銃三台の先端が、切って落とされる。
たった一瞬の間に、接近し、切り落とし、元の位置に戻ったのだ。
早すぎる!目で追えないレベルだ。
と、相手も慣れたものだ。すぐさま腰から拳銃を取り出す。
だが。
彼の右足が光ったかと思った次の瞬間。
「気」の防壁が、砕け散った。
一瞬の跳躍から、構えもなしに拳で砕いてのけた。
相手の顔に、恐怖と畏怖が色彩となって現れる・・・
そう見えたのも束の間。
彼が、拳を止めた。
だが、衝撃波で4人が失神する。
「うっし・・第一ラウンドクリア。」
「昴・・といったか?強いな・・・」
「そ。十二候だからね!あったりまえだ。」
「・・ということは、二つ名持ちか。」
「ああ!俺の二つ名は」
「【瞬速】だ。」
「ホラ来た。第二ラウンド開始だ。」
いつの間にか、音もなく背後三メートルほどまで接近されていた。
こいつも、なかなかの手練れだ!
「噂に名高い十二候様と戦えるとは・・・光栄だな。」
「何を・・・お前ら土蜘蛛は殺し屋の集団だ、俺だって渡り合うにはまだ早い。」
「一応名乗っておこう。土蜘蛛副団長、レイ・サリンだ。」
「レイ・・・団長の息子か。昴 四色、十二候。」
両者の視線が、一瞬狭められた次の瞬間。
両者の位置が、入れ替わった。
入れ替わったというより、相手の位置に来た、というべきか。
二人は、お互いの拳を突き出した状態で静止している。
何という一瞬の間。
レイ・サリンが、膝をつく。そのまま人形のように倒れこむ。
「・・・よし。第二ラウンドは終了、と」
「あと八人か。」
「あ、おっさん?ここからは危ないから、一人で行くわ。」
「な・・・そんなことができると・・っ!?」
眼力で、黙らされた。有無を言わせない気だ。
それほど危険なのだろう。
「分かった、従おう。くれぐれも気をつけてな。」
「ああ、わかって・・伏せろ!!」
年の勘というやつか。とっさに伏せると、
向こう側のドアから鉄の雨が通り過ぎる。
奴ら、ドアごと吹っ飛ばす気だ!
『第三・・・開始!!』
ドアを跳躍からの体当たりで突き破る。