鼓動3
ズドドド、ギュイ~イ~ーン~~。
大介のギターが唸りながら
演奏が終わった。
まるで映画、
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』
のマイケル・ジェイ・フォックス
ようなクレージーな終わり方だった。
うしろからみんなの演奏を
見ていた実が唐突にしゃべりだした。
「まあ、最初の演奏
としてはこんなもんだな。
でも、これぐらい
アレてないと面白くないな。
「なんだよ」と
大介がムッとすると。
「その様子だと
全く気づいてないな、大介」
と実が戒める。
そして、
「ライブで1番大事な
ことといったらなんだ?」
「そりゃ、息が合うことだろ」
「そうだ、音楽が乱れたら騒音にしかならねえ。
だから、まず最初にみんなで
呼吸を合わせることを考えるべきだ。
特に洋子さんとセッちゃんには
自信を持ってもらわないと話にならん」
「確かにそうだな」
「それにリズムが早すぎるんだ」
「でも、ペースが遅すぎると
かえってアラが目立つぜ」
「でも大介、演奏
できなかったら意味がないだろ」
「確かにそうだな。
洋子、後で特訓だ」
「うん」
「どこが1番問題なんだ?」
「え~っと、ドラムとベース
のスピードについていけなかった」
「そうか?じゃあ謙二、
ズズチャッチャ、ズズチャぐらいで
テンポを落として叩いてくれるか?」
「そうだな、セッちゃんも
その方がやりやすいだろうから」
「ワア、助かるわ!」
「本当に説子は返事がいいな」
「何よ大介」
「まあまあ、ソロソロ
夕飯の準備にしましょう」
と大きな声で洋子がいうと、
「あら、晩御飯何にするの名幹事さん?」
「ユカさん、みんなでカレーなんかどうかしら」
「えっ洋子、俺たちも料理手伝うの?」
と大介が面喰らう。
それを見てニヤニヤしながら実は、
「何だ、お前たち包丁を
握ったこともないのか?」
「嘘だろ、実!
お前家で料理を手伝っているのか?」
と大介は更に驚きを隠せない。
「それくらい当たり前だろう、
母親だって俺たちのために
働いているんだからな」
「本当かよ」と驚愕の謙二。
「まあ 、やってみれば
料理も結構楽しいもんだぜ。
洋子さん、
ユキチを呼んできてくれ。
みんなで作ろう」
「やっぱ、実さんは違うわね」
とすっかり上機嫌の洋子が
階段をイキヨイよく駆け上がっていった。
そんな状況になっても大介は、
「包丁が何本もあるのかよ」
と呟くと、
説子が、
「洋子は契約するときに
全員の分頼んでおいたの。
料理を作る楽しさを
みんなに経験してもらうためにね」
「はは、俺たちも腹を決めない
といけないみたいだな、謙二」
「自慢じゃないけど、
包丁なんて見たこともねえぞ」
「ミー・トゥ!俺もだ」
「コラ大介!堂々というな」
と説子が突っ込む。
「本当に参ったな」
「自分で作って食べると
物凄くうまく感じるんだから」
「説子、米研ぐだけじゃ
やっぱりダメだよな?」
と確かめる大介に、
「3日間あるんだからね、
何回食事があると思っているの」
とトドメを刺す。
「トホホホホ」
と大介の表情が青ざめていく。
「カレーぐらいで
ビビることないわよ。
みんなで作ったら
やることなんて
ほとんどないんだから」
「はは、どんなときも
お腹は空くもんなんだな、説子」
「大介、あなたも初体験の
気持ちがよくわかるでしょう」
「ああ、本当だな」
と覚悟を決めたところで、
そんな状況など全く知らない
ユキチが洋子と階段を駆け下りて来る。




